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(回答先: 「自衛隊のイラク派兵差止訴訟」箕輪登さんを原告に、28日午後2時に札幌地裁に提訴 投稿者 縄文人 日時 2004 年 1 月 29 日 01:28:18)
訴状の詳しい内容に関してはHPを見ていただければ明らかですが、
一応そのなかから、めぼしいところを以下にご紹介します。
●第1 はじめに
1. 本訴訟は、日本と他国の人々が互いに殺傷し合うことなく、互いに平和的
に生存することを希求する主権者の熱誠と決意の表明である。
先の大戦の惨禍を経て、我が国は国権の発動たる戦争と武力による威嚇、武力の行使を、国際紛争を解決する手段として永久にこれを放棄した。
1954年に自衛隊法が制定され、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛すること」を任務とする陸海空自衛隊が創設された。以後、自衛隊は憲法違反の批判にさらされてきたが、政府は一貫して「自衛のための必要な最小限度」の自衛力は合憲であるとする、「専守防衛」の立場をとってきた。
2. しかるに小泉首相率いる被告は、イラクにおける連合国暫定当局(coalition provisional authority/CPA)の一員として、イラク国内の治安等の活動のために、重装備の自衛隊を派遣することを決定した。
そして2004年1月9日、防衛庁長官は、旭川に司令部を置く北部方面第2師団を中心とする陸上自衛隊先遣隊に派遣命令を発した。続いて、同月26日には本隊にも派遣命令を発した。
これは、国是とされてきた「専守防衛」の立場の放擲である。自衛隊員に本来の任務に反する行為を行わせ、国民にイラク戦争への事実上の「参戦」を強いるものである。
3. 政府が、憲法第9条を打ち捨て、正論を唱える国民世論を封殺して、違憲の行為に突き進もうとするとき、国民の依るべきところは、憲法の砦である裁判所以外にない。
原告は、政権党の国会議員としてわが国の防衛政策、外交政策に深く関与してきた。「専守防衛」の肯否や内容をめぐり、野党と激しい論争も行ってきた。しかし、今回のイラクへの派兵は、かような原告の立場からしても、明らかに憲法第9条、自衛隊法に違反する。
いま日本は、「専守防衛」の立場すら投げ捨て、国外で積極的に武力を行使する国になろうとしている。創設50年目の自衛隊が、戦後初めて、他国民と戦闘を交え、加害者・被害者を出すことが現実のものとなっている。
日本国憲法を懐く日本国民として、これを許してはならない。
原告は、多くの主権者がイラク派兵反対の声をあげ、連帯し、ともに立ち上がることを心から訴える。
●第3 イラク戦争の実態とその国際法上の地位
1. イラク占領の実態
(1) 2003年3月20日、米英は、イラクが国際社会の平和と安全に与え
ている脅威を取り除くための最後の手段だとして、仏、独、露などの反対世界的に広がった反対世論を押し切って、武力攻撃を開始した。
米英は、イラクの「脅威」の内容について、2001年9月11日アメリカ同時多発テロを実行した国際テロ組織に援助を与えていること、生物化学兵器などの大量破壊兵器を開発・保有していることなどを挙げた。
しかし、今日に至るまで、フセイン政権と国際テロ組織とを結び付ける証拠は発見されていない。
また、イラクで大量破壊兵器を捜していた米調査団は、1400名態勢で約7カ月を費やしたにもかかわらず、発見することができなかった。調査団長のデビット・ケイ氏は、2004年1月に団長を辞任し、「大量破壊兵器はもともと存在しなかったと思う」と述べた。
(2) 同年5月2日、米ブッシュ大統領は、イラクにおける戦闘終結宣言を行った。 しかし、その後も戦闘行為は収束せず、後添「イラク戦争の実態一覧表」の通りである(新聞のデ−タベ−スとアメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局作成「イラク戦争被害の記録」に基づいて整理した)。
戦闘終結宣言前より宣言後の方が犠牲者が多く、同年12月13日のフセイン大統領の身柄拘束後も続いている。
襲撃及び被害はイラク全土に及んでいる。
陸上自衛隊が派遣されるサマ−ワにおいても、最近、同年12月27日及び2004年1月3日、同月24日に発砲事件が発生し、それぞれ死者が出ている。
米英軍に対してのみならず、国連、赤十字国際委員会などの国際組織や各国部隊、民間人、CPAに対する襲撃が増加し、かつ対象が拡大している(後添「イラク戦争の実態一覧表」中、網掛け欄参照)。
(3) アナン国連事務総長は、2003年12月10日、第2回イラク情勢報告にて、要旨以下のとおり述べ、イラク全土の治安状況の悪化を明言している。
「23項 ・・8月にイラクの全般的治安状況が劇的に変化した。イラクは新たな段階に入り、すべての外国組織や連合暫定当局に協力するイラク人が、意図的で直接的な敵対的攻撃の潜在的標的となった。こうしたタイプの治安上の脅威は予想されていなかったものだ。」
「28項 ・・委員会〔イラクにおける国連要員の安全と治安に関する独立
委員会〕は10月20日に報告を提出した。その結論は、イラクには危険が伴わない場所はない・・」
「(・.イラクにおける国連の今後の活動方法 A 治安)
72項 立案のために、イラクにおける国連活動の本質的な計画見直しの全体を通じて、治安状況に関して以下の想定を念頭においた。
a. 治安状況は短期・中期的に改善しそうにないし、さらに悪化する
かもしれない。
b. 国連は、予見できる将来にわたって、イラクにおけるテロ活動の
重要で衝撃度の大きな標的にされるだろう。」
2. イラク占領は国際法上の交戦状態
(1) イラク特措法が国際法的根拠として掲げる国連安保理決議第1483号は、第5項で「あらゆる関係者に対し、1949年のジュネ−ブ条約及び1907年のハ−グ協定をはじめとする国際法による義務を完全に果たすよう呼びかける」と規定している。
ジュネ−ブ条約には、第1条約「戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する条約」、第2条約「海上にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する条約」、第3条約「捕虜の待遇に関する条約」、第4条約「戦時における文民の保護に関する条約」がある。
ハ−グ協定は、害敵手段の制限(戦闘員と文民、軍事目標と民間物の区別など)を定めている。
国連安保理がこれら交戦法規の完全な適用と履行を求めるのは、イラク占領が国際法上の交戦状態にあることを認めるからにほかならず、その適用はイラク国内全土に及び、例外地域は存在しない。
(2) 米英等によるイラク占領政策は、国連安保理決議第1483号及び同第1511号を根拠として、総合司令部の下にあるCPAによって遂行されている。
自衛隊は、占領政策の一環として、法的には占領軍の一員として、CPAの完全な指揮下に行動する。
自衛隊には、占領軍の特権を規定したCPA命令17号が適用され、刑事・民事・行政のいかなる裁判権からも免除されている。従って、イラク市民をテロ勢力と誤認して射殺しても裁判はおろか、一時的な拘束も免れる。
CPAの基幹は約11万の米軍であり、自衛隊はCPAの同意を取り付けて活動する。CPA占領政策の一端を担う以上、自衛隊の活動場所や活動内容の決定、変更、撤収等を、わが国独自の判断のみで行うことはできない。
●第4 イラク派兵の違憲・違法性
1. イラク派兵は憲法9条違反
(1) 日本国憲法第9条1項は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定める。
「国権の発動たる戦争」とは、国際法上の戦争一切を含み、「武力の行使」とは、戦争に至らない実質上の戦争行為を広く意味する。
(2) そして、自衛隊について、歴代政府は、わが国自衛のために必要な最小限度の自衛力は合憲であるとする、「専守防衛」の憲法解釈をとってきたこの立場に基づけば、自衛隊が、他国による侵略行為がないのに、外国領土に出かけて「武力の行使」を行うということは、全く考えられない。
よって、イラク特措法及び基本計画に基づくイラク派兵は、「専守防衛」の憲法解釈に立っても明らかに憲法第9条に違反する。
2. イラク派兵は自衛隊法違反
(1) 憲法第9条を受け、自衛隊法第3条は、自衛隊の任務について「わが国の平和と安全を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」と定め、「主たる任務」が防衛出動であることを明記している。
ところが政府は、今回の自衛隊のイラク派兵にあたり、イラク特措法に基づいて物品の提供や部隊等に役務の提供を行わせることができるとする自衛隊法の附則一部改正を行い、これを同法上の自衛隊員派遣根拠とした。
これは、本文が規定する「主たる任務」に背反する任務を、形式的に附則で定めて取り繕おうとするもので、自衛隊法の趣旨を潜脱するものである。
(2) また、自衛隊法は、「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる」と定め(第87条)、防衛出動の場合には「わが国を防衛するため必要な武力を行使することができる」とするが(第88条)、治安出動や自衛隊施設の警護等の場合には、一定の要件(警察官職務執行法の準用)の下に「武器の使用」を認めるに止まる。
今回のイラク派兵にあたり自衛隊は、無反動砲や個人携帯対戦車砲など重装備の武器を携行し、交戦規則(rule of engagement/ ROE)を定めて臨んでいる。これは、自衛隊法が定めている「武器の使用」概念と比較しても明らかにこれを超え、「武力の行使」にほかならない。
これは、前記・と同様、自衛隊法の趣旨を潜脱するものである。
3. イラク派兵はイラク特措法にも違反
(1) イラク特措法第2条3は、「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域において、活動を実施することを定めている。
派兵期間は、2003年12月15日から2004年12月14日までの1年間とされているので(基本計画2・イ)、この期間、確実に戦闘行為が行われることがないと認められることが必要であって、将来の不確実な事実に期待 するような事実認定が許されないことは当然である。
(2) しかるに、既述したとおり、現在のイラク国内は全土が戦闘状態にありかつ国際法上交戦規程が適用される軍事占領下にあるのであり、仮にイラク特措 法を前提としたとしても、同法中の「非戦闘地域」の要件を充足していない。
国連現地事務所、赤十字国際委員会、スペイン等がその要員をイラクから撤収し、米国から派兵を要請されていたトルコやインド、パキスタン等の国々が派兵を見合わせているのは、その証左である。
なお、現在、イラク国内で活動する軍事組織は、日本を含めて38カ国である。国連加盟国(191か国)の2割にすぎず、ドイツ、フランス、ロシアなどの大国を含む世界の大多数の国が派遣していない。政府は、自衛隊を派遣しないことが国際協力あるいは国際協調主義に反するかのごとく述べるが、各国の主権が尊重される国際法の原則からはもとより、客観的な事実としても、理由がないと言わざるをえない。
http://www.hg-law.jp/iraq/
http://www.creative.co.jp/top/main.cgi?m=545