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日本アラブ通信 編集長
日本ペンクラブ国際委員
元東海大学国際学科講師(中東)
阿部政雄
2004年1月24日
拝啓 小泉首相殿28 アメリカのワナにはまらないために 戦前、戦中の一層の勉
強を
河野洋平衆院議長は22日、都内のホテルでの講演で、イラクへの自衛隊派遣につ
いて「議長の立場で『自衛隊はいかん』とか言うべきでなく、派遣についてはコメン
トしない」と断りながら、「(外交官殺害事件を受け)『弔い合戦をやるんだ。さあ
行け!』と煽っているような感じが一部にあり、心配だ。」と懸念を示されたと報じ
られています。そして、国会内でも戦後派世代が多数を占めるようになったことを紹
介し、「戦前、戦中のことを相当しっかり勉強して欲しい。最近の時勢や風潮に乗っ
ての発言には、多少の不安を感じざるえない」と苦言を呈されたといいます。
河野議長、よくぞいって頂いたというのが、戦中派としての率直の感想です。本当
の政治家(ステーツマン)の言葉を聞き、保守党の中にもこうしたことを堂々と披瀝
される方がおられることに、どんどん右傾化していく無気味な今の日本の政治の中に
あって、未来への明るさを取り戻せるという希望が湧いてきます。
しかし、ズバリ言うなら、戦争がどんなに社会を破壊し、人びとの心を荒廃させる
かということに尽きます。第3世界にも開国された広い国際視野に立ち、「・・・二
度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救いたい云々』
と謳った国連憲章の『言語に絶する悲哀』をもたらした戦争のおぞましさを真剣に勉
強して欲しいと願っています。(戦争の悲劇を知っていらしゃる議員もいらっしゃる
ことは承知しています。その先生たちには非礼をお詫びします。)
たしか、ジャン・コクトーの小説に「恐るべき子どもたち(アンファン・テリブル)
」
があったのを思い出しますが、武器輸出三原則見直し検討を主張した、今月14日の
石破防衛庁長官を話を聞くと、戦争プラモデルのオタクだと思っていた石破氏が武器
産業にも食指を動かしていると知り、これでは和製ネオコンではないかと愕然としま
した。こうした「戦争を知らない世代」の国会議員が多くなるのは自然な時の流れで
しょうが、しかし、切れば赤い血のでる日本国民、いや世界の諸国民の生身の生活へ
の思いやりがなければ、本当の政治家の使命は達成できないと思っています。
「戦争未経験」の国会議員は、決して自民党の国防族の議員ばかりではありません。
民主党の今後をになう若手の政治家が、平和とより豊かな生活を求める全世界の人び
との切実な願いよりも、日米同盟を日本外交の基軸として、アジアや日本の民衆の貴
い犠牲によって獲得された憲法をどんどん改定していこうとする議員もいらして、そ
の方々の姿勢に戦慄すら覚えるのは決して小生だけではないでしょう。小生の願いは、
河野議長の忠告にあるように、「戦前、戦中のことを相当しっかり勉強して欲しい」
ということに尽きます。
こうした日本の最近の歴史すら省みないで「憲法」を新たに創造するという創「憲」
など、血の通ったものができるなどと到底思えません。まず、現憲法を活かすことで
す。
戦後日本がこれほどの経済大国になったのも、平和憲法を実施てきたからだというこ
と
は、日本ばかりか世界の国々が認めるところです。創「憲」ではなく、活「憲」であ
る
べきと思っています。
ところで、小泉首相は、終戦の年には、まだ3才なので戦争の苦しみは体験してい
ない世代でしょう。しかし、日本国民の明日の生活を預かっている首相として、戦前、
戦中のことを知る第一番の義務を負っているのは、正に貴方なのです。どうか、自分
の意志に反して遠いイラクまで、妻子を後にして派兵される自衛隊員のことも真剣に
考えてください。
アメリカの 底知れぬワナに はめられるな
色々書きたいことは山とありますが、そんなスペースも時間的余裕もないので、今
日は一点だけ警告したいと思います。それは自衛隊を派遣させ、日本を泥沼の中に突
き落とし、アメリカの潜在的競争相手である経済大国、技術大国としての日本を消滅
させようとしているブッシュ政権のワナにはまるなということです。
小泉さんにとってはブッシュ大統領は、自分の命の次に大切な方かも知れません。
しかし、戦中派として、アメリカの無差別な本土大空襲、沖縄への残酷な砲撃と火炎
銃まで使用した掃討作戦、そして23万人余の無辜の日本人を2発の原爆で殺したア
メリカを知り、かつ目撃してた小生には、そう簡単にアメリカへの警戒心を解けとい
われても、中々解けるものではありません。
第2次大戦後もアメリカは第3世界にたいして残虐なことをしてきました。最近の
例ではあの9・11事件以来、アフガニスタン空爆、そしてイラク戦争と、どれだけ
残虐なことをしてきたか、それは小泉さんも御承知だと思います。
ただ、こうしたことが半世紀以上も続けられているのは、アメリカが国際情報操作
によって西欧のメディアに「為にする報道」をたれ流させ、それが多くの国の情報の
ベースにされているからに外なりません。
先日も音楽関係の友人と話していたら、「あの9・11事件の時に民間航空機が2
機、世界貿易センターに突っ込んだにも関わらず、その乗客として犠牲になった人々
や家族の嘆きなど、どの新聞に一行も書かれないのは不思議だと思っている』といっ
ていました。小生も米国国防省に突っ込んだ飛行機も結局、作り話だったらしいと話
しました。
9・11事件の真犯人だって、アメリカはとっくに知っている、もしかしてアメリ
カの計画だったかもしれません。「泥棒を捕まえてみれば、わが身なり」ということ
だってないとはいわれません。
これだけのことをやるアメリカですから、自衛隊をイラクに派遣させることの裏に
は、実に恐ろしい策略が隠されているかも知れないのです。
小生の結論は、これまで訴え続けてきたように、アメリカは日本の自衛隊にイラク
で交戦させて、イラク人や周辺国からの義勇兵、あるいはひょっとしたらアメリカが
手配した第三者の血を流させ、日本を中東地域やイスラム諸国から敵視させ、日本と
の関係に引導を渡すのが最大の目的だと見ています。日本の将来に渡って受ける損害
は、金額にして何百兆円、いや到底金額として計ることのできない大きな損害になる
ことでしょう。日本は間違いなく、疲弊し、窮乏化していくことでしょう。
孫子の兵法にも、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」とあります。小泉首相、
日本の総理として、是非、このことを確かめて下さい。世界情勢の分析なら、膨大な
予算を持っている外務省がきっといい報告書をつくってくれるだろうと思います。小
泉さんは、外務省では北米局が一番権力を持っている象徴だから無理だとおっしゃる
かもしれません。ましてやブッシュ大統領との個人的関係を考えればそんなこと出来っ
こないとおっしゃるでしょう。
しかし、それだったら、野党第一党の民主党、とりわけ次期の外務大臣候補の前原
誠司議員の属する多士済々の松下政経塾に属する諸先生方に、自衛隊派遣を実現させ
ようとするアメリカの真意について、国民に分かりやすく解説して頂きたいものです。
幕末の松下村塾で吉田松陰先生は、おおくの門下生を使い、「飛耳長目」として、世
界の情勢を把握されました。ITの発達した現在なら、政経塾でも試みてもよいテー
マではないでしょうか。
いや、これは、民社党だけの問題ではないことは言うまでもありません。どの党と
いうことなく、党派を超越して、護憲の党、世界の平和を求めている諸団体も交えて、
この国難をいかに解決していくか、またアメリカにも率直に日本としてイラク問題の
解決策を提示していくことが焦眉の急ではないでしょうか。自衛隊本隊の派遣はその
後にした方がいいと思います。「後悔先に立たず」というじゃありませんか。
阿部拝
http://www1.jca.apc.org/aml/200401/37550.html