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民主党大会についての読売新聞社説・二題 −「いまさら国連待機部隊とは」、「憲法改正提言、野党第一党の画期的な一歩」
http://www.asyura2.com/0401/senkyo2/msg/161.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 1 月 15 日 08:25:47:eWn45SEFYZ1R.
 

(回答先: 憲法改正:民主党の目的わからない 社民・福島党首 [毎日新聞] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 1 月 14 日 20:31:01)

[民主党大会]「いまさら『国連待機部隊』とは」 1月14日付
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040113ig90.htm

なぜ自衛隊を派遣してはいけないのか。

 民主党の菅代表は党大会で、国連による平和協力活動に参加するため、自衛隊とは別組織の「国連待機部隊」を創設することを提唱した。

 この構想は、全く話にならない。

 「国連待機部隊」構想は、十数年前、国連平和維持活動(PKO)協力法をめぐる論議の中で登場した。当時、組織上も、機能上も、非効率な「第二自衛隊」を作るべきではない、として退けられたものだ。

 それが今、再登場したのは、民主党の党内事情からではないのか。旧社会党議員を中心に、自衛隊の海外派遣は「武力行使」につながる、という反対論が党内にある。国連決議というお墨付きがあれば、自衛隊を出しやすいという“国連信仰”もあるだろう。

 しかし、PKOであれ、多国籍軍であれ、国際平和協力活動への参加は、憲法が禁じている国権の発動としての「武力行使」であるはずがない。憲法九条と関係づけること自体が筋違いだ。

 イラク問題では、国連が安全保障機能を果たせていないことが、顕著になった。だが、国連が十分機能しない場合でも、自衛隊を活用しなければならない局面があることは、今回のイラクへの自衛隊派遣が証明している。

 「国連待機部隊」という国連の要請がなければ動けない部隊では、アフガンやイラクの現実に対応できない。

 冷戦後、テロや内戦型の地域紛争が多発し、国連PKOは曲がり角にある。停戦合意や当事者間による受け入れ合意ができないケースが増えているからだ。東ティモールでも、初めは多国籍軍で対応し、それをPKOに切り替えている。

 自衛隊は、国際平和協力活動に数々の実績を残し、国際社会に厚い信頼を得てきている。内閣府の外交世論調査では、三人に二人がPKO参加を評価し、PKOへの理解は国民にも定着している。

 国際情勢も、憲法を取り巻く環境も、大きく変化している。

 重要なのは、PKOにとどまらず、自衛隊の国際平和協力活動はどうあるべきか、根本的な議論をすることだ。菅氏も自衛隊を活用することには反対していなかった。

 党大会で、菅氏は「創憲」を主導し、二〇〇六年までに、新たな憲法のあり方を示す、との意向を示した。

 それならば、新たな国際平和協力をどう進めるか、という観点から、憲法九条を議論すべきだ。それが、政権を目指す責任政党のあるべき姿だ。

(2004/1/14/01:22 読売新聞 無断転載禁止)


[憲法改正提言]「野党第一党の画期的な一歩」 1月15日付
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040114ig90.htm

憲法改正をめぐる戦後の歴史上、画期的なことである。

 民主党の菅代表が党大会で、憲法公布六十年の二〇〇六年までに、「新たな憲法のあり方を国民に示せるようにしたい」と宣言した。野党第一党の党首が、党大会という公の場で「憲法改正」を表明したのは初めてだ。

 既に自民党は結党五十年の二〇〇五年秋までに、憲法改正案を策定することを決めている。衆参両院の憲法調査会も来年初めまでに報告をまとめる。これに民主党が加われば、憲法改正への動きが大きく加速することになるだろう。

 現在の憲法と現実との乖離(かいり)が言われて久しい。国際情勢も、日本の社会・経済も、憲法制定時から大きく変化した。外交・安全保障では、今日の自衛隊の海外派遣など、夢想だにされなかった。

 環境権や人格権のような、新たな権利概念が登場している。社会の共同性を支える「公」意識や規範意識が失われつつある、との危機感も広がっている。

 こうした課題への取り組みを通じて、どんな国を目指すのか。時代の変化に応じて、国の基本法である憲法を見直し、新たな国家像を提示するのは、政権を担おうとする政党の当然の責務だ。

 菅氏の発言は、そうした自覚と責任意識の表れと受け止めておきたい。

 なぜ、これまで憲法が改正されなかったのか。菅氏自身が三つの理由を挙げている。いずれも正鵠(せいこく)を射たものだ。

 まず、国民が自ら作った憲法ではなかった。確かに、現行憲法は連合国軍総司令部(GHQ)によって作られた。

 次に、五五年体制のイデオロギー対立だ。冷戦と一国平和主義の下の“護憲原理主義”によって、憲法改正は長くタブー視された。菅氏は「不毛なイデオロギー対立に終止符を打つ」と断言する。

 最後に、菅氏は「憲法解釈を官僚に任せた」と指摘する。政府の一機関に過ぎない内閣法制局が、つじつま合わせの憲法解釈を重ね、改正を妨げてきた。例えば、「集団的自衛権の行使はできない」とする九条解釈は日本の安全保障政策を制約し、ゆがめる結果にもなった。

 具体的な論点として、菅氏が挙げるのは、国と自治体の関係、人間の倫理や日本文化の継承、公共の福祉などだ。「合意できるところから順次変えていくのが現実的だ」とも言うが、「新たな憲法」と銘打つ以上、九条も含めて、タブーなき論議をする必要がある。

 自民党と民主党の議席を合わせれば、衆参両院とも憲法改正発議に必要な三分の二を優に上回る。国家像を競い、憲法改正へ大きく踏み出す時だ。

(2004/1/15/01:30 読売新聞 無断転載禁止)

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