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Noah Shachtman
2004年2月20日 2:00am PT 米空軍が公開したある報告書は、アナリストによると、宇宙空間を戦場に変える米国防総省の取り組みについて、冷戦終結以来最も詳細に描いているという。
宇宙兵器の開発計画に関して米軍は、これまでせいぜいのところ、ほのめかしや暗示のような形でしか語らなかった。しかし、『米空軍トランスフォーメーション・フライト・プラン(PDFファイル)』で状況は一変した。2003年11月に出たこの報告書では、宇宙で米国が優位に立つことが21世紀の米国防総省の最優先事項だとされている。そして、軌道上の米国の衛星を他国の攻撃から確実に守ることを目的とした何十ものプロジェクト――対衛星レーザーから、「世界中の地上目標を宇宙から攻撃する能力をもたらす」兵器まで――を要約している。
米軍の活動において、宇宙空間の重要性はどんどん高まっている。兵士との通信、敵の追跡、スマート爆弾の誘導などで、衛星の利用がますます増えている。また、衛星にある種の防衛が必要かもしれないという認識も、ずっと以前からある。
しかし米空軍の報告書は、防衛能力にとどまらず、他国の衛星を使用不能にできる兵器が必要だとしている。
こうした米軍の構想によって、世界各国による軌道上での軍拡競争に火がつくのではないかと懸念しているアナリストもいる。
「他国がこれに甘んずるとは思えない」と、防衛情報センターの副所長を務めるテレサ・ヒッチェンズ氏は述べている。
米空軍の報告書に列挙されている宇宙兵器プログラムは、ヒッチェンズ氏が今月19日(米国時間)に電子メールで各方面に伝えるまで、あまり注目されていなかった。
「中国がこの件で刺激を受けて、(独自の宇宙兵器計画を)実行に移すのは間違いない」とヒッチェンズ氏は付け加えている。「ロシアも同じような対応をする可能性が高い」
米空軍は、敵の衛星を追跡する方法――そして、必要に応じて、空に浮かぶ敵の眼を見えなくする方法――を編み出すために、今年は数億ドルをかける計画だ。
空軍宇宙軍団の広報担当者によると、「宇宙空間にある敵の監視・偵察システムを妨害、撹(かく)乱、弱体化する」ための研究プロジェクトに、これまで6640万ドルが費やされてきた。さらに7900万ドルが、「宇宙空間の戦力を監視、識別する光学センシング衛星群」を構築する取り組みに充てられるという。
「将来、宇宙は敵がわれわれの妨害を試みる場所となる」と、この広報担当者は述べている。「『OIF』(イラクの自由作戦)中に(衛星が不可欠な)GPSを妨害しようとする動きがあったことから、敵がわれわれに宇宙空間を使わせまいとすることは明らかだ」
しかし、兵器を宇宙に配置することで十分な防衛が可能かどうかは不明瞭だ。この兵器そのものが軌道上で格好の標的となる可能性がある――優位性どころか、新たな弱点をもたらすかもしれない。
『天空の軌道を超えて――宇宙支配構想の出現』(Beyond the Paths of Heaven: The Emergence of Space Power Thought)の編者、ブルース・デブロイス氏は、米国の軍事計画において衛星はすでに弱さの「重心」になっていると主張する。地球周辺の衛星は、電磁波放射による妨害や、核爆発に対して脆弱だ。宇宙に置かれる武器はみな同じ脆弱性を持つことになる――そして、このような弱さの重心のせいで、より狙われやすい攻撃対象になっているという。
デブロイス氏は昨年、ジョージ・ワシントン大学で行なった講演で、「簡単に言えば、われわれは自らが攻撃目標にされる不安定な状況を作り出し、自らを弱体化しようとしている」と述べた。
しかし、米空軍の計画の目的は衛星の安全確保だけではない。『EAGLE』(Evolutionary Air and Space Global Laser Engagement)プロジェクトでは、米グッドイヤー社の飛行船よりも25倍大きな飛行船の下に反射鏡を取り付けることを目指している。地上、宇宙、空中から発射されたレーザーを飛行船に取り付けた鏡で反射し、敵のミサイルの追跡、さらには破壊まで行なうという構想だ。
なにやら眉唾ものの話に聞こえるかもしれないが、米空軍研究所の情報筋は、EAGLEプロジェクトが同研究所ビーム兵器部門で進行中であることを確認している。空軍の報告書によると、同研究所はほかにも『地上配備レーザー兵器』を研究中で、これは「大気圏を突き抜けるレーザービーム」を発射して敵の低軌道衛星を攻撃するものだという。
さらに異様なのは『超高速度ロッド・バンドル』研究プロジェクトだ。これは、軌道上から金属棒を落下させて地上のどこでも攻撃できるシステムを作るという構想で、何年も前から考えられ、そして馬鹿にされてきたものだ。金属棒が大気圏突入時に溶けてしまわないようにするのが難しい、とコロンビア大学のリチャード・ガーウィン教授(物理学)は2003年の研究発表(PDFファイル)で述べている。
ガーウィン同教授によると、兵器として想定どおりの効果をあげるには「金属棒の軌道を非常に低い高度にしておく必要があり、その場合でも1グラムあたりの破壊エネルギーは一般的な爆弾の9分の1にすぎない」という。
こうした技術的困難はあるものの、宇宙空間に兵器を配備するのは合法だ。1967年の『宇宙条約』(日本語訳)では核兵器その他の大量破壊兵器を軌道にのせることが禁止されているだけだ。
米国政府は何年も前からこうした兵器の開発を検討してきた――レーガン元大統領が提唱した戦略防衛構想(『スターウォーズ』計画)がとくに有名だ。
しかしヒッチェンズ氏は、「少なくとも表の(機密でない)世界で、これまでに宇宙兵器の配備を承認した米国大統領はいない」と語る。
一方、ドナルド・ラムズフェルド国防長官は長年にわたって軌道上に兵器を送ることを提唱してきた。2001年に国防長官に就任する前には宇宙と国家の安全保障に関する委員会の議長を務めており、この委員会では、数年以内に米国が『宇宙奇襲攻撃(PDFファイル)』を受ける可能性があると警告していた。こうした被害は避けなければならないと同委員会は言明し、その方法として最適なのは「大統領が宇宙に兵器を配備することを確実に選択できるよう……各能力を精力的に追求すること」だと主張している。
しかし、こうした戦略を進めることにより、実際には米国はさらに危険にさらされかねないと、『憂慮する科学者同盟』のデビッド・ライト氏は批判している。
「開かない方がよかったかもしれない扉を開こうとしている」とライト氏。
「米国は衛星保有数が最も多い国だ」とライト氏は説明する。対衛星兵器の開発は、「米国が最も失うものが多いシステムを正当化することになる」という。
米国以外の国々も、長らくタブー視されていた宇宙兵器への取り組みを開始する可能性がある。そして中国のような国は、米国ほど高度な技術を持たないものの、すでに中距離ミサイルや核弾頭など、宇宙空間で米国の衛星を破壊する能力を保有している。
「今回の動きへの反発で、米国はさらによくない状態に実際に置かれるかもしれない」とライト氏は付け加えた。
[日本語版:高橋達男/高森郁哉]
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