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ことしの自民党定期大会は、責任政党とも国民政党とも言えなくなりつつある、この政党の現実を映し出した。
小泉政権になって3回目の大会の雰囲気は、これまでとは随分違った。2年前には郵政民営化をめぐる首相と抵抗勢力のせめぎ合いがあった。昨年は総裁選をにらんだ主導権争いが見え隠れした。ことしは「党内融和」と「挙党」の大合唱である。
昨秋の総選挙で与党は絶対安定多数をとった。小泉改革も、年金、道路公団、地方分権、いずれも首相と党側が妥協して一段落した。めでたし、めでたし。さあ夏の参院選だ、といったところだろう。
象徴的な場面があった。現職の参院議員が選挙向けの自己紹介で言った。「建設関係の抵抗勢力です。小泉総裁よろしくお願いします」。そして壇上で首相と握手して写真に納まった。
会場に広がるあいまいな笑い声の波は、かつては党内に「踏み絵」を迫ったほどの首相の意気込みが今どうなってしまったのかを示していた。壇上には、参院選の立候補予定者である業界団体の代表たちが、当然という顔で居並んだ。
新年度の運動方針の題は「育てよう改革の芽」。首相は一昨年の施政方針演説で「改革の成果を国民に示す」と胸を張ったが、「成果」が「芽」へと逆戻りだ。正直といえば正直ではある。
首相が来年までに党の案を作るよう指示した憲法改正には紙数が割かれた。痛みを強いる構造改革よりも、言葉を躍らせることで自民党らしさを印象づけられるような課題の方が扱いやすいのだろう。とはいえ、このテーマすら、国民投票法の制定や地方公聴会の日程を並べただけだ。
靖国神社への参拝問題は「参拝を受け継いでいく」とある。「公式参拝の実現に向けた努力を積み重ねる」などとした以前の方針ほどの思い入れは感じられない。
とにもかくにも、これから3年近い任期がある小泉総裁の下で実行したい党の政策メッセージが、伝わってこない。
運動方針をめぐって、党の窮状がよくわかることがあった。参院での「単独過半数」の回復をめざす、とした当初の記述を削ったことだ。党の組織は衰え、無党派層にもなかなか支持が広がらない。いよいよ公明党のご機嫌を損ねることはできなくなった、ということに違いない。
党大会は、陸上自衛隊の先遣隊がイラクに向け出発する日と重なった。地方党員を慰労する場でもあるとはいえ、国民が心配している問題について、会場から意見ひとつ聞かない大会とは何なのか。
参院選の立候補予定者が「小泉総裁以下、みなさんの『人道支援』をお願いします」と軽いのりで語るさまは、責任政党の自覚のなさを如実に物語る。
小泉首相と自民党が、うちそろってたそがれていくように見えた。