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週刊ポスト2/6号「小泉・自衛隊が築く札束の陣地」ボディガード代は100億円(2)-(4)
http://www.weeklypost.com/jp/040206jp/index/index1.html
<TWP/サマワ⇔東京⇔ワシントンリポート>
小泉・自衛隊が築く札束の陣地
前方はオランダ軍、後方は部族がガード!
イラク派遣兵士たちはひどく赤面した
(2) ボディガード代は100億円
政府は自衛隊派遣にあたって、準備費用や先遣隊活動費として予備費から251億円の予算を組んでいる。しかし、海外での活動を想定していなかった自衛隊では、予算の使途は厳密に決められ、現地での様々な工作や情報収集活動に使う機密費はない。
自民党防衛族幹部の話だ。
「サマワの部族長たちは警護組織をつくるにあたって兵士の給料を要求している。警護中に彼らの中から犠牲者が出れば補償金も必要になる。そこで、まず手付金として100万ドル(約1億1000万円)程度のつかみ金を渡さなければならない。防衛庁にはそんな予算は出せないから官房機密費や外交機密費を使う。先遣隊も官邸から自由に使えるカネを持たされている」
イラクの多くの家庭では1日100円以下の収入で生活している。イスラム過激派の兵士たちは家族に300万円を残すために自爆テロも辞さないという現実がある。100万ドルあれば、警護部隊に志願する兵士たちに当面の給料を払うことは不可能ではない。もちろん、機密費100万ドルはほんの一時金にすぎず、小泉首相はもっと大きな金額を想定している。
「イラクでは部族の有力者に石油の富が分配され、そのカネが部族内に回っていく。兵士への給料というより、部族長にまとまったカネを渡す方が重要だ。サマワの各部族は土地勘もあるし、武器の扱いも慣れている。自衛隊の警護を名目にカネを払えば地元も潤うし、今後のイラク外交の布石にもなる。官邸は最終的には100億円ぐらいのカネならムサンナ州の24の部族に渡してもいいと考えている。それで自衛隊員の安全が買えるなら安いものだ。具体的なやり方は先遣隊からの報告を聞いてから検討することになる」(官邸筋)
自衛隊のボディガード代にポンと100億円を出すとはさすがに経済大国ニッポンの総理大臣ではないか。それで自衛隊が犠牲者を出さずにすめば、小泉内閣は安泰ということである。
http://www.weeklypost.com/jp/040206jp/index/index1.html
(3) 福田官房長官「失態隠し」の逆上
サマワのイラク人警護隊に守ってもらうといっても、自衛隊を責めるわけにはいかない。その原因は、自衛隊派遣の実施計画で陸自の派遣人数が600人と決められたことにある。
陸上自衛隊北部方面隊総監部や統合幕僚会議の“参謀”を歴任した元陸自一佐が「報道規制でものがいえない現役幹部たちの悔しい思いを代弁してやりたい」とこう語る。
「陸幕では、サマワでの給水や医療活動を実施するためには最低でも700人は必要だと数字を積み上げていた。ところが、福田官房長官は自分が発表する前にその数字が報道されたことで激怒し、“500人に減らせ”と要求してきた。防衛庁は小泉首相に“減らされては活動が十分にできない”と訴えたが、結局は中間をとって600人を上限にすることになった。そのツケが警備態勢の弱体化を招いた。定員が100人減ったため、実施計画で警備要員が130人と定められた。それではとても足りない。3交代勤務の警備を2交代にするなど、不足する100人分の仕事を他の隊員が分担しなければならなくなった」
小泉首相が現地の部族に巨額のカネを配って自衛隊警護を頼まざるを得なくなったのは、福田氏の間違ったシビリアンコントロールを修正することができなかったからではないか。
そう見ると、福田氏が陸幕長の記者会見を中止するように圧力をかけたり、報道管制に人一倍神経質になっているのは、制服組が会見で不満をぶちまけ、自分の失態を批判されることを防ぐためだとみれば合点がいく。
http://www.weeklypost.com/jp/040206jp/index/index1.html
(4) 自衛隊はハローワークではない
自衛隊の安全をカネで買うという小泉首相の≪傭兵作戦≫自体、逆に隊員を危険にさらす恐れがある。
現地の情勢に詳しい政府首脳の一人は、サマワの2月危機を心配する。
「現地では“自衛隊が来れば仕事がもらえる。道路も家も直してくれる”と期待感が膨れあがっている。だから最初は大歓迎を受けるでしょう。しかし、自衛隊はイラクの人々の復興活動を手助けに行くのであって、救世軍でもハローワークでもない。25万人分の雇用が生まれるはずもない。陸自の本隊が本格的に活動を始める2月になれば、サマワの人々も自衛隊への期待が幻想だったと気付く。歓迎ムードが強いほど、失望も大きく、失業者のデモや市民の生活の不満が自衛隊に向けられる危険性が強まる」
その上、同じサマワ地域の人々の中で、護衛部隊を担う部族長たちには日本から巨額の資金が支払われていることがわかるとどうなるか。
100億円が市民全体に行き渡ればまだいい。しかし、あの国ではそんなことはあり得ない。一部の部族長の一族が分け合い、自衛隊特需の恩恵を得るひと握りの特権階級と、他の市民との間に大きな貧富の差をもたらすことは目に見えている。
「市民の怒りが日本に向けられ、その時こそ、支持を失った自衛隊はテロリストたちの格好の標的にされかねない」(前出の政府首脳)
そんな事態は絶対にさけなければならないし、それこそ小泉首相や福田官房長官ら政治の判断が問われている。
米国の有力シンクタンク・日本政策研究所所長で、ブッシュ政権の覇権主義を厳しく批判した著書“The Sorrows of Empire”(帝国の悲哀)が全米で大きな反響を呼んでいるチャルマーズ・ジョンソン氏は、日本にこう警告している。本誌のインタビューに答えた。
「米軍のイラクでの死者は500人に達した。ベトナム戦争以来の死傷者です。米軍がイラクを離れたら、次はスンニ派とクルドの内戦が起きるでしょう。イスラム社会ではアメリカは何の力も持ち得ていないのです。反感だけを買っている。昨年は世界中で戦争反対のデモが起きました。アメリカは現実を無視して戦争に踏み込み、国連の賛同も得られなかった。そのイラクに自衛隊を送ることは、日本もアメリカの帝国主義に加担していると見られる。自衛隊にとってイラクほど危険な場所はないのです」
ジョンソン氏は、「自衛隊へのテロ攻撃は必ず起きる」というが、いくら日本政府でもそれを予想しないほど脳天気ではない。だからこそ、現地部族にまで手を回して安全策を施している。
自衛隊を戦場に駆り立ててまで、イラク戦争の正当性をなりふり構わず演出したワシントンの野心こそ、自衛隊だけでなくイラクに派遣された各国の兵士たちを危険にさらしている。アメリカ防衛の先制攻撃戦略がもたらす結果責任を厳しく問う。小泉首相は派遣自衛隊員の身を案ずるなら、政治家としてそこを追及する真剣勝負をアメリカに挑んで見せよ。