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政府は24日午前、国会内で国民保護法制整備本部(本部長・福田官房長官)の会議を開き、有事の際に国民の生命と財産を守るための手続きを定めた国民保護法案の要綱を了承した。
国民を保護するための自衛隊の派遣について、これまでは知事が要請するとしていたが、<1>緊急時には、首相が独自判断で派遣できる<2>市町村長が防衛長官に直接連絡し、事実上、派遣を促すことができる――との規定を新たに盛り込んだ。これに伴い、自衛隊法を改正し、「国民保護派遣」の規定を新設する。また、国民保護法案では、武力攻撃事態だけでなく大規模テロが発生した場合の対処措置を明文化した。
会議では、有事における米軍への物資提供などに関する「米軍行動円滑化法案」など、国民保護法案を除く有事関連6法案の概要も示された。政府は計7法案を3月上旬に閣議決定し、今国会での成立を目指す。
国民保護法案は、昨年6月に成立した武力攻撃事態法とともに有事法制の中核となるものだ。武力攻撃事態法成立の際、与党と民主党は1年以内に整備することで合意した。
法案要綱は、武力攻撃事態や大規模テロが発生した場合、国による警報の発令、自治体による住民の避難と被災者の救援、武力攻撃による被害を最小限にとどめる措置などを定めている。
政府はあらかじめ国民保護に関する基本指針を閣議決定し、国会に報告する。基本指針を受け、省庁や都道府県、市町村は住民の避難や救援などに関する計画を策定する。国、都道府県、市町村の役割と権限を明確にし、的確かつ迅速に国民保護措置を実施するとしている。
措置の実施に当たって、基本的人権の尊重を明記する一方、土地・建物の使用などといった一定の私権制限や罰則を科すことも盛りこまれた。私権制限があった場合の損失補償も規定している。
政府が昨年11月に発表した国民保護法案の要旨では、都道府県知事だけが自衛隊派遣を要請できるとしていたが、首相の独自判断を認め、市町村長も関与できるようにした。都道府県が機能不全に陥るケースなどを想定したためで、市町村から要望があった。
また、<1>国民に正確な情報を伝えるため、都道府県知事は首相に、市町村長は知事に対し、必要な情報の提供を求めることができる<2>都道府県や市町村は国民保護に関する計画を議会に報告しなければならない――との規定が新たに盛り込まれた。
大規模テロなどの「緊急対処事態」は、武力攻撃に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態、または発生する明白な危険が切迫していると認められる事態のことで、首相が認定する。具体的には、原発施設の破壊、炭疽(たんそ)菌などの生物化学兵器テロ、航空機による自爆テロなどを想定している。
◆国民保護法案のポイント◆
一、国民は、要請された時は、必要な協力をするよう努める。国民の協力は自発的な意思にゆだねる
一、国や自治体は、自主防災組織やボランティアが行う自発的活動に対し、必要な支援を行うよう努める
一、知事は必要がある時は、防衛長官に自衛隊派遣を要請できる。要請がなく、緊急を要する時は、首相は防衛長官に派遣を求める
一、市町村長は知事に自衛隊派遣の要請を求めることができる。知事に要請できない場合は防衛長官に連絡できる
一、政府は、国民保護に関する基本指針を作成、閣議決定し、国会に報告
一、知事は収容施設や医療施設開設のため、同意を得て、土地、家屋を使用。正当な理由なく拒否した時は、同意を得ないで使用できる
一、国と自治体は、国民保護措置に協力した者が死傷した時は補償する
一、原子炉に関する命令、物資の保管命令、交通規制に従わなかった者に罰則
一、大規模テロなどへの対処措置は武力攻撃事態のときの規定を原則準用
◇
国民保護法案を除く有事関連6法案の概要は次の通り。
【米軍行動円滑化法案】自衛隊による物品・役務の提供▽米軍は土地・家屋を緊急に必要とする場合、首相が認めるときは使用できる。国は損失を補償
【自衛隊法改正案】日米物品役務相互提供協定(ACSA)改正に伴い、災害救援活動などを行う米軍への物品・役務の提供権限を新設
【外国軍用品等海上輸送規制法案】敵国への武器などの海上輸送を規制するため、停船検査などを実施
【特定公共施設利用法案】首相は港湾施設、飛行場施設を特定の者に優先利用させるように施設管理者に要請。できない場合は首相権限で、国土交通相を指揮して実施
【捕虜取り扱い法案】捕虜の拘束、抑留などの取り扱いに関して規定
【国際人道法の重大な違反行為処罰法案】重要な文化財の破壊や捕虜送還の遅延など、国際人道法に規定する重大な違反行為に対する罰則を新設
(2004/2/24/12:15 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20040224it03.htm