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日本アラブ通信 編集長
日本ペンクラブ国際委員
元東海大学国際学科講師(中東)
阿部政雄
2004年1月21日
拝啓、国会が始まりましたね。日本の命運を決める重大な時節が到来しました。し
んがり戦中派として身の引き締まる思いがします。
小泉首相は、今回の通常国会で「イラクへの派兵は日本の開国」とか「国際社会で
の名誉ある位置を占めるためだ」と演説され、15日、自民党全国幹事長会議など党
の会合でも「鎖国を論じていた人、明治維新の時、全部開国になった」と述べられま
した。また、国会の演説では墨子の言葉も引用されました。正に我田引水的な片言節
句のつまみ食いのオンパレードです。もう少し一国の総理として整合性のある、国民
も納得できる説明をして下さい。「アイ アム ソーリー(総理)」など聞きたくあ
りません。
この開国について一言だけコメントします。
小泉さんは、もうお忘れでしょうが、1973年、アラブ諸国が結束してパレスチ
ナ問題の不当性を世界に訴えるため、石油禁輸政策を打ち出し、日本でもトイレット
ペーパー騒ぎを引き起こした”オイル・ショック”という大事件がありました。
その時、強調されたことは、奈良時代の仏教文化の伝来、そして明治維新の西欧文
化への開国、そして第2次世界大戦での敗北により軍国主義から民主主義への開国、
そして、この1973年のアラブの石油戦略により第三世界への開国・開眼が必要だ
とマスコミでも盛んに論じられました。
しかし正直なところ、今でも、小泉さんはじめ与党議員の殆どの方は、アラブ諸国
などの第三世界については理解しようとしない先生方が圧倒的に多いのが実情です。
その最たるのが小泉首相ではないか。あれだけ、中国、韓国が非難しているに関わら
ず、靖国神社に参拝し、とうとう、正当な理由もないのに、イラクへの派兵に踏みきっ
た。東南アジア始め多くの国々が警戒心を抱いたのも当然です。
恐らく小泉さんの視線は、常にブッシュ大統領の方に向けられているので、その他
の国々の様子は良く判っていないのではないですか。自衛隊本隊を送る前に、貴方自
身がイラクに行って現地の実状をつぶさに見て来る必要があります。今まで、岡本参
与を始め多くの視察団がイラクに派遣されましたが、どうも小泉さんにはいいづらい
ことは何も報告していないようです。何を言っても「まずイラク派兵ありき」の首相
では正直に報告する勇気が湧いてこなかったのではないかと思います。
昨年夏、外務省を解雇された天木直人元レバノン大使も「さらば外務省」の中で、
各国に駐在している大使や外交官は、向米一辺倒の日本の外交方針に逆らうようなこ
とを、本省への報告に書かないのが鉄則になっていると書いています。小生も外務省
とのつきあいがもう半世紀近くなり、このことはいやというほど目撃しています。
そこで思い出すのが、落語の「目黒のさんま」です。オペラ派の小泉さんでもこの
話しは御存じでしょう。要するに殿様に差し出す料理は、鯛のような高級魚でも小骨
を一本一本抜いてしまって、味も素っ気もないお膳に変わっているのです。庶民が食
べる焼き立ての油ののったさんまとは大違いなのです。
つまり、日本の外務省は高い国費を使って海外に多くの外交官を駐在させながら、
第三世界に派遣されている外交官は、そこの実情を本省に報告するのをためらってい
るのです。本当のことを書けば、睨まれて出世が遅れ、はては天木氏のような気骨の
ある外交官は首にされてしまうのです。外務省の改革などどれほど進んでいるのでしょ
うか。河野太郎国会議員の報告をインターネットで読みましたが、アフガ二スタンの
状況視察にいって気付いたのは「アフガニスタンのことを一番知らないのは現地の日
本大使館だった」とのことです。まして「ブッシュ、命」のような総理大臣が君臨し
ている現状では、「わが君様」にさからうような国会議員や公務員が少なくなるのは
当然です。もっとも面従腹背ということもあるでしょうが。
さて話しをイラク問題に戻して申し上げますと、いよいよ、24日に先遣隊が調査
報告して、小泉首相は報告を受け、公明党の神崎武法代表との党首会談し、公明党の
了承を得て直ちに陸自本隊派遣を最終決断するそうですね。
しかし、中国国営通信の新華社は20日バグダッド発で、陸上自衛隊の先遣隊到着
にイラク人は「冷淡」な反応をしていると強調して伝え。「派兵国が1つ増えただけ。
どこが来てもイラク民衆に発言権はない」(中学教師)、「イラク人に最も必要なの
は安全。どんな形でも外国占領軍は必要ない」(イラク新聞協会会員)といった反米
的な主張を紹介。「日本人が戦闘行為をしないと約束したって攻撃は受ける」「日本
が介入するなら仕事と金もうけの機会を与えるべきだ」との市民の声も伝えた、と読
みました。
小泉さんは繰り替えし、派兵は「人道支援」に限ると強調されていますね、そうあっ
て欲しいと思っています。
そこで思い出すは、シェークスピアの「ベニスの商人」の女性ポーシャの花も身も
ある裁きぶりです。
借りた金の3倍を払うと言っても、「期限が切れている、証文どおりの裁決を」と、
ゆずらないシャイロックにたいして。そこに裁判の相談役として、若い博学の士【実
は、ポーシャが男装している】が現れる。
ポーシャはまず、シャイロックの言い分(イラク派兵)に理屈があると認める。
シャイロック(小泉首相と武器三原則緩和の石破防衛庁長官)
「名判官ダニエル様の再来だ、まったくだ、ダニエル様だ!」と叫びポーシャの衣の
裾に接吻する。
「おお、裁判官様、お年に似合わぬ御分別、シャイロック、心からお見上げ申します!
」
その上でポーシャは、高い費用をかけて重装備の軍隊を送るより、NGOとか日本
の民間企業を送った方が、イラクのためになるのではならないかと勧める。しかし、
シャイロックは、「あくまで派兵を!」と言って応じない。
ポーシャ 「では、やむをえない、派兵はこの際しばらく認めよう。」
シャイロック 「公正このうえなき裁判官様!」
ポーシャ 「待て、まだあとがある。小泉首相の証言によれば「人道支援」に限る
とのことである。よろしい証言のとおりにするがよい。ただし、その際、自衛隊員の
血も、イラク人の血も一滴でも流したなら、その際はあくまで「証言どおり」を主張
した小泉首相をはじめ主なる責任者全員を殺人罪として裁くことにする。
この「ベニスの商人」の場面は、今朝方、夢うつつの中で浮かんできたシーンです。
とにかく、自衛隊の皆さん、殺されたり殺したりせず、一日も早く全員無事に帰っ
てきて下さいね。間違っても、占領の片棒を担ぐようなことのないよう、小泉首相か
らも申し渡して下さい。
以上まで書き終わった今、東京新聞の21日付けの夕刊を見ていたら、元防衛政務
次官や自民党国防部会副部会長をされていたタカ派と自称する蓑輪登元郵政相(79)
北海道小樽市(1967―90まで8回当選)は、自衛隊派遣は、「我が国を防衛す
ること」と定めた自衛隊3条に違反するとし、特に懸念するのはイラクで武器使用。
自衛隊法では隊員や設備を守るための武器使用は認めているが、「武器使用の条文は
警察に習って拳銃など小火器の使用を想定しており、対戦車用の無反動砲は明らかに
範囲外。もし使えば正当防衛の枠を超え、海外での武力行使になる。憲法違反、自衛
隊法違反だ」と主張されている。
小泉首相のご返答やいかに。
阿部拝
http://www1.jca.apc.org/aml/200401/37511.html