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04/1/26(329号)
今日の政治課題
イラク特措法の改正
19日に国会が開幕した。やはり今国会の一番の注目課題は、イラク関連である。自衛隊は順次イラクに派遣されている。イラク特措法が昨年成立しており、これに乗っ取って事態は進んでいる。
国会の争点の一つは、自衛隊のイラクに派遣に対する国会の事後承認とこれに関連した補正予算である。野党、民主党はこれらに反対の構えである。最近、民主党の中に国連の傘下の部隊(待機部隊)なら海外派遣も容認できるという意見が出ている。このアイディアに従えば、自衛隊とは違う組織を国内にもう一つ作ることになる。民主党のイラク特措法に対する考えが分らなくなった印象を受ける。
民主党がこのような状態であることから、国会でのイラク関連法案は相当に揉めることが予想される。特に7月に参院選が控えており、戦略的にも簡単に野党サイドは妥協しないと思われる。一方与党の中でも、公明党がすんなり法案に賛成するかどうかはっきりしない。
自衛隊のイラク派遣に関しては、肝心の自民党も一枚岩ではない。加藤、古賀元幹事長のようににはっきり反対を表明している人々がいる。これらの人々は、自衛隊の海外派遣そのものに反対していたり、米英軍のイラク攻撃そのものに異議を申し立てている。たしかに今だに大量殺戮兵器は見つかっておらず、「米英軍のイラク攻撃の大義」自体があやしくなっている。
しかしこれらの人々とは違った観点から、自衛隊のイラク派遣に異議を唱えている政治家も多い。イラク特措法が成立した時点と今日ではイラクの情勢が様変わりしている。この状態では、現行のイラク特措法の元での自衛隊派遣は無理という考えである。たしかにイラク特措法はギリギリの憲法解釈の元で成立した法律である。状況が大きく変われば、イラク特措法自体の改正が必要になる。たしかにこれは正論である。
イラク特措法は、米英軍のイラク攻撃が終了し、イラク自体が平穏な状態になったことが前提に成立した法律である。たしかに旧来の戦争の概念は、国家と国家の間で起るものであった。つまりフセイン政権が崩壊すれば、戦闘状態は終了したことになる。しかし今日のように国家とテロ組織との戦いを新しい戦争の形と捉えるなら、テロ組織が完全に壊滅し、それが証明されない限り、戦闘状態は終了したとは言えない。このように今日のイラクの情勢は極めてあいまいである。
自衛隊が派遣されるサマワは一応平穏な地域とされている。しかし自衛隊が派遣されることによって、サマワ自体が危険な場所になる可能性が強い。つまりサマワがイラク特措法で想定していた場所ではなくなるのである。しかしこのような事を無視するかのように、政府は自衛隊のイラク派遣をたんたんと進めている。
迷惑なのは自衛隊の隊員である。派遣先は平和という前提で成立した法律の元で派遣されるのである。武器の所持や武器の使用については極めて限定されている。へたに武器を使用すれば、日本の国内法で罰せられるケースも想定される。
自衛隊の隊員は、「自分は軍人」と自覚しているはずである。しかしイラクでは、他国の軍隊に守られながら活動することになる。つまり軍人が外国の軍人に守られなければ、何もできないということになる。軍人にとってこのような屈辱的なことはない。本来軍人は他人の命を守ることが使命である。その軍人が他人(オランダ軍)から命を守ってもらうのである。さらに守ってくれる外国の軍人が誰かに襲われても、助けることができない。軍人としての自衛隊の隊員のプライドはズタズタである。そしてこのことは日本の名誉にかかわってくる問題である。
ここからは筆者の意見である。まず比較的安全と言われているサマワの状況も正確には分らない。しかし今さら自衛隊のイラク派遣を止めることはできないと考える。後は、派遣される自衛隊の安全をどこまで確保できるかである。このためにはイラク特措法を現実に合うように改正すべきである。最低でも、自衛隊の安全は、自分で確保できるようにすべきである。
イラク特措法の改正には、憲法の解釈の変更が必要になると思われる。テロが活発になった頃、一時イラク特措法の改正が話題になったが、不思議なことに最近になってこの話はパタリと止んだ。イラク特措法は4年間の時限立法である。このままでは法律を改正をしないままでの自衛隊派遣がダラダラと長くなりそうである。憲法解釈の変更の困難さや野党の動向を考えると、イラク特措法の改正が難しいことは分っている。しかし最低でも改正に向けた具体的な動きが必要と考える。
自衛隊は命令があれば動くことになる。しかし結果の責任は政府にある。サマワの安全を自衛隊に今の段階になって調査させ、「サマワは安定している」と報告させている。これに対して小泉首相は「専門家が安全」と言っており、これを重視したいと発言している。しかしこれは将来に起るかもしれない不測の事態の責任の転嫁を意図した発言と思われても仕方がない。サマワに自衛隊を派遣することは、政府自身が既に決定していることである。
消費税の免税点の引下げ
先週号で消費税の免税点の引下げを取上げた。しかし消費税の改定については、「内税表示」に関しては割りと知られているが、免税点の引下げについてはほとんどの人々は知らないようである。たしかに大きな組織に属している人にとって、これは自分達に関係がなく興味がない話である。したがってマスコミもほとんど取上げていない。
しかし免税点の、3,000万円から1,000万円への引下げは、驚くほど多数の人々に影響する。平均して一日3万円以上の売上の事業者が納税義務者になる。かなりの割合の個人事業者が対象になる。そして消費税は、商売が赤字でも納税することになる。これに対して反対運動が起っても不思議でもないのに、無気味なほどに声が上がらない。一つの理由は、この規模の事業者は、政治的な団体との結びつきが弱いことである。
たしかに国税庁のホームページには、昨年の6月から消費税の改定について情報を公開している。しかし対象になっている人々が、ほとんどこのことに気が付いていない。このような状態で本当に免税点の引下げを行なって良いのか大いに疑問である。
新たに消費税の納税義務者になるのは、規模の小さな床屋、美容院、飲み屋、商店など数限りがない。事業というより生業(なりわい)としている人々である。また家族だけで仕事をしているような商売である。中には白色申告しているような帳簿も満足に揃っていない事業者も多く含まれる。
世間がイラク問題で騒いでいる間に事は進行している。おそらく4月の直前になって事の重大性に気がつき、ほうぼうで声が上がると思われる。問題は、新たに納税義務者になる人が納得していない事である。納得していないどころか、免税点の引下げが行なわれること自体を知らないのである。
免税点の引下げは、事業者の規模による納税の不公平を是正するものである。建前上は消費税を消費者から受取っておきながら、それを納税していないという言い方がされている。しかしこのような事業者も仕入には消費税がかかっている。またこの程度の規模の事業者は、価格競争力は弱く、今日のような不況下では、消費税を簡単には転嫁できないと思われる。
利益がなくても納税しなければならない消費税の負担は意外に重い。さらに事務負担も大きくなる。たしかに簡易課税制度があるが、全ての人々がこのことを知っているわけではない。また儲かっていないところも多く、このような状況では、消費税の免税点の引下げをきっかけに商売を止めてしまう人も続発しそうである。
政府はべンチャー企業の育成と言っているが、事業を始めたべンチャー企業の多くもこの規模に該当すると思われる。税負担と事務負担を考えると、べンチャー企業を興すことを躊躇する人も出てきそうである。ただでさえ日本の開業率は極めて低くなっている。日本政府は何を考えているのかさっぱり分らない。
7月には参院選がある。筆者は、イラク問題より、この免税点の引下げの方がインパクトが大きいのではないかとさえ見ている。過去、自民党は消費税で2度参院選でボロ負けしている(中曽根内閣の時の売上税騒動での敗北を含めば、3度負けている)。先週述べたように、まさに消費税は鬼門である。
特に今回の免税点の引下げの影響を受ける商売では、事業者は極めて多くの人々に接触する。今、人々は大きな不満を持っており、消費税をきっかけにこれらの人々の「口コミパワー」が爆発しそうである。先の総選挙を見ても、自民党は公明党の助けがなければ、議席を十分に確保できない。小泉首相の人気なんて何の役にもたたないことが証明されている。
7月の参院選で自民党がボロ負けすれば、向こう6年間政局運営がさらに難しくなる。このような重要な時期に免税点の引下げを行なおうなんて常軌を逸している。そこで筆者も関係している亀井静香勝手連(亀井静香勝手連のホームページhttp://www.nb-j.co.jp/katteren)で、消費税の免税点の引下げに反対するキャンペーンを近く行なう予定である。これは免税点の引下げに反対することより、「消費税の免税点の引下げ」が実施されることを周知徹底するための広報活動が目的である。
来週号は、政府・日銀の為替介入を取上げる。
メガバンクの危機は去って、残りは地方の銀行だけという雰囲気だった。しかし文芸春秋12月号で取上げられたように三井住友にも依然問題が残っているようである。さらにUFJにも金融庁の調査が再開されるという話である。やはり経済が低迷したままなのに不良債権を処理するなんて、所詮無理な話である。
http://www.adpweb.com/eco/index.html