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北朝鮮を訪れていた外務省の田中均外務審議官、薮中三十二アジア大洋州局長らは14日夜、帰国し、日朝協議の内容を川口順子外相に報告した。拉致問題で対立して進展はなかったが、日朝両国ともに2002年9月の日朝首脳会談における平壌宣言に基づき諸懸案を解決する必要性では一致、政府間協議の継続を確認した。
北朝鮮側は拉致被害者家族の帰国について、被害者がいったん戻り家族に意思確認することが前提と主張。日本側は安否未確認の拉致被害者の真相究明に向け、合同委員会の設置を提案した。政府は25日から北京で開かれる核問題の6カ国協議でも拉致問題を提起、日朝交渉も求める方針だ。
政府は北朝鮮が家族の帰国方法に触れたことから、事態進展の可能性もあると判断しており、家族の帰国方式が次回交渉の焦点になりそうだ。
外務省によると、日本側は永住帰国した拉致被害者5人の家族の無条件帰国に加え、安否未確認の被害者の真相解明を強く迫った。これに対し、北朝鮮側は(1)5人が北朝鮮に戻り、家族と話し合い、希望するなら日本に行けばいい(2)安否問題は解決済み−などとの主張を展開。日本単独で経済制裁を可能とする改正外為法に関し「北朝鮮を力で押さえ付けようとするものだ」と反発した。
日本側は「拉致問題を含む諸懸案を解決し、国交正常化を実現していこう」という小泉純一郎首相の金正日総書記あてのメッセージを伝達。北朝鮮側は「金総書記に伝える」と答えた。被害者家族の近況を「元気にやっている」と説明した。
政府内では、事態打開のため、被害者に代わって閣僚クラスの政府要人らが平壌まで家族を出迎えに行く案が検討されている。田中氏らは、11日に平壌入りし、金正日総書記の側近の姜錫柱(カン・ソクチュ)第1外務次官らと断続的に会談した。日本政府は23日にも開く米韓両国との協議で拉致問題への協力を求める方針だ。
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外務省が14日明らかにした日朝協議の要旨は次の通り。
一、拉致問題を含む日朝間の諸懸案および核問題について話し合った。
一、日本側からは特に、拉致問題の解決の重要性を指摘し、被害者家族すべての無条件の帰国および安否不明の被害者について真相究明を強く要求。日朝両国による合同委員会の設置を提案した。
一、北朝鮮側は、協議の直前に日本で改正外為法が成立したことは北朝鮮を力で押さえ付けようとするものだとして強く反発した。拉致問題については(1)5人の拉致被害者をまず北朝鮮に戻すことが先決(2)直接子どもたちと話し合い、希望するなら日本へ行けばいいが、子どもたちの意思確認も必要(3)真相究明の問題は解決済み−など従来の立場を繰り返した。
一、日本側から拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ないことを強調し、日本の要求に応じるよう強く求めたが、双方の意見は平行線をたどった。北朝鮮は6カ国協議での拉致問題の議題化をけん制した。日本側は「日朝平壌宣言に基づき拉致問題を含む諸懸案を解決し国交正常化を実現しよう」との小泉純一郎首相から金正日総書記へのメッセージを口頭で伝えた。
一、核問題でも意見交換し、日本側が核廃棄の重要性を強調したのに対し、北朝鮮側は朝鮮半島の非核化にはコミットしているとしつつ、米国はじめ各国が北朝鮮側の「核凍結」提案にどう対応するかが重要だとの立場を強調、ウラン濃縮による核開発は否定した。
一、今回の協議は双方が互いの立場を詳細に述べ合うにとどまり、具体的な結果を見るに至らなかったが、政府間協議の継続を申し合わせた。
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■日本人拉致問題 70−80年代にかけ、多くの日本人が不自然な形で行方不明となり、捜査で北朝鮮による拉致の疑いが判明。金正日総書記は02年9月の小泉純一郎首相との会談で、初めて拉致を認め、謝罪した。日本政府はこれまで15人を拉致被害者として認定。そのうち、5人の帰国が実現したが、残る10人に関して北朝鮮側は8人が死亡、2人が入国の事実はないと回答。しかし、不明な点も多く、日本側は「安否は未確認」と反論、既に帰国した被害者の家族の即時・無条件帰国とともに、10人の安否情報の提供を要求している。
■日朝平壌宣言 2002年9月17日に平壌を訪問した小泉純一郎首相と金正日総書記が署名、早期の国交正常化のため同年10月中の正常化交渉再開を決めた。日本は過去の植民地支配を謝罪し、国交正常化後の経済協力実施を表明。双方は財産・請求権を放棄した。日本人拉致問題は「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」との表現で北朝鮮側が再発防止を約束。(1)朝鮮半島の核問題解決のためすべての国際的合意順守(2)核、ミサイル問題を含む安全保障上の問題解決(3)北朝鮮はミサイル発射のモラトリアム(猶予)を03年以降延長−を盛り込んだ。
(02/14 22:23)
http://www.sankei.co.jp/news/040214/sei092.htm