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ETA=アスナール連合軍、選挙戦を有利に:「テロリスト」の正体はスペインの謀略機関だ
アメリカとアル・カイダの関係のミニミニ版だと思ってください。
昨日、バルセロナからマドリッドへ向かう国道上で、内務相軍(国家警備隊)によって、500kg以上もの爆薬を積んだバンに載っていた2名のETAのメンバーが逮捕され、マドリッドでの「テロ」を予定していたことが内務相当局から発表されたのですが、
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http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?d_date=&xref=20040301elpepinac_2&type=Tes&anchor=elpporesp
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これが3月14日投票の総選挙に与える影響は非常に大きいと予想されます。前回(2000年)の総選挙でも同様のことがありました。バスクの過激分離派ETAは1998年にスペイン政府に対して一方的に「停戦」を宣言し、1999年の12月にその「停戦」をまた一方的に破棄して、その直後に大量の爆薬を積んだバンがアラゴンで内務相軍に摘発され、これが次の年の総選挙でアスナールに大勝をもたらすことにつながったわけです。さらに今回はスペインの野党勢力がもろに打撃を受けています。
順を追って説明しますと、
今年の1月26日に、カタルーニャの与党で社会労働者党(以後、「社会党」と略す)や旧共産党系の連合左翼と連立を組むカタルーニャ左翼共和党の党首のカロッ・ルビラが、1月初旬にフランス領内でETAと秘密会談をしたことを認めました。この会談はその前日に全国紙ディアリオABCが政府筋からの情報として報道したものですが、これでスペインの野党勢力は大混乱に陥りました。
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http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?d_date=&xref=20040127elpepinac_2&type=Tes&anchor=elpepiesp
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ETAはバスクの分離独立を求める過激集団で、今までのスペイン国内で数百名の死者を出すテロ事件を起こしており、地元のバスクでさえもうETAを支持する市民はほとんどおらず、ETAの合法組織(現在は非合法化されている)のバタスナ党支持者でさえも過半数がテロ活動の停止を求めています。一方、ETAに国家中央情報局(CNI)のスパイが多数入り込んでいることは見え見えであり、近年はもっぱらアスナール与党の都合のよいように「適当に」爆破事件や殺人を起こしつづけているようです。ETAに関しては次のサイトを参照してください。これは日本語です。
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ワールド・コンフリクトより
http://www.w-digest.com/mm/mm0002/bk/000020.html
ル・モンド・ディプロマティーック日本語版2003年5月号より
http://www.diplo.jp/articles03/0305-4.html
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ル・モンド・ディプロマティーックが指摘するように、ETAはもはやスペインのフランコ主義・統一主義と対決する組織ではなく、逆に、ちょうどアル・カイダがアメリカの世界戦略を推し進める際の道具であるのと同じように、スペインとヨーロッパの帝国主義的な統一の「推進役」となっています。
要するにこれは、イラク戦争への加担で下手をすると窮地に立たされかねないアスナール与党国民党が、確実な勝利を狙ってETAを利用して仕組んだ謀略であり、「カタルーニャ独立」「反動政治粉砕」を十年一日のごとく叫ぶしか能のないお人よしの田舎者カロッ・ルビラがマンマとハメられた、というわけです。まあ、単純な「情熱」だの「正義感」などの類がどれほど敵を利するか、の見本でしょう。
社会党のサパテロ書記長は、政府は中央情報局(CNI)の情報を事前に入試していたはずだ、と指摘し、さらに公党の党首をスパイしていたことを非難したのですが、もちろん政府は「知らぬ、存ぜぬ」で通しています。
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http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?xref=20040201elpepinac_1&type=Tes&anchor=elpepiesp
http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?xref=20040203elpepinac_2&type=Tes&anchor=elpepiesp
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更に国防相のトリーリョは「CNIはこの情報をつかんでいなかった」とあからさまの嘘までついています。
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http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?d_date=&xref=20040203elpepunac_6&type=Tes&anchor=elpporesp
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社会党の元書記長で元首相のフェリパ・ゴンサレスは「政府与党は野党追い落としのためにCNIを利用している」と政府を非難してサパテロを援護射撃したのですが、
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http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?xref=20040211elpepinac_14&type=Tes&anchor=elpepiesp
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そのゴンサレス自身が過去にETAとCNIに関しては「後ろめたい過去」を持っているため、全く迫力がありません。このゴンサレス社会党政権の暗部に関しては、次の阿修羅投稿で私が詳しく書いています。
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http://www.asyura2.com/0401/bd33/msg/494.html
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さらに衝撃が走りました。2月18日に、ETAは「カタルーニャとだけ『停戦』を実施する」と表明したのです。これはカタルーニャ左翼共和党党首カロッ・ルビラとの会談でルビラが「カタルーニャへの攻撃は止めてくれ」と頼んだことに対する返答、とされていますが、このことがスペイン社会に与えるショックは非常に大きいでしょう。ただでさえカタルーニャ人に対する反感が強いマドリッドなどのカスティーリャ民族の地域では、カタルーニャ左翼共和党と手を結ぶ社会党には厳しい目を向けるでしょうし、カタルーニャの中でも分裂が広がりそうです。
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http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?d_date=&xref=20040218elpepunac_2&type=Tes&anchor=elpporesp
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そしてすぐに今回の「テロ未遂事件」が起こったのですが、内務相のアンヘル・アセベスは早速「このようにマドリッドがテロの標的にされるのだ。カタルーニャに対して『おめでとう』と言いたい。」と嫌味たっぷりに発表しました。なにせバルセロナからマドリッドへ向かう国道でETAメンバーと爆薬が見つかったわけで、まさにミエミエを絵に描いたような茶番劇です。[ETA ― カタルーニャ − 左翼 − 社会党]という連想ゲームを作り上げて、今回の選挙での与党国民党の浮動票狩りに大いに役立て、さらに、バスク民族とカタルーニャ民族に恫喝をかけて「偉大な統一スペイン帝国」の再現を図る一歩にしよう、というわけです。
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http://www.elmundo.es/elmundo/2004/02/29/espana/1078063392.html
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社会党のサパテロは、選挙戦にテロを利用しないように与党国民党に求めているのですが、時すでに遅し、で、今後もこの手をジャンジャン使いまくるでしょう。あとは、多くのスペイン国民が、どれほど賢くこの謀略を見抜いて、少なくとも「胡散臭さ」を感じて、国民党への反対票を入れるかどうか、でしょうが・・・・。
しょせんは、どの国でも「民主主義」などというものは国民の「賢さ」よりも「愚かさ」を引き出すものかもしれません。スペイン人は理屈よりも「直感」を重んじる国民性を持っていますが、その「直感」が国民党の胡散臭さの方に向かってくれればよいのですが。どうやらドイツも方向転換しそうですし、ヨーロッパ全体が一つの巨大な「帝国主義国家」として登場しそうな不気味な雰囲気です。