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http://tanakanews.com/blog/0402141738.htm
2004年02月14日17時38分
2003年1月、米軍侵攻前のイラクを訪れたとき、バグダッド郊外にある「アメリア・シェルター」を見学した。ここは、湾岸戦争時に米軍の空爆を避けるための市民の防空壕だったが、米軍はここに地下の軍事基地があると勘違いして空爆し、その結果ここに避難していた400人のバグダッド市民が死んでしまったという、フセイン政権が「反米」を訴える際の象徴的な場所だった。
私がここを訪問した際に驚いたのは、1カ月後の2003年2月中旬を完成予定日として、大規模なシェルター見学施設の工事が進んでいたことだった。当時のイラクは、すでにいつ米軍に侵攻されてもおかしくないと国際的に報じられていた時だった。もはや、このシェルターを内外の人々に見せて反米を煽るという「外交」の時期ではなく、それこそ本物の防空壕を掘って「戦争」に備えなければならない時期であるはずなのに、イラク当局は悠長にシェルターの改装工事を進めていた。
これを見て私は「米軍の侵攻はないのだ。少なくともサダム・フセインはそう思っている」と感じた。それで、私はその後、日本の多くの知識人が「もうイラク侵攻は間違いない」と言う中で「いや、戦争はないかもしれませんよ」と言い続けた。
私の予想は外れたが、最近分かったことは、フセイン自身も「戦争はない」と直前まで思っていたということだった。昨年末にアメリカ側に拘束されたフセインが、その後の取り調べの中でそう話しているという。アメリカは、イラクに対する空爆は拡大するかもしれないが、フセイン政権を潰すところまではやらないだろうと高をくくっていたらしい。
How Saddam got US intentions all wrong
http://www.smh.com.au/articles/2004/02/12/1076548165034.html
フセインが高をくくっていたのは、彼が自分自身のことを「アメリカにとって必要悪の存在だ」と思っていたからではないかと思われる。事実、フセイン政権が倒れた後、今のイラクは内戦と分裂の危機に瀕している。フセインのような独裁的な強権政治でないかぎり、イラクを一つの国にまとめておくことは難しいということが分かってきている。フセインは、アメリカにとって必要な存在だっただけに、自分の政権が潰されることはないだろうと考えていたのかもしれない。
私としては、フセイン自身が誤算をしていたのだから、私自身がバグダッドの様子を見て同じ誤算をしたのは当然だったのかもしれない、などと自己正当化して納得した。逆に、イラクに侵攻すれば泥沼化し、イラクの統一も維持できずに結局石油利権まで失われてしまうかもしれないと事前に予測できたのに、イラク侵攻に踏み切ってしまったブッシュ政権の行動の方が、実は理解に苦しむものだということでもある。