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(回答先: 北朝鮮経済代表団、リビアを訪問へ [朝日新聞] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 2 月 22 日 14:54:10)
北朝鮮の核問題をめぐり25日から北京で始まる第2回6カ国協議に、米国は強い追い風を受けて臨む。リビアの大量破壊兵器廃棄宣言や核技術拡散に関するパキスタン科学者の「告白」などにより、北朝鮮の核の脅威を完全に除去する絶好の環境ができつつあるからだ。まずは北朝鮮の出方が大きな焦点だが、米国の対応も協議を決定的に左右する。その点ではこの追い風で、米国には「硬軟」の戦術を使い分ける余裕が生まれている。【ワシントン中島哲夫】
「(リビアの選択などについて)平壌では今も分析が続いているだろう」
そう話しながら米政府高官は余裕たっぷりの表情を見せた。6カ国協議に臨む米国の方針を19日、記者団に説明した席でのことだ。
ちょうど2カ月前の12月19日、リビアが米英との交渉の末に大量破壊兵器の全廃を宣言した。同月中旬の開催が期待されていた6カ国協議が先延ばしになり、「いつになったら開けるのか。そもそも解決の見通しはあるのか」と悲観的な印象が広がっていたが、それを契機に、状況は激変し始める。
米国が核兵器開発疑惑を指摘するイランも、妥協的な姿勢に傾いた。北朝鮮にとって最も衝撃的だったのは、米政府がパキスタンの「核開発の父」アブドル・カディル・カーン博士によって核技術が北朝鮮に流出したと指摘したことだろう。02年10月の米朝協議の際に北朝鮮が高濃縮ウラン開発計画の存在を認めたという米国の主張には疑問が提起され、特に中国や韓国で同計画の実在を疑う見方が目立ったが、カーン博士の事件により疑問提起の意味が薄れた。 ブッシュ大統領は鼻高々だ。核拡散防止に関する11日の演説では、カーン博士を取り巻く「核の闇市場」の実態を解説し、ここから流れた資材を米主導の拡散防止構想(PSI)による臨検で摘発したことがリビアの決断につながったと自賛した。PSIは大統領が国際社会に提唱したもので、最大の標的は北朝鮮というのが常識だ。
この演説で大統領は「他の政権」に、リビアの例にならうことを求め、大量破壊兵器の開発継続は「政治的孤立、経済的困難、その他の歓迎できない結果」を招くと警告した。6カ国協議で米代表団を率いるケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)は13日の講演でこれを引用し、北朝鮮に「国家戦略を劇的に変える」ことを要求した。
◆中韓との摩擦、懸念も
しかし、好材料ばかりではない。ブッシュ大統領はイラクの大量破壊兵器問題に関しては逆風を受けており、再選戦略に「黄信号」がともっている。イラク戦争を推進した政権内強硬派の焦りが、北朝鮮問題での「悪手」につながる可能性がある。
強硬派の一部はカーン博士の告白に勢いづき、北朝鮮が6カ国協議でも高濃縮ウラン開発計画を否定するなら「決裂だ」と気炎をあげている。
しかし94年の米朝枠組み合意の際、米国務省で担当調整官を務めたジョエル・ウィット氏(米戦略国際問題研究所上級研究員)は、北朝鮮の発想と行動様式からみて、「我々は詐欺行為を捕捉した。自白しろ」と迫るのは愚策だと語る。
19日に記者団の質問に答えた米政府高官は「最初から望み通りの内容を(北朝鮮から)聞けないからといって、席をけったりはしない」と述べた。ケリー次官補は講演で「数週間とか数カ月で解決できる問題とは思っていない」と語った。
こうして見ると、米代表団は「絶好の追い風」を生かし、余裕を持って硬軟の対応を使い分ける作戦のようだ。
ただ、状況が有利なだけに成果への期待が高まっているのは事実。強硬派の焦りが過度な圧力につながると、柔軟対応を求める中国や韓国との摩擦を招くことになる。
◆朝鮮半島問題に詳しいダニエル・ピンクストン米モントレー国際問題研究所上級研究員の話
北朝鮮は(米英との秘密交渉で大量破壊兵器の放棄に合意した)リビアなどの状況を注視していると思う。だが、合意は9カ月にわたる交渉の結果だった。一方、北朝鮮に対して米国は積極的に交渉する姿勢は見せていない。リビアとは状況が違い、北朝鮮に強い圧力をかけることは必要だが、(核放棄に向けた)出口、ロードマップを設定しておかないと、事態は困難になるだろう。
(米国が廃棄を求めている)高濃縮ウラン開発計画については、パキスタンからの(核技術流出)情報で、北朝鮮にとってもこれ以上否定し続けることは難しくなっている。協議を先に進めるためにも、何らかの討議は必要だろう。
作業部会の設置は、核放棄の話し合いには必要だ。放棄検証のための査察の内容など複雑で技術的な問題を議論する必要があり、現在のようなペースで協議していたら、いつまでたっても終わらない。今回の協議で部会設置に合意できれば、現実的な成果といえ歓迎できる。
北朝鮮にはエネルギー確保の問題があり、経済を回復させるためにも韓国が提案すると見られる重油供与は必要なことだろう。【聞き手・ワシントン和田浩明】
[毎日新聞2月22日] ( 2004-02-22-23:32 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040223k0000m030086000c.html