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アスナール政権最後の醜態(6) 新聞アンケート面白比較
スペインの新聞(電子版)の中には、さまざまな話題で独自のアンケート調査をするものがあります。もちろんインターネットに接続している人だけでしかも一人で何度でも投票できるため、公平さや客観性にはやや欠けますが、それでも大まかな傾向は推し量られます。
ここでは全国紙エル・パイスとカタルーニャ地方紙エル・ペリオデイコの、似たような内容のアンケートの結果をご紹介し、比較してみたいと思います。いろいろ探したのですが、過去に行ったアンケートの結果を多数無料公開している新聞がこの二つしか見つからなかったからです。それでもかなり面白い比較ができます。
以下で、「■Ps」はエル・パイス紙、「▲Pld」はエル・ペリオデイコ紙です。
(1)8年間続いたアスナールの国民党政権に対する評価
■Ps「政府首相としてのアスナールの働きへの評価は」投票数:10426
非常に良い:41% 良い:6% 普通:3%
悪い:8% 非常に悪い:40%
■Ps「あなたの国民党政権に対する評価は」投票数:7811
非常に良い:47% 良い:4% 普通:2%
悪い:7% 非常に悪い:37%
このようにエル・パイス紙では「良い」と「悪い」に二極分化しています。この新聞はどちらかというと社会党よりなのですが、それでもこの結果です。ところが、
■Ps「3月14日の選挙では誰が勝つと思いますか」投票数:19536
ラホイ:39% サパテロ:49% その他:10%
%の合計が100になりませんが、何せ総てにいいかげんなスペインのことですから、細かい数字の話はしないでおきます。このアンケートには社会党支持者がどっと投票したようです。一方、エル・ペリオデイコ紙のアンケートによりますと
▲Pld「国の指導者としてのアスナールの働きへの採点は」投票数:8221
非常に良い:10% 良い:6% 普通:5%
悪い:16% 非常に悪い:63%
▲Pld「アスナール政権の下、社会党時代に比べて、スペインはどうなった」投票数:3241
良くなった:22% 変わらない:9% 悪くなった:69%
エル・ペリオデイコ紙の読者は大半がカタルーニャ人で、彼らは、社会党が好きだ、というよりも、とにかくアスナールと国民党とマドリッドが大嫌いなのです。
(2)アスナールの後継者ラホイに対して
■Ps「アスナールの後継者ラホイに対する評価は」投票数:2131
非常に良い:75% 良い:5% 普通:4%
悪い:8% 非常に悪い:6%
投票数がやや少ないのは、社会党支持者が「馬鹿馬鹿しい」と投票しなかったためでしょう。一方、カタルーニャ人の方は、
▲Pld「ラホイの政策はアスナールより良くなるでしょうか」投票数:1403
はい:33% いいえ:67%
これまたケチョンケチョンです。アスナールに対してあれほどボロクソなのに、さらにそれよりも悪くなるだろう、というのですから、大変なものです。
(3)イラク戦争への関与に関して、
■Ps「政府は、なぜイラクの大量破壊兵器が脅威だと思ったのか、を説明すべきですか」投票数:4704
はい:85% いいえ:14%
これにはどの党の支持者も厳しい目を向けているようです。一方、
▲Pld「アスナールはイラク戦争への加担を正当化するために利用した大量破壊兵器の件について公式に説明すべきだと思いますか」投票数:4934
はい:91% いいえ:7% 関心ない:2%
これはもっと手厳しい。それでも「いいえ」が7%もいるのには逆に驚きます。さらに、
▲Pld「この8年間でスペインの国際関係はどうなった」投票数:1375
強化された:15% 変わらない:2% 悪化した:83%
これは間違いなくイラク戦争への加担のせい、と考えているからでしょう。
(4)サダム・フセインの捕縛について
■Ps「フセインの拘束でイラクの状況はどうなりますか。」投票数:649
良くなる:30% 変わらない:44% 悪くなる:25%
■Ps「フセインはどこの法廷で裁かれるべきですか。」投票数:313
国際的な場:65% イラク:33% アメリカ:0%
それにしても投票数が極端に少ないですね。あまり興味ないのかな。しかし、エル・ペリオデイコの方では、
▲Pld「フセインは公正な裁判を受けると思いますか」投票数:2347
はい:17% いいえ:83%
どちらも12月のフセイン捕縛のニュースの直後のアンケートなのですが、同じフセインに関して、全国紙のエル・パイスに比べて地方紙のエル・ペリオデイコの方が圧倒的に多くの投票数が見られます。明らかに質問の仕方の違いも影響しているのでしょうが、カタルーニャ人の国際政治に対する関心の高さ、逆に言えば、一般のスペイン人の国際政治に対する関心の低さがよく現れています。
またこんなのもあります。
(5)レアル・マドリッドの疑惑のペナルティ・キック
2月15日にレアル・マドリッドが本拠地ベルナベウ球技場でバレンシアと試合をしたのですが、後編途中までバレンシアが1対0で勝っていたのに、非常に微妙な判定でマドリッドがペナルティを得て同点に追いつきました。
■Ps「マドリッド−バレンシアの試合のペナルティは正しい判定でしたか」投票数:2249
はい:33% いいえ:63% どっちともいえない:2%
一方、カタルーニャでは、
▲Pld「マドリッドは審判団に助けられていると思いますか」投票数:4255
はい:77% いいえ:13% 関心が無い:11%
さすが。とにかくサッカーではバルセロナ・ファンのマドリッドへの憎しみは、阪神ファンの巨人への恨みつらみよりも、何倍もきついのです。何せカタルーニャは、歴史的にも何度もマドリッド政権と悲惨な戦争を繰り返し、フランコ独裁時代には、日本が朝鮮半島でやったような、徹底した言葉狩り・文化破壊を受けたのですから。その恨みはちょっとやそっとでは消えないでしょう。「いいえ」と答えたのは恐らくカタルーニャ人ではないと思います。(バルセロナ市では人口の60%以上が非カタルーニャ人です。)
その他、共通のテーマではないのですが、面白そうなものをいくつか選んでみました。
■Ps「アメリカ国民はブッシュに投票すると思いますか」投票数:463
はい:34% いいえ:60% 分からない:4%
■Ps「ケリーとブッシュが選挙戦を戦えばどちらが勝つと思いますか」投票数:1253
ケリー:86% ブッシュ:13%
これを見ると、エル・パイスの読者はブッシュ嫌いが多いようです。ただ、やはりこれにも関心が薄いようで投票数が少なく、さらに恐らく社会党支持者が中心に投票しているのでしょう。また、
■Ps「スカーフ、十字架、キッパのような宗教シンボルを学校で禁止すべきだと思いますか」投票数:3272
はい:68% いいえ:29% 分からない:2%
でも、カトリックの学校ではやはり十字架を着けるのでは・・・。
最後に、
▲Pld「地球外生命体(ET)はいると思いますか」投票数:4020
はい:79% いいえ:21%
どうやらカタルーニャ人はロマンチストのようで・・・。
お騒がせしました。