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イラク―『抵抗』の深層 ---「東京新聞」
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投稿者 どさんこ 日時 2004 年 1 月 10 日 10:08:01:yhLXMcSQdrkJ2
 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040109/mng_____tokuho__000.shtml
             イラク―『抵抗』の深層 
旧バース党 アラブ統一、反ユダヤ原点に戻る
 「サダム拘束の影響はない。抵抗は続く」。旧バース党の元地区責任者は断言した。戦前、穏健さで知られたイスラム寺院は急進派の根城に一変していた。フセイン元大統領の拘束後も首都では連日、爆発音が響く。誰の仕業なのか。厚いベールの中で明らかなことは米軍が拳を固めるほど、「抵抗」への共感が広がっているという現実だ。 (バグダッドで、田原拓治)

 「ズゴーン」。部屋に振動が響いた。即座に「誰か死んだな」と思った。間もなく、射撃音と米軍ヘリの爆音が続いた。昨年の大みそかの夜、滞在中のホテルから数百メートル先のレストランが自爆テロに襲われた。五人が死亡し、米国人記者ら二十七人が負傷した。

 昼間のバグダッドは一見平穏だ。小さな道路案内にも戦後、英文が併記されるようになった。米軍のためだ。道つじで軍用車三台一組の米軍のパトロール部隊と出くわす。住宅街に突然、進入禁止の三角ポストが置かれ、一角が閉鎖される。米軍が先月から始めた「鉄の掌握」と名付けられたローラー作戦だ。これまでに数百人が拘束されたが、米軍への襲撃はやまない。

■実態分からぬ反米武装勢力

 イラク国内の反米武装勢力は、旧政権党バース党の残党と外国人義勇兵を含むイスラム急進主義勢力の二つが主力とみられてきた。両者の共闘を指摘する声もあった。しかし、実相は国民にも分からず、うわさが独り歩きしている。

 「どの国や組織にも悪いやつはいる。でも、それで国や組織全体が悪いと決めつけられるかい?」。複数の仲介者を経て、匿名を条件に元内務省職員で、バグダッドのある地区を統括していたバース党責任者に会った。仲介者からは「ムカーワマ(抵抗)の関係者」とだけ紹介された。

 「(バース党のなかで)できの悪いやつがサダム・フセインだ。もっと悪いのが、あの二人の息子。仲間内では常識だった」。四十代半ばで高級住宅街に住む。現在は「元バース党員」ゆえ失職中だ。

 「だがバース党の原則はアラブの統一、反シオニズム(ユダヤ民族主義)と各宗教の尊重だ。これの何が悪い? いまやバース党の名前は口にすらできない。言論の自由とか、民主主義はどこにあるんだい?」

■フセイン退き3つの勢力が

 彼の説明では現在、バース党は三派に分かれるという。フセイン元大統領の身内派、バース党シリア支部(シリアの政権党)の援助で再建を目指す一派、そして彼のような独立派だ。

 「占領がある限り、抵抗は当然だ。しかし、国連事務所や国際赤十字を狙った攻撃は抵抗ではない。あれはイスラム過激派など外国からの侵入者の仕業だ」

 未拘束のイザット・イブラヒム革命指導評議会副議長が黒幕との指摘もあるが、彼は「あの老人は持病の心臓病のケアで精いっぱいだろう。抵抗運動は一極ではない」と苦笑した。

 「(暫定政府の)統治評議会メンバー二十五人のうち、亡命帰りが十七人。イスラエルと親密なメンバーも少なくない。われわれはそいつらを許さない」

■40万人の失業 不満を吸収し

 四十万人に上る軍人や公務員ゆえの「便宜党員」も戦後、職を失った。そうした人々の素朴な不満を旧党員組織は吸収している。

 首都で随一のイスラム教スンニ派寺院、アブド・アルカーデル・ジーラーニー廟(びょう)は、金曜の礼拝日なのに閑散としていた。戦前は中庭まで礼拝者で埋め尽くされていた。

 人々が寺院から距離を置くには理由がある。米軍は寺院をテロ活動の拠点とみている。いつ急襲されるか分からない。人々は巻き添えを恐れているのだ。この日の説教も、政治には一切触れなかった。

■スンニ派 『御用寺院』ガラリ急進

 かつてこの寺院は「御用寺院」だった。しかし、戦後、様相は一変していた。「もはやサダムに寺院の人事は左右されない」。同寺院の最高位聖職者、マフムード・イサーウィ師はそう話した。旧政府お墨付きの聖職者らは追放され、独立系の組織「スンニ派宗教評議会」の指名した聖職者たちが寺院を運営していた。
 
 話してみて驚いたのはイサーウィ師の宗教的信条だった。彼は中世のスンニ派改革者イブン・タイミーヤ師を高く評価した。タイミーヤ師はウサマ・ビンラディンを生んだサウジの国教ワッハーブ派(スンニ派の一派)などイスラム急進主義(サラフィー)の祖として知られる人物だ。
 
 イラクのスンニ派は時の権力者に迎合的な神秘主義(スーフィー)が主流だった。ジーラーニー廟もその一派「カーデリーヤ教団」の本山だ。その頂点の聖職者が、神秘主義とは対極に位置する急進的な指導者への支持を隠さないのだ。
 
 今月二日に米軍が信者を大量逮捕した首都西部の寺院も戦後、名前を「イブン・タイミーヤ寺院」に改称していた。イサーウィ師はこう力説した。
 
 「イラクの現状はパレスチナより悪い。抵抗については(米軍を警戒して)言えない。しかし、(イスラム教徒の嫌う)犬を連れ、(礼拝所では脱ぐべき)軍靴で寺院に踏み込み、コーランを破る輩(やから)をどうして許せようか」
 
 旧政権はスンニ派急進派の伸張を警戒し、徹底弾圧した。「戦後、急進派の台頭は明白だ」と首都随一のイスラム専門書店「リバート」のアラーディーン・イスマイール店主は語る。
 
■既成の寺院が受け入れ先に

 「それが潜行していたイラク人によってか、外部から来た者によってか、といえば両方だ。少なくとも急進化した既成寺院が(アルカイダなど)外からの急進主義者の受け皿になっている。だいたい、この混乱期、誰も身分証明書の提示なんか求めやしない」
 
 「義勇兵」に連なる運動は、しばしばイスラム慈善団体の看板でカムフラージュする。内実は不明だが、ジーラーニー廟でもパキスタンから来た慈善団体が活動しているという。
 
 「こんな話を最近、聞いた。反米のイスラム急進主義者たちが、失職中の元バース党員たちをカネと信仰で誘っている。お互い“敵(米軍)の敵は味方”という面もあるのだろう」
 
■米軍の蛮行が抵抗運動助長

 米軍の蛮行が抵抗運動を助けている側面もある。首都サアドゥーン通りの両替商アブドル・ワヒードさんは昨年十一月の断食月の最中、夜中に突然、自宅を米軍に家宅捜索された。
 
 「連中は自動小銃を家族に突き付け、子ども四人は泣きわめいた。理由は自分が(抵抗運動の盛んな)ファルージャ出身だから、というんだ。抗議した兄弟の一人は殴られた。旅券と車の証明書、それに二百万イラクディナール(十四万円相当)を奪われた。押収書類なんかくれなかった」
 
 タクシー運転手アリー・ムフィードさんは占領当局が使う旧大統領宮殿近くで突然、車に発砲を受けた。
 
 「あの地区は進入禁止地区(グリーンゾーン)だけど、道に迷ったんだ。昔だってあそこに入り込めば、警備兵に身分証明書を見せろ、とか大変だった。しかし、発砲はなかったよ」
 
 多くの市民は占領への憤りと治安回復の願いのはざまで揺れている。が、二週間前、バグダッド市内で一人のガソリンスタンド経営者が「抵抗運動の支援者」として拘束された。数十の活動家家族に食料や生活費の援助をしていたという。彼を知る一人はこう話す。
 
 「彼はイスラム急進主義者ではもちろん、旧バース党員でさえなかった。信望の厚い穏和な人だった」

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