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中国政府による「金正日暗殺の構想」は、12月はじめ書店の店頭に出た、ハドソン研究所(「ネオコン」系)の日高義樹氏のリポート、『アメリカ軍が日本からいなくなる』(PHP研究所刊)で述べられている。
日高氏の知人であるワシントンの外交筋の話として、2003年7月28日にジョン・ボルトン国務次官が中国を訪問した際に、中国の首脳が「金正日暗殺の構想」を持ち出したという。ボルトンと会談した中国首脳は、
「最悪の事態になったら暗殺する」
「金正日に核兵器の開発をやめさせることは可能だ。金正日が中国のいうことを聞かない場合には、1週間以内に暗殺することもできる」
と言ったそうだ。
このワシントンの外交筋の知人は、暗殺の時期について、自らの見方としてだが、「2006年が最もありうる」とも言ったそうだ。
また、中国エージェントの暗殺工作の準備が進んでいるのではないかという見方にも触れているが(CIAには不可能)、実際、昨年7月のボルトンの北京訪問以来、アメリカの対北朝鮮政策のトーンは落ちた。
中国による、この構想の着想の背景としては、「米中蜜月」、近年の米中間の経済・貿易面での相互依存関係がある。今でも、例えば落合信彦氏などが声高に叫ぶ「米中衝突」など、2003年3月に発足した胡錦濤政権以前の話だ。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/160107.htm
北朝鮮戦争になってアジア経済が混乱すれば、中国経済が混乱し、それに大きく依存するアメリカ経済も多大な打撃を被るわけだ。
また「米中衝突」戦争は、双方の戦力が拮抗レベルに近いに状態に置かれていなければ発生しないが、「中国の軍事力はアメリカより30年遅れている」といわれ、戦力格差の点からも中国の軍事行動は不可能だ。この戦力格差は何十年以上たっても、長期的に縮小しないという予測もある。
リチャード・パールなどとともに、国防政策委員会の重要メンバーであるジェームズ・シュレンジャーは、米中間での経済協力依存関係の現状を論拠に、「台湾海峡で米中が対決するという考えは古い。中国と台湾が台湾をめぐって戦争するなどというのは新しい時代がわかっていない人の言い草だ」と日高氏に述べたそうだ。
さらに台湾問題についてシュレンジャーは、「中国の胡錦濤政権とブッシュ政権は、香港のケースを手本にして台湾と中国本土の合併を話し合った。香港と同じような条件であれば台湾も中国も妥協できるはずだ」とも話したそうだが、日高氏は、中国政府とブッシュ政権は台湾問題についてすでに話し合いがついていると推測している。
中国は隠し球、金正日暗殺のオプションの用意を見返りに、アメリカに対して、
@中国が台湾を香港と同様な形式で合併する
A金政権崩壊後の朝鮮半島の実質的な管理・支配権
を当然要求しているはずだ。
第1回の6カ国協議以降、2回目、3回目の6カ国協議も、中国は「金正日暗殺」という台湾問題・貿易問題のための取引道具の「値段」を、2、3年かけて吊り上げていく姿勢を水面下でとるだろう。アメリカが中国などが反対するPSI発動を盾に、3月末までの「核開発断念宣言」などの核放棄を強硬的に北朝鮮に迫るのは、米中間でのその「値段」の駆け引きにもなっている。
つまり当然のことながら、中国にとって「6カ国協議」は政治取引の道具でしかなく、拉致問題の解決を他国に求めるしかない無能な国家、日本はただ翻弄されているだけだ。
主権国家が自国の力で拉致被害者を取り返すことができないのは、国家に軍隊が存在せず、それが機能していないため、徹頭徹尾舐められているからであり、極論を言えば、核兵器と弾道ミサイルの照準をピョンヤンへ向けて、「さあ、拉致被害者を返せ」と言うのが、本来の形の「外交」というものだ。アメリカ、イギリス、中国、ロシア、これらの主権国家の外交の方法論の本質は、「軍事力を背景にした外交」、「極論」としていま述べた軍事力を基礎に置いている。
DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html