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「自衛隊よ、イラクに来るな!」(これも「Web現代」から)
http://www.asyura2.com/0401/war46/msg/858.html
投稿者 縄文人 日時 2004 年 1 月 18 日 10:45:10:bfek92EqWeCqg
 

これもちょっと古い「Web現代」の記事ですが、
もう一度、じっくり読んで、考えてみたい内容です。
(もしすでにアップされていたら、削除願います)

撮影・取材:渡部陽一 インタビュー:草薙厚子

まだ現実には戦争が終わっていないイラクに、自衛隊がかつてない重武装で派遣され出す。イラク国民にとっては米英占領軍への追加派兵に他ならない。その重い現実を前に小泉首相の詭弁にも綻びが見え始めた。親日感情の強かったイラク国民も、今回の派兵で一気に反日に転じるだろう。この1年間で7回もイラクに足を運び、取材を重ねたフォトジャーナリストの渡部陽一氏にサマワの情勢や市民生活を詳しく語ってもらった。

■危険を認めざるをえない小泉首相

小泉首相の自衛隊派遣についての発言がだんだんと変わってきていることに気づいているだろうか。
2004年1月5日、首相は官邸で年頭の記者会見を行った。そこではこんな発言になっている。「米英や国連が早くイラク人の政府を作ろうと努力している。決して安全とはいえない、危険を伴う仕事だが、復興支援のために行ってもらう」

2003年12月2日には、「今のイラク情勢を見ればテロがあるから、まったく危険がないとはいえない、ただ自衛隊、政府職員、民間人であれ活動できる分野はある」と語っていた。

11月25日の衆院予算委員会では、「派遣した部隊を標的にするテロリストの動きは出てくるが、安全面に十分配慮すれば、そこは戦闘地域にはならない場合がある」と危険という言葉は一切出さず、安全確保は可能だと述べている。しかも福田官房長官は「(イラク南部の)サマワは他地区に比べ安定した治安情勢にあると認識している」とも答弁している。

また、7月29日、国会閉会を受けての記者会見では、参院外交防衛委員会で強行採決したイラク特措法について「自衛隊を派遣しなければならないという法ではない。自衛隊を派遣する場合には事前調査が必要だ。非戦闘地域に限って十分な安全確保のうえで、能力を発揮できるようお願いする」と発言していた。

小泉首相の発言録を検証すると、徐々に危険を認める方向に変わってきているのだ。

しかし、昨年末、公明党の神崎代表は、イラクを突然訪問し、無責任な“安全宣言”を行っている。自衛隊派遣に慎重論の強い創価学会員を納得させるためか、自衛隊派遣予定地域のサマワを、クウェート経由で訪れたのだ。ごく慌ただしい現地の視察の結論は「サマワは比較的安全」だった。

以下のインタビューを読んでいただければ、サマワもイラクの他の地域に劣らず、危険だということが十分理解できるだろう。しかし、問題はなぜ危険なのか、なのである。その大本に取り組まない限り、イラクの復興はありえない。そうした問題には目をつぶったまま、政府は1月中旬にも陸上自衛隊の先遣隊の派遣を強行する構えだ。

■アンチ・アメリカで各派が共同戦線

――2003年はイラクに何度も取材に行っていますね。
「7回です。まず2月から3月20日の開戦まで。4月。5月中旬から終わりまで。6月初頭から終わりまで。8月。10月から11月9日まで。さらに12月です。1年間ずっとイラク戦争を追いかけてきました」

――イラク国内はどう変わってきましたか。
「フセイン元大統領に対する市民の意見が少しずつ変化しています。開戦まではぼく自身が取材していても、イラク人はかなり本音でフセイン元大統領を支持しているという感じを受けました。プロパガンダ的な側面もありましたが、かなり突っ込んで取材しても割合支持されていて、フセイン政権は倒れないんじゃないかというのが開戦前の印象でした。
実際に戦争でイラクが負けて、さらにフセイン元大統領が拘束されるということになり、それで国民のみんなが口を開き始めてきて、本当は自由がほしかったという意見も増えてきました。しかし、それでもフセインをまだ好きな人は多いというのが現状です。
フセインからさまざまな恩恵を受けていた人たち、たとえばスンニー派でバース党員というのももちろんいるんですが、それ以外の一般市民にも意外と支持者が多いんだなということを数百人のコメントの中で感じました」

――アンチ・フセインだったシーア派とスンニー派の対立はどうなっていますか。
「具体的にどの派閥とどの派閥とは指摘できませんが、現時点のイラクの中ではなんとなく一致団結して、アメリカと闘うという方向性を持っている。旧サダム親衛隊や支援派と、シーア派のムクタダ・サドルやモハメッド・サードック・アル・サドルといったリーダーたちの間には確執がありますが、アメリカが敵という部分では強く通底していて、武器供与や情報提供が行われているのです。
たとえばナシリヤのイタリア総司令部の爆破であったり、南部での自爆テロやレジスタンス活動、その中で大々的な武器が使われているテロ活動はシーア派ではありえません。ところが、戦略の立て方、武器、資源の移送、情報提供といったやり取りのなかで協力しているということがあります。
実際にシーア派の市民とスンニー派の市民は混ざりあって暮らしていますので、協力しあって生活しているという印象です」

――反アメリカということですね。
「イラク国内はイラク人が統治するという最大の目的があります。厳格な自分たちのポリシーであるアッラーの神を広めた国を自分たちで統治していくという誇り高い思いは持っています」

――5月1日にブッシュ大統領が戦闘終了宣言を出しました。それ以降、市民生活はどうなっているのでしょうか。
「悪化しています。フセイン時代にはさまざまな配給制度があり、教育や医療関係などライフラインのインフラが稼動していたということもあって、市民生活は安定していました。それが戦争によって破壊され、生活に非常に支障をきたしているのです。ただ、フセイン元大統領の恐怖政治、圧政から解放されたということは事実です」

――現在、配給制度はどうなっていますか。
「CPA(連合軍暫定当局)の管轄のもとで配給は行われています。今回(12月)の取材では配給実態の取材にも入りました。自衛隊派遣予定揩チて帰っています。
水は今はバグダッド市内といった中心部ならありますが、郊外に行くほどダメになっていきます。バグダッドから遠く離れたナシリヤやサマワ髓l段ではありません」

――劣化ウラン弾の汚染に関してはどうですか?
「サマワでも取材しましたが、あります。1ヵ所しか確認が取れていませんが、確実に劣化ウラン弾は落ちています。汚染地域ですね」


バグダッド市内で炎上する車
――失業率はどうでしょう?
「5月以降に、失業率を各地域で調べてみましたが、新聞社、NGO団体にいろいろ尋ねてみても、現地で取材している人たちでさえも、ハッキリしたことがわからないというのです。状況が混乱していて、データがあまりにバラバラで、みんな責任が持てないといっています。失業率80%くらいという人もいれば、 50%という人もいたりします。だいたい70%くらいではないでしょうか。
実際にどの地域に行ってみても、第一声は仕事がない、生活ができないです。仕事がほしいということから、コメントがスタートするんです。失業という問題はかなり大きいと思います」

――CPAは失業対策をしていますか。
轤クどの地域でも共通しています。その不満が非常に溜まっていて、時に爆発しています。
それはサマワでもまったく同じです。CPAとオランダ駐留軍がいるんですが、サマワ復旧のために来ているということで、雇用提供を約束しているんです。確かに雇用提供はしていますが、その枠が非常に小さい。職業安定所を稼動させていますが、毎日人が殺到して、オランダ軍側も対応しきれません。今日もダメだ今日もダメだということで、その怒りがデモになったりしている状況です」

――雇用提供にはどういうものがありますか。
「まず外国人に接するということで外国語を話せる人が最優先です。ほかにオランダ軍やCPAなどから職業訓練を受けた人たちが警察官や検問所での警備員になる。それ以外の訓練では交通整理員、街の清掃員です。現時点ではほぼそれのみです。ただサマワで唯一稼動しているものにコンクリート精製工場があります。コンクリートはサマワの特産品でして、そこの職人は再度雇用されています。それは完全にCPA管轄です」

――雇用するときに危険人物を選別することはありますか。
「もちろん身元調査をCPA側もかなり徹底して行いますが、一般市民は基本的に外国人に非協力的です。仮に大きな情報を持っていても提供はしません。仲間たちに不利になる情報は提供しませんので、CPA側が雇ったイラク人の中にさまざまなモグリと呼ばれるスパイたちが入っているのは確かです。それをふるいにかけようとはしていますが、見つけきれないのが現実です」

■ 自衛隊への最大の期待は仕事

――サマワ市民は日本の自衛隊にはどういうことを期待していますか。
「彼らの自衛隊に対する最大の期待は仕事です。雇用を提供することが絶対条件で、もしそれがないのであればお呼びでないといっています」

――自衛隊が直接市民たちに資金提供するというのはどうでしょう。
「市長やCPAの代表、幹部におカネを提供し、そのおカネをサマワ市民にどうぞ、というのでは彼らは怒ります。なぜなら絶対に市民にそのおカネが行き渡ることはないからです。サマワ市民としては、直接おカネでなくても、たとえば医薬品を購入して、まったく手が出せない市民たちに提供されたり、食糧配給で普段手に入らないおコメなどがより提供されるようになり、さらに電気・ガス・水道といったライフラインのインフラが日本のおカネで復旧しましたというしっかりした形が見えれば非常に歓迎すると思います」

――日本人をどう思っているのですか。
「イラク国民は基本的にはすごく親日的です。日本を大好きと多くの人がいっています。サマワでも多いです。かつて'80年代フセイン政権時代に日本の企業は石油関連でサマワ、バスラ、バグダッドにかなり入っていました。そのなかで、日本の企業がイラク市民に雇用の面でも生活の面でも力を貸していたということに対する感謝の思いはあります。あと日本の技術に対する憧れ、アメリカに敗れたにもかかわらず急速に発展した日本のバイタリティ、ガッツ、精神力に尊敬の念を抱いています。非常に親日的でWe love Japanと叫んでいます。
ただ、We love Japanイコール仕事の提供ということが前提になっています。今回象徴的だったのが、自衛隊しか来ませんというと彼らは怒るんです。話が違うと。それでは結局、オランダやアメリカと同じことになる。それなら来てくれるなと」

――オランダやアメリカは資金提供はしていないのですか。
「おカネは大量に使っていますが、それは市民には行きません。あくまで治安維持ということで装備に使ったり、輸送に使ったりと、あくまでオランダ兵や米兵の生活インフラをより確固たるものにするために使っているわけで、市民に提供する気はあまりありませんね。雇用提供で給料としておカネは渡していますが、それが一部の人にしか渡っていないので、かえって大きな不平等が生じて、これが民主主義なのかとイラク市民は怒っています」

――韓国軍はうまくいっているのですか。
「韓国は米軍やオランダ軍と違って、医療活動がほとんどなんです。医療活動を通じてナシリヤの市民と非常に交流しています。実際に何人もの命を救ったり、膨大な医薬品を提供したり、職業訓練校や親交会を開いたりと、活発にナシリヤ市民と交流しています。あと他の軍隊のように完全武装で銃を突きつけるようなことはしていません。ただナシリヤの米軍キャンプの中にほとんど閉じこもっているので、限界があります。トラブルに巻き込まれることの少ない環境にいるのは事実です。
韓国軍はナシリヤに駐留してから先遣隊からだと何ヵ月も経っているんですが、彼らが自分たちで調査するまで自分たちのやりたいことはまったくできなかったといっていました。ナシリヤに入ってきて、市民の生活状況をみて、気候、文化、言葉に初めて接して、戦略をもう一度練り直したといっています。入る前に前もって韓国内で決めた予定とはまったく違うもので、医療活動という意味では同じだったんですが、どういった医療活動をするかという方法は入ってから再度練り直したといっていたのが象徴的でした」

――日本も入ってみないとわからない?
「その通りだと思います。いろんなリサーチが入っていますが、実際に自衛隊が入ってみたら、大きな戸惑いを感じると思います」

■ 神崎代表の視察は正味1時間

――公明党の神崎代表が12月中旬、突然サマワに現れましたね。
「神崎代表は、12月20日にクウェートからバスラを経由して、午前10時50分にヘリでサマワ入りしました。それからオランダのベースキャンプ内で約2時間、昼食会とオランダ総司令部の幹部と話したあとに、12時50分から午後1時55分くらいまでサマワの視察をしました。まず視察した場所が自衛隊の駐屯予定地のタリクナジャフというエリア。そこにはわずか5分間くらいです。そこまで行くのに15分くらいかかりました。次に日本企業が作った病院である『サマワ中央病院』まで15分かけて向かいました。病院には20〜30分くらいいました。そこの病室や手術室を見て医療機器が全部壊れていることを確認しました。
神崎代表はサマワの街なかは比較的安定している印象を受けましたといっていました。さらに、病院では、日本の医療設備がほとんど稼動していないのを知って、再度医療活動をしっかりしたものにするというのが、今回の自衛隊のミッションであるといっていました」

――大変短い時間での視察ですね。
「実際のすべての視察時間は移動を含めて1時間ジャストですね。実際に密着していたのはぼくとロイターのカメラマンの二人だけでした。ロイターのカメラマンもあまりにも早いといっていました。そんなに忙しい代表なのかと」

神崎代表の「比較的安全」発言はあまりに無責任
――サマワは安定していると神崎代表が発言しましたが、そう思いますか。
「治安に関してはサマワの街なかが安定していると断言はできません。サマワという街にもさまざまな勢力が動いていますので、何があってもおかしくない。決して安全ではないと思います。ましてサマワの郊外に出ますと、危険です。実際にサマワの幹線道路の国道8号線には武装強盗団(アリババ)が出まくっています」

――アリババはまだ頻繁に現れるのですか?
「アリババはたくさんいます。
サマワの郊外の国道8号線沿いに襲撃が多発するアリババ道路が二つあるんです。その地域を動くときは時間帯を選びます。その移動中にアリババを何度も目撃しました。
バスラ、サマワ、バグダッド市内を結ぶ国道をガソリンを積んだタンクローリーや物資を運ぶ大型トレーラーが毎日数百台単位で通行しているんです。それを待ち伏せして襲うんです。またトレーラーが故障して動けなくなり、米軍が間に合わなかったら、取り囲んで奪います。わっと群がってきます。ボディからシャーシから扉まで全部獲られて、タイヤもない。骨組みしか残らなくなっちゃうんですね。エンコしたトラックがあると、その周りをものすごい数の人間が遠巻きに取り囲んでいるんです。ハイエナのように。それで日が落ちると全部獲られるという状況です。ドライバーはみんな取り囲まれたら逃げますね。撃ったりしたら逆に殺されますし。そのときの状況次第では殺されるときもあれば殺されないときもあります。武装強盗団の襲撃があると、関係ない人まで参加してきます。近くの民家の人たちまで集まってくるので、泥棒合戦です。
ぼくも今回バグダッドで襲われました。ちょうどパレスチナホテルの前で爆発があって、取材していた時です。ケガはなかったんですが、ものを獲られました。カメラも獲られました。市内で周りにもいろんな人たちがいたから、助けてくれたんです。ホント危なかったです。」

――今後どうなっていくと思いますか。
「2004年の1年間はますます混乱することは避けられないと思います。米軍が残る、残らないと揉めていますが、仮に残っても、いなくなっても、元大統領がいなくなって、各派閥のリーダーたちは自分たちがこの国を統治するといい始めています。シーア派のリーダーやスンニー派のリーダー、クルド族のリーダーたちです。その人たちのぶつかり合いになり、その支持者同士のぶつかり合いが起こる。一人のリーダーが統治するということをそれぞれが主眼にしていますので、いずれフセイン元大統領ほどの力はないにしてもああいった人物が出てきて、ようやくイラクの混乱が収まるんじゃないかと思います。それまでは内戦が続くでしょう」

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