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http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20040214k0000m010064000c.html
北朝鮮を訪問している外務省の田中均外務審議官と薮中三十二アジア大洋州局長は13日午前、平壌で姜錫柱(カンソクチュ)第1外務次官と2時間余、拉致問題などについて協議した。会談で姜次官は拉致被害者5人について、北朝鮮に戻すよう強く主張。一方、被害者家族8人の日本への帰国については具体的な提案はなかったという。今回の日朝政府間交渉は同日が最終協議の予定となっており、北朝鮮側との会談は午後も続いた。
姜次官は北朝鮮外交の実務責任者で、金正日(キムジョンイル)総書記の側近とされる。一昨年9月の小泉純一郎首相と金総書記との会談にも同席しており、今回の交渉に出席するかどうかが注目されていた。
ただ外務省は午前の協議について「双方の立場を主張し合っただけだった」と説明。田中氏らは、被害者家族8人の早期帰国と、北朝鮮側が「死亡」あるいは「不明」と回答している被害者10人に関する真相解明も要求したが、姜次官は難色を示したとみられる。
政府間交渉について、福田康夫官房長官は、13日午前の記者会見で、(1)拉致被害者家族の速やかな帰国を最優先課題とする(2)家族帰国が実現しなければ、国交正常化交渉は再開しない――との対処方針を表明、日本政府として従来の主張に変わりがないことを強調した。
また、同日午後の記者会見では「(田中氏らの出国は)明朝、早い。(帰国延期の)可能性はない」と述べ、13日夜の会談が今回の最終協議になるとの見通しを示した。さらに「今回ですべて決まってしまうのは難しい。引き続き、協議を続ける場を作らなければいけないだろう」とも語った。
田中氏らは14日夜、北京経由で成田空港に帰国する。15日午後に小泉首相に協議内容を報告する予定。
◇側近登場、進展の兆候か
北朝鮮・平壌での日朝外務省高官協議は13日夜まで、拉致問題をめぐって「厳しい話し合い」(福田康夫官房長官)が続いた。日本側は、金正日総書記側近の姜錫柱第1外務次官も交渉のテーブルについたことに、「進展の兆候」(同省筋)と期待を寄せているが、今のところ大きな進展があったとの情報は入っていない。北朝鮮に対する厳しい国内世論を背負う日本側としても、安易な妥協はできない状況にある。
「激しい交渉をやっている」。2日目の12日夜、薮中三十二アジア大洋州局長は外務省にこう報告してきた。11日の夕食会から本格交渉に入り、12日午前の協議まで北朝鮮は「拉致被害者5人を北朝鮮に戻すべきだ」と繰り返すだけ。午後にはホスト役で昨年8月の6カ国協議で首席代表だった金永日外務次官は姿を消し「ランクの低い外務省関係者」が応対したという。
こうした北朝鮮側の出方は外務省も織り込み済みではあった。最初は原則論で対立するが、交渉の進展に応じてランクを上げる――という北朝鮮の常とう手段に照らせば「最終日の13日がヤマになる」(同省首脳)とみていたためだ。
それだけに、13日午前の協議に、金正日総書記側近の姜錫柱第1外務次官が登場したと報告を受けた同省幹部は「予想通りのシナリオ。北朝鮮が真剣に交渉しようとする表れだ。これでけんか別れはできなくなった」と分析してみせた。
姜氏は94年の米朝枠組み合意の交渉当事者。02年9月の日朝首脳会談にも同席し、同10月には訪朝したケリー米国務次官補にウラン濃縮計画を認めた。金総書記の意向を忠実に反映する北朝鮮外交の実質的な責任者ともいわれる。
一方、政府が今回、田中均外務審議官を送り込んだのは、北朝鮮の戦術を熟知する立場から北朝鮮の真意を瀬踏みできるとの判断からだ。「姜氏が相手なら事務レベルのトップ協議。北朝鮮が本気かどうか感触をつかめる」(同省幹部)とみられるからだ。
現時点での日本側の受け止め方は「北朝鮮が柔軟姿勢に転じているのかどうか分からない」(政府筋)、「時間稼ぎかもしれない」(同省首脳)との慎重論と「姜氏が出てきたことで政府間協議は定着していくのではないか」(政府関係者)との期待感が交錯している。だが、今回の協議を機に拉致問題が直ちに全面解決に向かい、正常化交渉再開に道筋がつくとの見方には総じて否定的だ。
政府認定の拉致被害者は10件15人。帰国した5人を除き、北朝鮮が「死亡」と通告した横田めぐみさんら残る10人の安否確認などの難題が依然横たわっている。
北朝鮮が今後、新たな安否情報を家族に示したと しても「被害者の家族が納得するかどうかは分から ない」(政府筋)のが現実。ほかにも「行方不明の状 況から拉致された疑いが濃い」として警察当局に告 発状を提出する動きも広がっている。
政府筋も13日、正常化交渉再開のタイミングにつ いて「8人の帰国と10人の調査、核・拉致解決の全 体像が見えてこないと難しい」との見方を示し た。【及川正也、川上克己】(2004-02-13-20:37)