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<西武鉄道利益供与>総会屋対策に定評 「なぜ闇勢力が侵食」
沿線の不動産開発に合わせて東京都から埼玉県にかけて鉄道網を整備し、有数の私鉄大手へと成長した「西武鉄道」(埼玉県所沢市)。子会社の「西武不動産販売」(所沢市)を通じて土地取引を偽装し、総会屋側に低価格で提供していたとして西武鉄道専務、伊倉誠一容疑者(65)らが警視庁組織犯罪対策3課に1日、逮捕された。「総会屋が入り込めない」と評判だった企業が、なぜ総会屋勢力に侵食されていったのか。同課は事件の全容解明を進める。
関係者によると、西武鉄道は総会屋などの闇勢力から最も縁遠い企業として知られていた。6月の集中日に開催される株主総会に、総会屋が姿を見せることはなかったという。事前に総会屋から公開質問状が送り付けられても、き然とした対応を取り、総会屋の間では「総会屋を門前払いにする企業」と言われてきた。同社幹部は「なぜ、総会屋に侵食されてしまったのか。今でも信じられない」と話す。
今回の事件の中心人物とされ、松坂屋とキリンビールの事件でも摘発された芳賀竜臥容疑者(74)は、古参の総会屋として企業の総務担当者の間で知られている。これまで株主総会にほとんど出席したことはないが、株付けした企業への資料請求や、執ような面会要求を繰り返して脅迫的行為で供与を受ける手口で企業に食い込んできたという。
もともとは金融業者で、ある大物総会屋との付き合いを通じ、その手法を学んだとされる。金融界の裏面を描いた清水一行氏の小説「虚業集団」のモデルともいわれている。
約90社に上る西武鉄道グループのうち、西武鉄道以外はほとんどが非上場。同グループは鉄道事業とともに不動産・観光開発事業を事業の柱に掲げる。グループを築き上げたのは、元衆院議長の堤康次郎氏(故人)。1918年ごろから軽井沢や箱根などで大規模な別荘地開発に乗り出し、20年にコクド(旧・箱根土地)を設立した。コクドが西武鉄道の発行株式の45.35%を所有し、実質的なグループのトップ企業となっている。
西武鉄道の前身は12年に設立された「武蔵野鉄道」で、32年に堤康次郎氏が経営権を取得し、40年に「多摩湖鉄道」、45年に旧「西武鉄道」を合併しながら路線を拡大し、翌46年に社名を現在の西武鉄道に変更した。土地開発の進展に伴い、開発地域の鉄道・バス事業など交通網の整備、百貨店など小売業への進出など事業の多角化でグループは発展した。【立山清也】
◇巧妙化する手口
警察庁のまとめでは、82年の商法改正で総会屋への利益供与が禁じられて以降、全国での摘発は38件に上る。97年には味の素や、野村、山一、日興、大和の4大証券、第一勧銀が相次いで摘発された。さらに「海の家」の利用名目に三菱自、三菱電機、東芝、日立製作所、三菱地所など日本を代表する企業が摘発された。
現在、総会屋は全国で約420人。83年末のピーク時の約4分の1にまで減少した。利益要求罪の新設と罰則強化を盛り込んだ商法改正が減少の契機になった。(97年施行)
しかし、警視庁組織犯罪対策3課は、腐れ縁を断ち切れない企業は、利益供与を商取引に偽装したり、下請けに参入させたりするなど巧妙化していると指摘する。摘発逃れのため、架空取引や多額の供与を避け、子会社を使ったり、小口供与を長期間継続したりするなど複雑化しているという。西武鉄道のケースでも、子会社の西武不動産販売と、総会屋と関係の深い不動産業の商取引を偽装していたとされる。【立山清也】
(毎日新聞)[3月1日17時19分更新]