現在地 HOME > 掲示板 > 政治・選挙2 > 236.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
増田俊男の時事直言!
231号 (2004年1月21日号)
MASUDAページ : http://masuda.luvnet.com
e-mailアドレス : info@sunraworld.com
FAX : 03-3955-2122
二大政党論の虚構
アメリカは民主党と共和党、イギリスは労働党と保守党、といった具合に二大政党政治が定着している。日本も二大政党が理想であると誰もが口を揃える。いつも日本が陥る落とし穴は「言葉主義」である。つまり自民対民主をアメリカの民主対共和党と同じに受け止める。アメリカでの二大政党がどのような議会活動をしているか、日本の活動とどこがどう違うのか。そうした政党の本質と機能の違いを明確にしないで、政党の勢力(数)が拮抗している点だけを考えて日本と欧米の政党を同質に扱っている。
今ブッシュ大統領は「新エネルギー法案」を議会通過させようと躍起になっている。エネルギー関連企業(特に石油)を来るべき大統領選の資金源にする為である。議会での民主、共和党勢力は均衡しているからブッシュは民主党から2名賛成に回ってもらう必要がある。そうした事情からブッシュはハワイ州選出の民主党最有力議員ダン・イノウエ氏に何度も電話をかけ協力を要請している。勿論イノウエ氏はただで承諾するわけは無く、ハワイ州に最も多くの防衛予算を確保するとか、先住ハワイアンの自治権を認めるとかいろいろ条件を出す。合意に達すれば全民主党員反対の中2名だけが同法案に賛成し法案は成立する。このように民主、共和党議員たちは法案によって党内で賛否が割れるのが普通。日本でもし自主投票権が解禁になったら政党は崩壊するだろう。日本の政党吸引力はマネー、人気、ひょっとしたら義理人情であって、決してビジョンではないからである。西洋では民主政治に長い経験と伝統があり、いわば「大人の政党活動」が地に着いていることが分かる。
--------------------------------------------------------------------------------
国家ビジョン無き政党は政党ではない
欧米の2大政党の特色は、政党が国民に示す国家ビジョンと、国民の支持層の違いである。
すなわち政党は国家ビジョンを明確にする。党員は明確なビジョンに基づく政治指針を堅持しながら、個々の法案については賛成に回ったり反対に回ったりする。私が「大人の政治活動」と述べたのはこのことである。欧米では時代と共に急速に変る世界の価値観に適応すべく憲法改正を続ける。「憲法改正の数は政治責任に正比例する」のである。
国家をアップデートに保ち、憲法を常に新鮮な国家のアイデンティティーにすることにより、国民は自国の憲法に誇りを持つことが出来る。日本は戦後一言一句たりとも憲法改正したことが無い世界唯一の国であり、世界一無責任な国家である。
「日本国憲法」に対して自民党はもとより民主党も意見は全くバラバラである。
国民は「日本国憲法はマッカーサー憲法」などと誰一人誇りに思わない。誇り無き憲法を何故改正しないのか。それは歴代の与党も野党も日本の国家ビジョンを持たなかったからであり、日本の政治家は「事物対処屋」に徹してきたからである。日本は常に他国の国家ビジョン達成のための戦略に対処するため右往左往するだけであった。
--------------------------------------------------------------------------------
国家ビジョンを持て!
日本には日本民族が古代から守り続けてきた「和の精神」がある。しかも今でも日本人の心の中に密かに存在している。日本は何故「和の精神」を国家ビジョンにしないのか。和の精神国家を自国に確立し、さらに世界に広める。こうした日本の歩むべき指針が明確にされてはじめて国家の存在感が持てるのである。
「構造改革無くして日本の再生無し」とは小泉先生のキャッチフレーズ。非効率を効率化すれば日本は再生するのか。「言葉」に酔う前に再生する「日本とは何か」が分かっているのか。船の行く先も知らず、また知ろうともせず、櫓をエンジンに替えようとしているのが小泉純一郎氏ではないか。私は明治時代を果敢に生き抜いた祖父に教わった。「俊男よ、目標を持て、目標を忘れるな、目標のために死ね!」である。祖父はいつも言った、「日本人であることを忘れるな!」と。今日まで数万年、数千年日本を存在し続けてきてくれた我々のご先祖様たちに恥ずかしいと思わないのか。幾たびか日本の心と存在を失いかけながら必死で守り続けてくれたご先祖さまに顔向け出来るか。陳腐なコマーシャルソングを歌い続ける小泉潤一郎は「歌を忘れたカナリア」である。郵政事業民営化は、日本をより「和の国」にするための近道なのか。年金制度改正の目標は「和の国」になっているか。自衛隊のイラク派遣は日本の「和の精神」の世界普及の方向に沿っているか。
--------------------------------------------------------------------------------
日本の責任
戦後の日本の経済的繁栄は日本人の努力の賜物であり、幸運でもあった。幸運な者は不幸な者を、富める者は貧しき者を、強き者は弱き者を、明るき者は暗き者を救わねばならない。「争わず、戦わず、破壊せず」、日本人は創造し続け、与え続けなくてはならない。自衛隊派遣はアメリカ占領軍のための支援部隊ではなく、イラク人と共に汗を流す日本人を守り、支援するためでなくてはならない。日本はイラクにアメリカの民主主義という名の競争原理を強制するのではなく、イスラム精神と共通する「和の精神」を自ら実行し、示さなくてはならない。小泉氏の「言う」国際貢献、イラク支援には「骨」がない。日本人としての精神的バックボーン無き支援を国民は誇りに思うことは出来ない。我々国民は、まったく空しき首相を選んだものだ!、、とは言え、自ら日本を非難する時代はもう終わった。これからは我々の責任である。批判、怒り、失望を乗り越えて、我々一人一人が、まず日本人であることをしっかりと肝に命じようではないか。「我思う、故に我あり」!自ら日本人として確固たる思いがこみ上げてきた時、新しい日本が生まれるのだ!
『新春スペシャル』でお会いしましょう。
※「時事直言」の文章および文中記事の引用ご希望の方は、事前にサンラ・ワールド株式会社 増田俊男事務局(TEL 03-3955-2121)までお知らせ下さい。
ご意見ご感想は:
E-mail:info@sunraworld.com
発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)
http://www.chokugen.com/opinion/frame_new.htm