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小泉純一郎首相と、アナン・国連事務総長の23日の会談は、イラクへの自衛隊派遣に対する国連の「お墨付き」を得るだけでなく、暫定政権樹立への国連の関与を強めたい日本側の思惑も反映した。対米協調を選択する形で進んだ日本のイラク対応も、ここにきて国連重視にシフトしてきた表れと言える。米国と国連のはざまで揺れる日本外交を象徴する会談となった。
首相は今回、自らもアナン氏招請を積極的に働きかけた。自衛隊派遣をめぐる「大義」の不明確さが依然として国会論戦で批判を浴びる中、アナン氏の「評価」はノドから手が出るほどほしかったためだ。
イラク戦争について首相は「国連決議と国連憲章に基づく」と説明し、自衛隊派遣の正当性を訴えてきた。しかし、イラクに大量破壊兵器の廃棄をもとめた国連決議1441(02年11月)は、武力行使を直接認めたものではなくアナン氏自身、開戦直後は戦争の正当性に疑問を投げかけた。このため、自衛隊による復興支援への評価は最低限、取り付けたかったわけだ。それだけに、川口順子外相との会談で、アナン氏がこれに言及したことにとりあえず安堵(あんど)している。
同時に、首相はアナン氏にイラク復興への国連のさらなる関与を要請。米国が選挙の実施時期について国連に判断を求めるなど、暫定政権発足に向け国連の役割拡大は大きな流れとなっており、昨秋来日したブッシュ米大統領に首相が「国連には権威がある。米国は国連活用を考えてほしい」と働きかけた経緯もあった。
政府は一連のイラク対応で国連重視よりも対米協調を際立たせる路線を鮮明にして自衛隊派遣を実施、国連平和維持活動(PKO)を基軸とした海外派遣のあり方は大きく変化した。さらに米国を中心とする多国籍軍への恒常参加を可能とする「恒久法」制定を検討するが、どこまで国連の関与を前提とするかの論議はまだこれから。対米関係重視に傾きつつ国連の権威も無視できない日本外交は、今後もイラク復興プロセスの推移に影響されつつ揺れ動きそうだ。【古本陽荘】
[毎日新聞2月23日] ( 2004-02-23-20:58 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20040224k0000m010089000c.html