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テレビ朝日が自民党に土下座した裏
「小泉・大本営」のメディア支配を暴く
あのキャスター・久米宏がやられた!
(1) 小泉首相と中曽根元首相の違い
内閣総理大臣とはいかなる地位であり、それゆえどのような見識を求められるか。戦後2番目の記録になる在任5年の中曽根康弘元首相のエピソードである。
中曽根氏は首相退任後、ごく親しい人との懇談の席で、サミットの思い出を聞かれた。中曽根氏がサミットで議論を切り結んだ相手は、レーガン、サッチャーという米英の新保守の旗手であり、もう一方にフランスのミッテラン大統領(故人)がいた。ミッテラン氏はフランス左翼の伝統を引き継ぐ第一級の知識人として名高く、「哲人大統領」といわれた。いずれも20世紀末の世界史をリードした指導者たちだった。中曽根氏の談。
「レーガンは信義に厚く、明朗明快な人物で、サッチャーは大英帝国にふさわしい意志の強い人だった。私が心の中で最も意識していたのは実はミッテランだ。彼は東洋の歴史と哲学に造詣が深く、何よりも大きな世界観でものをいう人だった。私は彼に何を話しかけられるか、どんな話をしたらいいかと、そのことばかりを考えて1年間、本を読み、思索を練り、サミットに赴いた。その繰り返しだった。毎回、別れる時、ミッテランが、『今年も君といい話ができてとても嬉しかった。来年会うのが楽しみだよ』――と、私の手を握る。そのひと言が私に、政治家としても人間としても、たまらない充実感を味わわせてくれた」
ミッテラン氏は96年に世を去った。中曽根氏がもうひと言加えた。
「もし、私がミッテランにひけを取ったら、私の評価が下がるのではなく、日本の総理大臣の見識が問われ、日本国、ひいては日本国民が軽視されることになるから、私なりにミッテランに会うためだけに必死に勉強した」
時、めぐりめぐって、その中曽根氏は小泉純一郎首相に国会議員引退の引導を渡された。中曽根氏は「非礼だ」と激怒した。小泉首相が前述のエピソードを知っていたら、直接、自ら出向いて中曽根氏に「公認しない」と伝える子供じみた表現ではなく、中曽根氏がミッテラン氏とかわしたような大論理の世界でことをおさめればよかった。小泉首相には、もとよりそういう配慮など望むべくもない。
何しろ小泉首相のパートナーは、ミッテランなんて雲の上も上、テキサスのカウボーイ姿が良く似合うジョージ・ブッシュだから、2人とも入り組んだ人間論、哲学に根差した会話など見るからに得意そうじゃない。
世界は実に単純な発想とわかりきった恫喝で動いている。2人はその先端を走る。
(2) 何から始まったか
テレビ朝日が自民党に詫びを入れた一件である。コトの発端は、昨年9月の同局の人気番組『たけしのTVタックル』で、折たまたま行なわれていた自民党総裁選に出馬した藤井孝男氏が、実は野党議員が加藤紘一氏と北朝鮮の関係を質した際にヤジを飛ばしたのに、それを同番組では北朝鮮の拉致問題の質問をした時にヤジを飛ばしたように編集されていた。藤井氏が猛然と抗議すると、同番組の後続の『ニュースステーション』でただちに藤井氏の主張を紹介し、訂正して謝罪した。
その一件が完全に片付かないうちに総選挙に突入した。選挙期間中の昨年11月4日、ニュースステーションは民主党の閣僚名簿が発表されたことを受けて、名簿に登載された各氏を紹介、放映時間は20数分に及んだ。
自民党が怒ったのは、実はこれだった。野党に偏向した放映の仕方であり、選挙の公平を害したという理由で、その後の自民党幹部のテレビ朝日全番組への出演を拒否することにした。
昨年12月には、自民党はNHKと民放連が共同で設立した第3者機関『放送倫理・番組向上機構』(BPO)に審理を申し立てた。
そうした一連の自民党の強い抗議の姿勢に対し、テレビ朝日はさる2月19日、広瀬道貞社長が系列社長会で、「藤井問題では誤った編集が行なわれた」と認めて謝罪し、もう1つのニュースステーションの選挙報道問題についても、「配慮に欠けた構成があって反省すべき点がある」という判断を示した。さらにそれらを理由に同日、役員を含む関係者の処分を行なった。
自民党はBPOの結論が出ていないことを理由に出演拒否の全面解除はしていないものの、役員以外の議員の出演は解除(2月24日)した。
政治評論家の屋山太郎氏が呆れ顔で酷評する。
「それにしても自民党はやり方がセコイ。第一、出演拒否というのであれば、ずっとそうしていればいいだけのことであって、(テレビ朝日が)関係者を処分したから出演するでは、自分に有利な報道をしないと出演しないという意図が見え透いている。結局、政治家もテレビに出て宣伝したい、顔を売りたいとの下心がある。その意味でもセコイ」
本当だ。
(3) 裏取引説
テレビ朝日が謝るべき相手は、本当に自民党だったのか。
確かに、藤井氏のヤジ編集問題は、藤井氏と話し合い、その結果、同氏の名誉回復措置をとればいい。が、ニュースステーション問題は違う。自民党が同番組での民主党の閣僚名簿の報道の仕方が公平を欠くと怒るのは、自民党の勝手であって、何よりも重要なのはそれによって視聴者、国民がどれだけ被害を受けたかだ。つまり、国民が公正な判断をする上で、ニュースステーションの報道の仕方が障害になったかどうかである。テレビ朝日がやるべきことは、その視点に立った検証なのだ。
にもかかわらず、視聴者には何も説明せず、社内で社長が自民党の顔色を見ながら、詫びたり、関係者を処分したりしている。報道機関のやることではないだろう。
昨年4月、ニューヨークタイムズの記者の署名記事に幾つもの捏造が発覚した際、同社が徹底した社内調査をしてアメリカ国内ばかりでなく、世界にその結果を公表したことを知らぬはずがあるまい。
たとえば、欧米のメディアでは、選挙期間中、与野党どの候補者にも放映時間を同じにして公平を保っているが、日本ではどのテレビ局もそんなことはしていない。勢い、首相や連立与党党首、幹事長の動きを追う。それを意識して首相や閣僚は遊説先で政策をいったりする。というように、国民から見れば、政府・与党偏重は歴然としており、そうした中で、次に政権を取る可能性のある野党が閣僚名簿を発表することは、主権者国民には知りうべき重要な情報であり、仮に1時間割いたとしても、何も問題はない。与党が不満なら、それと同じ分の時間を要求すればいいだけのことである。
政府・連立与党が一緒になって出演拒否のストライキを打ったことは、自ら言論行使の機会を放棄したということであって、そもそも怒る筋合いでもなければ謝るべき道理もない。
それがどうか。真偽は定かでないが、一部には森喜朗・前首相と広瀬・テレ朝社長が田原総一朗氏の仲介で会談し、森氏が3月26日で終了するニュースステーションのキャスター・久米宏氏の前倒し降板を求めたとも報じられている。
かと思えば、自民党が総力戦で臨んでいる学歴詐称の古賀潤一郎問題でも、裏取引説が取り沙汰されている。自民党としては、イラクへの自衛隊派遣をめぐる政治対立で民主党を攻撃する最大の材料に古賀問題を据えてきた。途中から、本誌が小泉首相と安倍幹事長の留学詐称疑惑を連続スクープし、後述するように国会で政治問題化するに及んで、国民の視線をそらせるために今度は古賀氏の在日韓国人からの献金問題をクローズアップさせようとした。現に首相官邸筋がその情報と資料をマスコミにリークしたではないか(前号既報)。
複数の新聞、テレビが古賀氏の献金問題を報じた。多くは大砲でスズメを撃つような古賀報道に自らうんざりしたのか、通りいっぺんの扱いで終わった。
その中で異彩を放っていたのがテレビ朝日である。2月17日のニュースステーションで2分34秒。18日の『スーパーモーニング』の20分20秒を中核にして、2日間の合計が37分21秒に及んでいた。
ン!? ≪30分≫とは聞き覚えのある時間である。そう、自民党が「30分も放映した」と抗議した同局の民主党閣僚名簿放映時間と同じじゃないか。こんなところで数字合わせをして何の意味がある。まさか、それが“裏取引”だったとは信じられん。
テレビ朝日広報部は、
「そのような裏取引はない。自民党との話し合いのプロセスについてはコメントを控えたい」
という答え方だった。
そうした日本のメディア事情を、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で日米関係論の教鞭をとるロナルド・モース教授が辛辣に分析する。
「アメリカのメディアは政治的な立場をはっきり打ち出すが、日本のメディアは中立であるフリをして裏では違う。日本独特の記者クラブは国民に本当の情報を流さず、むしろ国民に情報を流さないシステムになっている。政府や政治家が記者クラブを通じて情報をコントロールするからだ。日本国民ほど自分の国と世界で本当は何が起きているかの真実を知らされていない国民はいない。日本のメディアは国民に責任を一切感じず、正直ではない。日米の新聞を比べると、日本の大新聞の記事は同じ内容で10分の1の長さしかない。情報をできるだけ短くすることで、国民に何が起きているかを知らせないのが日本の大メディアといっていい」
(4) 小泉首相
新聞、テレビ、雑誌がそれぞれ何を報道するかはもとより自由だ。が、古賀問題が解決すれば、あたかも日本の政治が一転クリーンに変貌するかの如く古賀追及に血道をあげた大メディアは、それはそれで勝手とはいえ、では、本誌が摘発した小泉首相、安倍幹事長、麻生太郎総務相の留学詐称疑惑と、自衛隊イラク派遣の国会承認採決を欠席した福田康夫官房長官の飲酒疑惑にひと言も、一行も触れようとしないのはなぜか。
政府・自民党が怖いなら、そういうべきだ。モース教授ではないが、怖いくせにそうでないふりをするから、おかしくなる。どう考えても、小泉首相以下の留学詐称の方がはるかに重大だろう。総理大臣がいかなるものであるか、前出、中曽根元首相のサミットでのエピソードを思い起こすまでもない。
2月25日の衆院予算委員会で、民主党の達増拓也議員が小泉首相と安倍幹事長らの学歴問題と福田官房長官の飲酒疑惑について真相を質した。
順序からいうと、まず福田氏の飲酒疑惑。あらましのやりとりはこうだった。
達増「自衛隊派遣の国会承認の本会議採決(1月31日)を(官房長官が)欠席したのは腑に落ちない」
小泉「あとで知った。意図的ではなかったが、よく注意した方がいいと話した」
達増「国会近くのホテルのバーで酒を飲み、酒気帯びになったから本会議に出られなくなったという指摘がある」
小泉「あの時は全閣僚が本会議に出席していたんじゃないか。そのようなことはないと思う」
ここで問題。はぐらかしの小泉首相らしい答弁だ。全閣僚が本会議に出席していたというが、福田氏が飲酒疑惑を持たれているのは、1月30日夕方のテロ対策特別委員会があった後、翌日未明に衆院本会議が開かれるまでの待機時間のことだった。小泉首相はトボけた。
達増氏がなお追う。次は小泉首相自身の留学疑惑である。小泉首相は英国に2年間留学していたといっていたが、本誌の調べでは、ロンドン大学(『ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン=UCL』)には外国人向けの特別コースに9か月間いただけで、単位ゼロだったことが判明している。
小泉首相は衆院選初出馬(落選)した時(1969年)と、当選した2回目の選挙の際(72年)の選挙公報に「ロンドン大学政経学部留学」と記載していたが、小泉首相が9か月間通ったUCLには政経学部はないから、本誌は虚偽記載だと指摘した。達増氏はそこを突いた。
小泉「私が留学していたユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、ポリティカル・エコノミー、これは日本語に訳せば政経学部だ」
達増「そのカレッジにポリティカル・エコノミーという学部があったのか」
小泉「確かそうだと思う」
再びここで問題。「確か」ではないだろう。自分の留学していた学部くらい覚えていたらいい。大学の記録には、「外国人向け経済学の特別コース」にいたことになっているのだ。早い話が、聴講生だった。
(5) 麻生大臣留学先に「記録なし」
達増氏が麻生総務相にホコ先を向けた。
達増「かつてスタンフォード大学大学院修了、ロンドン大学大学院修了の経歴を公表されていたが、学位の修得はしていなかった。事実か」
麻生「ありません」
ウソである。麻生氏は国会議員になるまで日本青年会議所会頭を務めていたが、同会議所の公式記録の経歴には、はっきりと、「昭和40年 米国スタンフォード大学大学院修了 41年英国ロンドン大学大学院修了」と記載されている。青年会議所会頭はれっきとした公職である。そこでは麻生氏が修了していない大学院を「修了」と申告した形跡が残っている。
達増氏は安倍氏の留学詐称については、参考人招致を要求した。
ここで問題。麻生事務所は麻生氏がロンドン大学でも名門とされる政治経済学院(LSE)に留学したと説明したが、LSEは本誌の問い合わせに対し、古い記録を取り寄せて彼の時代のファイルが入っているはずの箱をすべて調べた上で、
<彼のファイルは見つからないし、(万が一、何らかの理由でファイルが除去されていた場合の)追跡カードもありませんでした。あなた(注=本誌)からの情報をもとに調査した結果、麻生氏の記録は全く見つかりません>
――とLSE記録係がメールで回答してきた。
http://www.weeklypost.com/jp/040312jp/news/news.html