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イラクのサダム・フセイン元大統領が昨年12月13日に拘束されて約2カ月。米情報機関などによる尋問が今も行われているとみられ、公の場には全く姿を見せていない。身柄の現状や裁判の準備に関する米政府の動き、裁判の予想される展開などを探った。【ワシントン和田浩明】
フセイン元大統領の拘束場所について米国防総省は毎日新聞の取材に「(イラク駐留)連合軍の拘束下にある。場所は明かせない」と説明する。1月に「戦争捕虜」に正式認定された元大統領の取り扱いは、従来通り「(捕虜の人道的取り扱いを定めた)ジュネーブ条約にのっとる」と述べた。
ただ、同条約が認めている赤十字国際委員会(本部ジュネーブ)による接見については詳細を明らかにしなかった。同委員会によると「米側は接見に反対してはいない。現在条件を調整中」(広報担当者)だという。
裁判の準備は少しずつ進んでいる。米国務省のプロスパー戦争犯罪大使は1月上旬にイラクを訪問。統治評議会の関係者らと裁判が行われる予定の「イラク特別法廷」に関する考え方や、設置にあたって必要な支援などを協議した。米政府は当座の裁判費用として7500万ドル(約80億円)を用意したとされる。
パウエル米国務長官は今月2日の米紙ワシントン・ポストのインタビューでフセイン元大統領の尋問状況について必要最小限度のことしか話さないと説明。裁判開始は「現時点では、イラク側への主権移譲(予定)の6月30日以降と考えている」との見通しを示した。
イラク特別法廷は、統治評議会メンバーか後継のイラク政府が任命したイラク人検察官や判事で構成。海外の国際法や国際法廷の専門家も顧問などとして裁判長が指名できる。
法廷の対象になるのは元大統領だけでなく、旧政権下で「虐殺・人道に対する罪・戦争犯罪」にかかわる容疑で起訴されるイラク人や住民すべて。審理はバグダッドで行われるとみられる。
イラクでの裁判については、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷のように、各国から選ばれた法律家が第三国で行うべきだとの指摘もある。しかし、同戦犯法廷で02年まで検察官を務めた米民間弁護士のマーク・ブラシック氏は「イラクの人たちが裁判の進行を追えるよう、バグダッドでの開催が望ましい」と話す。
元大統領の容疑は、クルド人への化学兵器使用やスンニ派イスラム教徒の虐殺などが考えられるが、特別法廷が対象期間としているのは68年から03年までの35年間と長期間だ。ブラシック氏は「代表的な容疑に集中する必要がある。すべてを訴追しようとすれば、裁判に長い時間がかかる」と指摘する。
◇「イラク人だけでの裁判は非常に困難」
国際犯罪法廷などに詳しい米ワシントン大セントルイス校のレイラ・サダト教授の話
フセイン元大統領の裁判を、イラク人だけで行うのは非常に困難だと思う。イラク国内で裁判を行う場合、検察官や裁判官、証人らの身の安全をどう確保するかという問題がある。
反米武装勢力は起訴されないよう法廷関係者を脅そうとするだろう。イラク戦争後、法律専門家などが相次いで暗殺されているとの報道もある。統治評議会やその後継政府は、イラク人から米政府の意思を体現していると受け取られている。法廷関係者は、正義を執行する人たちとは見られない可能性がある。
こうした理由から、裁判はイラク国外の国際法廷で行うことが望ましいと考えている。国際法廷だからといって、イラク人の関与が排除されることにはならない。イラクの周辺国で、アラブ諸国の判事による法廷を設置し国連が費用を拠出すれば、国際的評価に堪える公平な裁判は可能だ。ユーゴスラビア国際戦犯法廷で、大量虐殺の調査を担当したり、裁判にかかわった経験を持つ人たちを生かさない手はない。
http://news.msn.co.jp/newsarticle.armx?id=681958