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沖縄戦最後の激戦地となった本島南部で、当時の状況を説明する元日本兵の近藤一さん=9日、沖縄県糸満市摩文仁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040221-00000114-kyodo-soci
自衛隊のイラク派遣に対し「戦争へと突き進んでいった戦前の状況に似ている」と各地の講演で警告を発している元日本兵がいる。太平洋戦争中、中国と沖縄の最前線で日本兵として戦い、加害体験や戦争の悲惨さを語り続けている三重県桑名市の近藤一さん(84)だ。「あの犠牲は何だったのか。戦争ができる国にしてしまった小泉首相は許せない」との思いが近藤さんの原動力になっている。
近藤さんは1940年から、歩兵として中国各地を転戦。44年8月、沖縄に送り込まれた。背中に銃弾を受けて負傷し、その後、米軍の捕虜になって終戦を迎えた。
「事実を伝えることが戦争抑止につながる」と言う近藤さんは、略奪、殺人、強姦(ごうかん)など中国人への残虐行為の体験を積極的に証言。無謀な作戦で下級兵士が無残に死んでいった沖縄戦の様子も語っている。
近藤さんは2月上旬、中国での旧日本軍の性暴力などを調査している団体と一緒に沖縄本島南部の戦跡をたどり、仲間が玉砕した場所で「これまでは平和な国になったから安心してくださいと呼び掛けていたが、今は悔しい、すまないという気持ちでいっぱいだ」と声を詰まらせた。
「(戦争の傷は)60年近くたっても消えません。心の中はズタズタになるんです」。山中で敵が迫っているが、弾が切れて銃が撃てない…。そんな夢を、今でも講演の後に必ず見るという。
24日には三重県内の高校で講演する。そのときには「戦争に持っていく国の体制は巧妙に仕組まれる。後戻りするのは至難の業です」と自身の体験を振り返りながら訴えるつもりだ。(共同通信)
[2月21日17時41分更新]