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政府は、特殊法人や独立行政法人の役員に起用する中央官庁の高級官僚OBを半数以下にする方針を決めた。
「天下りは既得権ではない」という小泉首相の発言は支持できる。その一方で、首相の公約である特殊法人改革が思い通り進まない焦りも透けて見える。
首相がやり玉に挙げたのは政府系金融機関のトップだ。9の銀行・公庫のうち8機関の最高責任者が旧大蔵省などの事務次官や同格の高級官僚から天下っている。
01年秋、日本道路公団など改革の焦点になっていた特殊法人の廃止・民営化が決まったとき、次の改革は政府系金融機関といわれた。ところが、与党が「安全網として必要」として抵抗し、統廃合は08年度まで棚上げされた。
また、首相が理事長人事を突き返したという職業訓練の施設を運営する雇用・能力開発機構も、「民間でもできる」との声に厚生労働省が抵抗し、廃止を免れて独立行政法人になった。
特殊法人改革を構造改革の柱に据えた首相は「廃止か民営化」の方針を掲げたものの、息切れして多くが看板の掛け替えに終わった。03年10月に発足した32の独立行政法人のトップは、緒方貞子・国際協力機構理事長といったヒット人事もあったが、大半は高級官僚OBだった。
そもそも改革の「目玉」だった道路公団民営化はどうか。国会に出された法案をみれば、公団のトップは民間人に違いないが、新規の道路建設は国土交通省の官僚ががっちりと支配する構造が残った。
特殊法人改革は、財政投融資制度の改革に源を発している。郵貯や簡保の資金が財投制度を通じて特殊法人に注がれ、官僚組織の財布代わりに使われてきたからだ。
財投計画の規模は表面上は減ったが、財投債という事実上の国債に変わっただけだ。郵貯・簡保資金が政府系金融機関に流れる構図に変わりはなく、その不良債権の実態もよくわからない。
首相が天下り抑制の具体的な目標を示し、「官から民へ」の姿勢を訴えるのはいい。しかし、遅々として進まない改革こそ天下りを温存させてきた真の原因だ。
財投の出口が特殊法人なら、入り口は郵貯・簡保だ。首相は郵政民営化に意気込んでいるが、特殊法人の改革がなければ、改革の意味は半減する。
廃止を原則に特殊法人の整理合理化計画を見直さないと、改革はますます行き詰まるだけだ。
高級官僚を悪者扱いするだけでは、天下り問題は解決できない。同期の次官が出たら、他の官僚は定年前でも辞めるといった慣行を改めないと、天下り先を探し回る役所の習性も変わらない。
さらに、規制の撤廃を進め、官庁の許認可権限をなくしていく。特殊法人の解体につながる土台を作ることも必要だ。