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この1年以上の間、マスコミが「大量破壊兵器」という言葉を使わなかった日は
なかった。パロディ・ページができてしまうくらい(以下を見てください)。
http://www.coxar.pwp.blueyonder.co.uk/(英語)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/riverbendblog8.html(日本語訳)
あらためて、大量破壊兵器ってなんだろう。核、生物、化学兵器というのが一般
的な答え。でもその分類は違うよ、というのがトロント・サン紙のエリック・マー
ゴリスの意見です。通常兵器とされているものだって、大量破壊兵器になりうる
し、まわりを見て! もっと恐いものがあるかもしれない・・・
TUP翻訳メンバー 池田真里
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大量破壊兵器入門
「何が大量破壊兵器で、何が大量破壊兵器でないか、はっきりさせよう」
2004年2月15日付 トロント・サン紙
エリック・マーゴリス 在外通信員
ニューヨーク発:ジョージ・W.ブッシュがお題目のように唱え、自らの政権の
スローガンにしてしまった「大量破壊兵器」という言葉。いまやこれほど濫用さ
れ、また理解されていない言葉はない。イラク戦争を開始するために、にせの証
拠をでっち上げた疑いがあるくらいだから、ブッシュ政権は、そのうち――たぶ
ん11月の大統領選挙の前に――かの地で大量破壊兵器をタイミングよく“発見”
するかもしれない。だから、何が大量破壊兵器で何がそうでないのか、はっきり
させようではないか。
三種の非通常兵器が大量破壊兵器と呼ばれている。核兵器、化学兵器、生物兵
器である。このうち、厳密な意味の大量破壊兵器は唯一、核のみ。核保有国は、
アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス、イスラエル、インド、パキスタ
ン、北朝鮮で、日本も保有しようと思えば、90日以内に核兵器を製造できる。
先週、ブッシュは、核が拡散しつつあると警告を発し、世界的に核物質取引禁止
を求めた。ときまさに、アメリカの同盟国パキスタンが核拡散の主要な担い手で
あることが明らかにされ、イスラエルはインドの核装備増強を支援し、アメリカ
は第三世界での軍事目標攻撃用新世代核兵器の配備を計画している。
化学兵器とは、発疱性、窒息性、中毒性の化学薬品を指す。イラク、リビア、
シリア、エジプトなどが保有するマスタードガスは、第一次世界大戦で開発使用
された。恐ろしい兵器ではあるが、大量破壊兵器ではない。可動大型貯蔵タンク
が必要で、戦場でしか使えないうえに、風向きに左右される。やはり第一次大戦
で使用された塩素ガスのような窒息性ガスもまた、友軍支援を目的とした局地的
兵器といえる。第二次世界大戦ゆかりの兵器、サリン、VXなどの神経毒ガスは
致死毒とはいえ、これらも局地的兵器である。戦術的価値をもつ地域の敵方使用
を妨害するためにその地域を破壊したり、価値のある軍事目標の制圧を目的とし
ている。結局、神経毒ガスは、第二次世界大戦中は使用されなかった。不安定で、
保存性も低く広域での致死性がなかったからだ。
炭疽菌、ボツリヌス菌、Q熱、野兎病、ペストなどの生物兵器は、ひじょうに
恐れられているものの、ほとんど理解されていない兵器である。生産、貯蔵、輸
送、散布が難しく、細菌兵器が実戦使用され成功した例はない。1930〜40
年代、日本は中国の一般人と軍事目標に向けて炭疽菌を仕込んだ爆弾を使用し、
またペストに感染したネズミを放出したが、これによる死傷者は局地的なものだっ
た。日本帝国陸軍は生物兵器作戦を失敗と結論づけている。生物兵器の兵器とし
ての破壊力は、不確実で限定的だ。
通常兵器でも、核兵器と並ぶ破壊力の大量破壊兵器となりうる。1945年に
アメリカが日本に落とした2個の原子爆弾は、10万3000人を殺した。 いっ
ぽう、アメリカの焼夷弾は、一晩で東京の市民10万人を焼き殺した。日本の記
録では、アメリカの空襲によって百万人が殺された。ドレスデンとハンブルグで
は、連合軍の空襲によって10万人以上のドイツ市民が焼き殺された。このほか
チェチェンでロシアが、アフガニスタンとイラクでアメリカが使用した燃料気化
爆弾や、アメリカが最近配備したMOAB爆弾(超ど級精密誘導型気化爆弾)は 、
小型戦術核兵器と同程度の破壊力を発揮でき、さらに大型化が図られている。
以上から、大量破壊兵器についてのいたずらな騒ぎと混乱を払って、曇りのな
い目で理解していただけただろうか。たとえ1993年当時、イラクが化学兵器
か生物兵器をもっていたとしても(その事実はなかったが)、それは大量破壊兵
器ではなかったし、アメリカに散布する手段もまったくなかった。ブッシュが主
張する脅威を与えていた可能性もない。局地的な損害以上の被害、つまり大量破
壊をもたらすほどの生物・化学物質を、テロリスト集団がこっそりアメリカに持
ち込む可能性はない。世界貿易センター事件のような攻撃は恐ろしいが、大量破
壊ではない。核爆弾といえども、小型のものは限定的な破壊を及ぼすだけである。
もっとも致命的なのにアメリカ人が見逃している大量破壊兵器は、かれらが愛
してやまない車、トラック、RV(レジャー用多目的車)ではないだろうか。全
米の交通事故死は、じつに年間4万3000人にも上るのである。
(抄訳:池田真里/TUP&「バグダード・バーニング」翻訳者)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/
原文
http://www.canoe.com/Columnists/margolis_feb15.html
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