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(回答先: 自衛隊イラク派遣は日本の国益にかなうのか 米ジャーナリストが対米従属に警告 (日刊ベリタ) 投稿者 ああ、やっぱり 日時 2004 年 2 月 22 日 13:21:30)
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/268
自衛隊のイラク派遣は世界のイスラム教徒の失望、反感、怒りを買っています
が、欧米人の眼にはどのように映っているのでしょうか。アメリカの独立系ジ
ャーナリストの視点でみてみましょう。
TUP 井上 利男
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『自衛隊イラク派遣は“対米依存”の病気』
――ティム・ショロック
アンチウオー・コム 2003年12月18日
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4年前、著述家・評論家チャルマーズ・ジョンソンはアメリカ対外政策の帰結
についての先見の明ある本を書き、その中で、戦後日本の歴代総理大臣を東ド
イツに君臨したヴァルター・ウルブリヒトおよびエーリヒ・ホーネッカーに辛
辣な言葉でたとえた。
ジョンソンは、「ドイツ民主主義共和国を統治するソ連の二人の代官がモスク
ワからのあらゆる指令に忠実にしたがったように、日本の首相は政権につくや
いなや、一人の例外もなく飛行機に乗ってワシントン詣でをする」と書いた。
[訳注:『アメリカ帝国への報復』鈴木主税訳・集英社刊 p41]
この評言は事実を突いているので、東京で苦々しく受けとめられた。第2次世
界大戦後の日本は、対外政策の決断を迫られる局面にさしかかると、しばしば
アメリカの従属国の立場を貫いてきた。その追従ぶりは気恥ずかしいほどであ
り、おおかたの傍観者の眼に、日本がワシントンの主人に仕える小者にすぎな
いという印象が残る。
例えば1972年、アメリカが中華人民共和国を中国の正統国家と認める決定
をくだし、それをリチャード・ニクソン大統領が佐藤栄作首相に伝えたのは、
世界に向けた正式発表のわずか数分前だった。ニクソン“ショック”は、日本
の外交官と実業家が夢想してきた数十年間の公認政策の時代をくつがえして、
佐藤を悲嘆に突き落としたと言われている。
それから10年近く後、元米大使エドウィン・ライシャワーが予告なしに記者
会見をおこない、1960年から日常的に米艦船が核兵器を日本の港湾と領海
に持ち込んでいて、日本の政府首脳もじゅうぶん承知していたと打ち明けた。
これは日本の非核3原則を突き崩す発言だった。
21世紀に入って4年にもなり、ベルリンの壁が崩壊してからも10年以上た
った現在も、冷戦が始まったころに確立した日米関係はほとんど変わっていな
いようである。
2003年11月に日米両国が安全保障条約50周年を言祝(ことほ)いだ今、
日本政府首脳は対米依存を深めようと決意しているようだ。アメリカに密着す
る軍事同盟が日本の国益にかなうか否かについて、国民的論議はまったく見当
たらないようである。
日本がアメリカの意のままに従う“やる気”の最良の例が、先週、小泉純一郎
の内閣がワシントンの求めに応え、自衛隊兵士1000名の駐留に同意した中
東に見られる。
イラクで日本の外交官2名が殺害された余波が収まらないうちに小泉が決定し
た自衛隊派遣は、第2次世界大戦以来、最大規模の日本軍の外国駐留になる。
これは日本にとって重大な政策転換であるが、ブッシュ大統領がイラクへの単
独行動主義的な先制攻撃を強行し、アメリカ対外政策の2世紀にわたる伝統を
投げ捨てなかったらありえなかった。
全国放送された12月10日の記者会見で、小泉は「イラク再建は中東全体と
世界の安定のために必要であり、それが日本の国益になる」と語った。これは
もちろん、イラク再建は中東と世界の安定のために必要であると、ブッシュが
何回も演説で披露している信念を正確になぞっている。
世界で独自の責任を担う主権国家にあるまじきことだが、小泉は長年のアメリ
カの同盟国としての責任を果たすとも言っている。「アメリカは日本が同盟す
る唯一の国であり、その国がイラクに安定した民主的な政府を樹立するために
懸命の努力をしている。日本もアメリカに信頼される同盟国でなければならな
い」と小泉は語った。
小泉の発言はあきらかに日本国民の説得を意図している。アメリカの海外軍事
行動への日本の参加に反対する声が圧倒的に多い。最近の世論調査では、“非
戦闘”部隊のイラク派兵に賛成しているのは有権者の3分の1ほどにすぎない。
外務省日米安全保障条約課の元課長であり、現在は駐ワシントン日本大使館の
政策顧問・兼原信克によれば、これからの日本はアメリカの対外政策目標をこ
れまで以上に忠実に支持することになる。
ワシントンに本部を置く笹川平和財団米国が主催した12月10日の安全保障
条約フォーラムで、兼原は「わが国は日米同盟に依存している」と断言した。
朝鮮戦争たけなわの1952年、領土内の米軍基地の無期限使用に同意した時
点で、政府首脳が採用した国家戦略の延長線上に、現在の日本の政策があると
兼原は述べた。
「わが国が新しい世界に跳躍し、国益を拡大した」のはその時点だったと兼原は
言った。「日本は持てる力を世界へ広げるために友好国が必要だった。わが国
はアメリカを選択した」
だが日本は「拡張主義国家にはならない」と兼原は請け合った。なぜなら、日本
の軍事力は本質的に防衛目的のためであり、攻撃力を保持しない。
朝鮮戦争の終結後、米陸軍の大半が日本から撤収したので、「日本の陸上戦力
に負担がかかった」と兼原は言う。陸上戦力は、攻撃能力のない航空戦力、お
よび1600キロメートルまでの輸送路を哨戒する能力しかない海上戦力の3
倍の規模である。「米第7艦隊はわが国の友軍である」と兼原は言った。
日本の海外戦力展開は、これまでと同じくアメリカの政策目標と緊密に連携し
てきた。日本初の海外任務になった1993年の国連指揮下のカンボジア平和
維持活動への参加は国内外の反応をみる実験であると日本では広く受けとめら
れた。カンボジアに続きケニアにも日本は“ブルーヘルメット(国連)平和維持
軍”部隊を派兵した。
さらに1997年、日本は重要な協定に署名し、アジアで米軍を後方支援する
ことになり、日本の海外軍事展開は大幅に拡大した。
[訳注:『日米防衛協力のための指針』 通称・新ガイドライン
全文: http://www2.odn.ne.jp/btree/syuhen/doc/NGui_J.htm#6 ]
日本国民も24人が犠牲になったアメリカへのテロ攻撃を受けて、日本は自衛
隊艦船24隻をインド洋へ派遣した。アフガニスタンで戦闘する連合軍艦船へ
の給油実績のうち、日本の給油艦によるものは50パーセントに達していると
兼原は言った。
兼原の講演を受けて、保守派シンクタンク、ヘリテージ財団の元アジア研究部
長、現在は米国防大学・国家戦略研究所の研究教授ジェームス・プシュタップ
が、日米同盟はアメリカの世界戦略の“中核”であると発言した。
北東アジアで日本を防衛し、“地域の安定”を保証するとともに、“アメリカ
の世界軍事戦略の一環”をなしている、この同盟は重要であるとプシュタップ
は述べた。「9月11日攻撃を受けて、アメリカが国外で最初に対応配備にま
わしたのは駐日米軍からだった」と彼は指摘し、「過去10年の間に、日本の政
策は大きく転換した」と締めくくった。
日本が独自の外交理念にのっとって世界を舞台に行動するのであれば、日本が
変わったと言うのも正しいだろう。だが、旧態依然なままの同盟関係が半世紀
以上も続き、アメリカの従属的なパートナーの地位にあまんじているかぎり、
日本はワシントン発の変化に追従しているだけである。すでに消滅したワルシ
ャワ条約のパトロンが健在であれば、旧ソ連の元衛星諸国は今でもモスクワを
周回する軌道を巡っているはずであり、現在の日本はそれと変わらない。
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[筆者] ティム・ショロックは米メリーランド州シルバースプリングス在住の
フリーランス・ジャーナリスト。専門はアジア、朝鮮におけるアメリカ対外政
策および労働問題。ネーション誌など米内外の出版物に寄稿。キリスト教伝道
者として1947年に来日した両親とともに、少年時代を東京で過ごす。
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[原文] Iraq Deployment Shows the East German Syndrome
by Tim Shorrock,posted at Antiwar.com, December 18, 2003
http://www.antiwar.com/ips/shorrock4.html
Copyright C2003 Tim Shorrock TUP配信許諾済み
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翻訳 井上 利男 協力 星川 淳 / TUP