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アメリカがイラクから急いで撤退しようとしているが、アメリカ撤退後、イラクは内戦に陥るか、クルド人地域が他の地域から独立して分裂する可能性が大きくなっている。そんな中、エジプトのムバラク大統領の側近が「イラクの分裂は中東全体の崩壊につながる」と警告を発した。
エジプトの大統領政治顧問であるオサマ・アルバズは最近の講演で「エジプトはイラクを分割しようとするあらゆる試みに反対する。イラクが分割されれば、周辺諸国の分離独立運動を煽り、中東全域の情勢を悪化させる。これは、アラブ世界の崩壊につながりかねない。悪影響が全世界に広がるだろう」と述べた。
http://jang.com.pk/thenews/jan2004-daily/27-01-2004/world/w9.htm
彼の発言からは、以前の記事で紹介した「イラク3分割案」がアメリカによって検討され続けていることがうかがえる。
http://tanakanews.com/d1127iraq.htm
イラクが分裂した場合、最も危険にさらされる周辺国は、クルド人を抱えるトルコとシリア、イランであろう。中でもトルコが、クルド人の分離独立傾向が強い。シリアでは、運動自体はこれまでの強権政治によって鎮圧されているが、問題はシリアのアサド政権自身が、国内では少数派のアラウィ派イスラム教徒によって占められていることだ。
アラウィ派はシリア国民の11%を占めるに過ぎないのに、大統領を世襲したアサド家がアラウィだということで特権的な地位にいる。今後、クルド独立によってたがが外れた場合、シリアでは、国民の70%を占める多数派であるスンニ派が「アラウィから政権を奪還せよ」という動きを起こすかもしれない。
そうなるとシリアでも「政権転覆」が起きてしまう。その後のシリアは部族間の内戦になり、これまでシリアが事実上支配していたレバノンでも再び内戦に陥る可能性が大きくなる。
イラクに続いてシリア、レバノンでも政権が転覆され、部族間の内戦場になっていくことは、イスラエルから見れば万々歳であろう。イラク戦争を引き起こした米政権中枢の「ネオコン」が狙っていたことは、まさにこの点にあったのだと思われる。
★使えない「使える核兵器」
アメリカが、敵の地下軍事施設を破壊する「使える核兵器」を開発し始めていることに対し、これまでタカ派と思われていた元司令官が反対を表明している。
チャールズ・ホーナー(Charles Horner)というこの元空軍司令官は、1991年の湾岸戦争で空爆を戦略策定した人である。彼は湾岸戦争の直前、核兵器を使ってイラクを攻撃することについての軍内での検討を指揮した。バグダッドを核兵器で攻撃することと、砂漠に展開するイラク軍を核兵器で攻撃することという2つの可能性について検討し、その結果、核兵器はバグダッドなどの都市を破壊するためには効率的だが、展開中の敵軍を破壊するためには無数の核兵器が必要となり、実用にならないことが分かったという。
このことからホーナーは、核兵器とは「使うぞ」と敵国を脅すために持つという「抑止力」にはなっても、実際の戦場で核兵器を使うのは全く馬鹿げており、放射能の散乱など途方もない悪影響を生むだけだと考えるようになった。戦場では、核兵器より通常兵器の方が良いという結論が出た。
こうした考えからホーナーは、実戦で使えるように破壊力を小さくした小型核兵器の開発をアメリカ国防総省が始めたことに反対している。彼は「これまで核兵器とは持つことは必要だが"使えない"ものと認識されていたが、今後は若い世代の将校たちが核兵器を"使えるもの"と考えてしまうかもしれない。それは非常に危険であり、正気の沙汰とは思えない」と言っている。
http://www.nuclearpolicy.org/NewsArticle.cfm?NewsID=1237
ホーナーは、ミサイル防衛構想を強く支持する強硬派として知られており、今回の発言は、米軍内部にも小型核兵器の開発に対する反対が根強いことを表している。