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外務省の機密文書「日米地位協定の考え方」の全文を掲載した13日付琉球新報社報道にこの日、県や議員、労働界、市民団体などから「政府の弱腰外交を示すものだ」「米軍優先で基地被害が減らない理由が分かった」などと反響があった。県選出・出身の与党国会議員は独自に訪米して米政府関係者と会い、改定に向け実質的な話し合いをしたい考えを示した。
議員らはまた、自民党の政務調査会内に小委員会を新設し、改定要求を党として正式な取り組みとするよう働きかけることを検討している。
一方、長崎県など米軍基地を抱える全国の自治体からも沖縄県への問い合わせが相次ぎ、波紋は全国に広がっている。
県内各党・会派は「いくら(改定を)申し入れても政府が動かない理由が分かった」「地位協定の改定には情報の徹底公開が不可欠」などとコメント。与野党とも同文書の開示を契機に「改定に向けた動きを強めるべきだ」と強調した。
◇国会議員
日米地位協定に関する外務省の立場を示す「―考え方」の全容が明らかになったが、県選出・出身の野党国会議員は、米国従属の姿勢を示す文書と外務省の姿勢を非難する。今後、国会で厳しく追及する構えだ。一方、与党国会議員は独自に訪米して米国政府関係者と改定に向け実質的な話し合いをしたい考え。自民党の政務調査会内に小委員会を新設し、改定要求を党として正式な取り組みとするよう働き掛けることも検討している。
仲村正治衆院議員(自民)は「文書が出て驚いた。秘密指定は考えられない」と語気を強める。「県が要求する11項目は改定すべきだ。身柄の引き渡しと環境問題の改定は最低限、譲れない」と話す。さらに「党の政務調査会の許可を得て小委員会のような組織をつくりたい」と県選出与党議員で話し合っていることを明らかにした。
白保台一衆院議員(公明)も与党内での改定案検討に意欲を示す。「公明党は既にプロジェクトチームをつくり、いつでも走り出せる状態だ。大切なのは与党内での協議だ」と強調する。
西銘順志郎参院議員(自民)も小委員会設置へ意欲的。与党議員で訪米を検討し、西銘恒三郎衆院議員(同)を窓口に米側と調整していることも明らかにし、「どういう譲歩があれば改定が可能か、米国の政府関係者や国会議員と話し合いたい」と述べる。
立場が複雑なのは嘉数知賢衆院議員(自民)。防衛政務官を務め、政府の一員の立場にあることから「運用改善に努め、それで不十分なら改定も視野に検討する」との表現にとどめる。
一方、野党議員は一様に外務省の姿勢を批判する。
かつて国会で追及した赤嶺政賢衆院議員(共産)は「文書は治外法権的で屈辱的な内容だ」と指摘。党として引き続き追及する構えをみせる。
東門美津子衆院議員(社民)も「外務省は自ら米国に物が言えない状況をつくっている。どこの国の外務省なのか」と憤る。改定要求を軸に、文書の存在と活用の現状、内容を次期国会で追及する考えだ。
「3つの視点から改定が必要だ」と指摘するのは照屋寛徳氏(社民)。「日本の主権、国民の人権、環境の点で問題が大きい。改正は県民の総意だ」と訴える。
島袋宗康参院議員(無所属の会)も「外務省は何をしているのか。運用改善でだましだましやっていく姿勢と責任をただしたい」と話す。
大田昌秀氏(社民)も国会で取り上げる構えだが、地位協定については「改定要求は基地の新設を認めないという立場とセットにしないと前進は望めない」と話し、現在の沖縄県にはその視点が欠けていると指摘した。
◇県
「地位協定の考え方」について、県の久場長輝基地対策室長は「基地の自由使用を迫る米側とは対照的に、『地位協定の考え方』では日本政府による米側への依存や遠慮の構図が見える。こうした姿勢が30年を経た現在も通用するだろうか。日本の外交姿勢は弱いと言われても仕方ない」と述べ、外務省の米追従の姿勢を批判した。
久場室長は、米軍の施設区域の排他的使用権で国内法が適用されないとの第3条に触れ「国内法が適用されないまま、米軍優先で基地被害が減らないのでは、国民保護の観点から理解は得られない」と指摘した。
その上で「締結当時から経済情勢、国民意識も随分と変わった。運用改善では限界に来ており、地位協定の見直しという視点に立って国会論議を深める時期に来ている」と強調し、国会の場で地位協定見直しの取り組みが進むことに期待を寄せた。
◇渉外知事会
米軍基地を抱える全国14の都道県で構成する渉外知事会加盟の複数の県も、今回の「地位協定の考え方」について大きな関心を寄せ、県の基地対策室には報道内容や文書の中身に関する問い合わせが相次いでいる。
渉外知事会会長県である神奈川県の基地対策課は「国会答弁などで文書は存在するだろうといわれてきた。もし文書がつまびらかになっているのなら、文書内容を取り寄せ、神奈川県としても中身を掌握したいと思っている。地位協定は従来の運用改善だけでなく、見直す必要性を感じている。文書に何が書かれているのかを分析した上で、地位改定に関する取り組みの参考にしたい」と話した。
長崎県で基地問題を担当する危機管理・消防防災課は「文書を報道した琉球新報の一連の記事を県庁内で供覧している。情報収集を進めており、県としても文書の内容を見ていきたい」と話していた。
◇各種団体
日米地位協定の改定を拒む外務省の虎の巻ともいえる「日米地位協定の考え方」について、地位協定改定要求のすそ野を広げている団体からも公開要求や、外務省の対米優先の解釈への批判の声が上がった。
全国組織で地位協定改定運動を進めている連合沖縄の狩俣吉正会長は「米軍優位の解釈により、排他的管理権を明確にしている文書であり、うわさの域を超えなかった存在が証拠づけられた。県民として見過ごすわけにはいかない。改めて改定の必要性が確認された」と指摘した。その上で、狩俣会長は「外務省は運用改善に固執し、改定はパンドラの箱を開けるものといわれてきたが、その背後に公表できない解釈の虎の巻があったことが実証された。地位協定の改定に向け、県は文書公開を成し遂げてほしい。見直しに向けた超党派的な国民、県民運動を強めていきたい」と語った。
日本青年会議所(JC)沖縄地区協議会の上原幹士会長は「政府が小手先だけの運用改善しか取り組もうとしないのは、この文書があったからかもしれない。政府の立場上、あらゆる情報を公開すべきとは思わないが、それは国家と国民との信頼関係で成り立っている。しかし、過度の米軍優位の解釈は、国民の信頼を損なうものだ。国は、国民の生命と財産を守る義務がある以上、主権国家として(解釈を)改めて変えていかねばならない。米国との友好なパートナーシップを築く上でも、地位協定の改定に進めたい」と話した。
◇県議会
県議会の与野党各会派は13日、外務省の非公開文書「地位協定の考え方」について「政府に徹底開示を求めていくべきだ」との認識で一致し、これを基に地位協定の抜本改定に向けた取り組みに一層強力に取り組む姿勢を示した。
自民党県連の外間盛善会長は「米国の都合の良い内容で国内法と合致しない。米軍の事件事故が起こるたびに県民が納得できるものではなく米軍優先」と批判。「改定すべきところを国民の共通認識にする上でも、政府は公開すべきだ」と述べた。
護憲ネットワークの兼城賢次代表は「実態を明らかにしない姿勢が政府にあるので、沖縄側がいくら申し入れても米側に改定を働き掛けない。米政府より日本政府の問題であることが明らかになった」とし、早急に事実関係を明らかにすべきだとの考えを示した。
県民の会の平敷昌一代表は「秘密文書があること自体がおかしい。国民的な課題として政府の考え方は開示しないといけない」とし、「国が改定に本当にやる気を起こす方法を考えるきっかけにしたい」と話した。
共産党の外間久子代表は「県民生活とかかわるさまざまな問題で秘密合意があることが明るみに出た。一刻も早く地位協定が撤廃されるよう取り組む」と決意を示した。
社大・結連合の大城一馬代表は「地位協定の考え方を隠匿していたことは遺憾に思う。会派として事実関係を明確にしていく」と強調した。
公明県民会議の糸洲朝則代表は「改定に向けた党内の作業チームで議論の対象にし、課題を示していきたい」と具体的対応が重要との認識だ。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/today/040114a.html