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中国政府が昨年夏、米政府からの情報をもとに、北朝鮮による核関連物質の輸入を阻止していたことがわかった。中国政府は、米政府が提唱した大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)への参加を見合わせているが、朝鮮半島の非核化に向けて水面下で連携している形だ。北朝鮮の最大の同盟国である中国が米国と組んで核の封じ込めに動いたことは、北朝鮮が核開発を進める上で大きな重圧になっているとみられる。
この物質は、使用済み核燃料棒から兵器級プルトニウムを抽出する際に溶媒として使われるリン酸トリブチル(TBP)という液体。北朝鮮による核関連物質の調達の事実の一端が表面化したのも異例のことだ。
米中関係にかかわる複数の米政府当局者によると、米中央情報局(CIA)は昨年夏、北朝鮮が大量のTBPを輸入しようとしているとの情報を入手。TBPを積んだコンテナを運ぶとみられる平壌行きの列車を調べ、外交ルートを通じて中国政府に通報、輸送を阻止するよう働きかけた。
中国の捜査当局は、遼寧省の中朝国境の都市・丹東の駅でこの列車を止め、捜索した。米当局が指定したその列車からはTBPが見つからなかったが、同駅での捜査を続けたところ、後日、別の平壌行き列車のコンテナ内からTBPを発見、押収したという。
この約半年前の02年12月、CIAは同様に、約20トンのTBPが中国から北朝鮮に輸入されるとの情報を事前に入手したが、米政府内で検討した結果、「中国の協力が得られる可能性は低いとの結論に達した」(米当局者)ため、通報は見送られていた。
その後、北朝鮮は寧辺の核施設から国際原子力機関(IAEA)の査察官を追放し、使用済み核燃料棒を運び出すなど行動がエスカレート。危機感を募らせた米政府は再びTBP輸入の動きをつかんだ昨年夏、中国政府に知らせて行動を促す決定に転じた。
中国政府はTBPの同国内での製造や輸出入を規制しているが、このコンテナは義務づけられている届け出がされていなかったという。コンテナを手配した業者や、TBPがどこから運ばれていたのかなどは明らかにされていない。
核の拡散阻止をめぐる米中間の協力について、ボルトン米国務次官は16日、訪問先の北京で「PSIは組織ではなく、行動だ」と表明。中国の正式参加は必ずしも求めずに「情報交換などで連携を強化」「中国はPSIの参加国と同じ目的を共有している」などと評価する発言をしていた。
中国政府は昨年2月にも、東北部から北朝鮮に燃料を供給するパイプラインを一時停止した。中国側は「技術的な理由」と説明したが、米政府などは、核問題で北朝鮮に自制を促す中国の圧力だったとみている。そのうえ核関連物質の輸入も妨げられたことで、北朝鮮は中国側の警告をくみ取り、その後の第1回6者協議の開催に応じた可能性もある。
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〈リン酸トリブチル〉 無色無臭の液体。ウランやプルトニウムをよく溶かす性質を持つ。使用済み核燃料の再処理法のうち、欧米や日本で採用されているピューレックス法では、ウランとプルトニウムを他の核分裂生成物から分離する工程と、最後にウラン、プルトニウムをそれぞれ精製する工程で溶媒として使われる。使い切りではなく、何度も再利用される。
原子力関係者によると、再処理に必要なリン酸トリブチルの量は工場の性能や工程によって異なるが、1日に数キロのプルトニウムを抽出できる規模の工場の場合、10トン前後は必要。プルトニウムは一般に、約8キロで原爆1個がつくれる。
〈拡散防止構想(PSI)〉 核兵器やミサイルなどの大量破壊兵器が他国やテロ組織に売買されるのを阻止するため、米と各国の間で取り決めを交わし、国際法上は難しい飛行機や船舶などの臨検も可能にする構想。昨年5月末にブッシュ米大統領がポーランドで演説し、世界に提案した。主に北朝鮮やイランの核・ミサイル輸出を念頭に置いている。現在、日・豪や欧州を中心に16カ国が参加し、不審船の臨検を想定した洋上演習などを行っている。
(02/21 03:01)
http://www.asahi.com/international/update/0221/001.html