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「試験に出たのは事前に塾から見せられた問題ばかり。気が引けて、わざといくつか間違えた」。医学部受験専門の塾「麻布医専ゼミ」(東京都渋谷区)の元経営者・福間桂子被告(38)が、日本大医学部や日本医科大の入試問題を横流しし、多額の報酬を得ていたとされる脱税事件。両大は先月末、「問題が漏れていた事実は確認できない」との中間報告をまとめたが、元塾生やその父母らが読売新聞の取材に重い口を開き、漏えいの生々しい実態を語った。
◆「衝撃」
塾生Aが福間被告から受け取った封筒の中には、手書きした数学の問題のコピーが数枚と、別の筆跡の「模範解答」が入っていた。日医大の入試直前の2001年2月初め。福間被告はAを呼び出して「これをよく復習しておいて。後で絶対捨てるのよ」と念を押し、封筒を手渡したという。
同月4日、Aは日医大の入試会場で、他の塾生たちも個別に「特別指導」を受け、数学の問題を見せられていたことを知る。その日、実際に数学の試験に出た3つの問題はすべて、福間被告から事前に見せられたのと同じだった。
「さすがに、全問正解するのは気が引けて、わざといくつか間違えた。塾ではうわさがあったけれど、実際に体験すると、こういう世界があるのか、とすごい衝撃だった」と、Aは話している。この年、同大を受験した塾生のほとんどが合格した。
99年春に日大医学部を受験した塾生Bも同様の体験をしていた。福間被告に都内のホテルに連れて行かれ、3問の数学の問題をノートに書き写す「特別指導」を受けた。 これを、日大医学部の入試で実際に出された4問のうちの3問と見比べた大手予備校の講師は、「数字などの設定を多少変えてあるだけで、内容は同じ」と分析し、「偶然の的中はありえない」と話した。
◆持ちかけ
2000年秋、塾生Cの親は、福間被告との個別面談で、「日医大なら、事前に入試問題の情報がある」と持ちかけられた。「まさか」と思った。不況で、医学部人気は年々高まっており、特に日医大は、戦前からの伝統を持つ難関校だったからだ。
Cの親は当時、同被告から、「一定以上の点数なら合格ラインまで引き上げられる」「入手できるのは数学だけなので、ほかの教科がある程度できないと受からない」などと言われた。こうした説明に、父母の多くが引き込まれた。
一方、福間被告は現金を受け取る際に「大学の先生に渡す」「『預かり金』として処理する」などと説明していた。提示した金額は数百万円から約5000万円とまちまちだった。
「これ以上、浪人させたくなかった。今年で決めたい、とわらをもつかむ親心を巧みにつかれた」と、数千万円を払った塾生Dの親は振り返る。Aの母親は、「我が子にこれ以上苦労させたくない一心だった。人の道に外れることをし、後悔しています」と言って、肩を落とした。
◆ルート
福間被告はどこから入試問題を入手したのか。
福間被告は東京地検特捜部の調べには「見知らぬ男2人から問題を買った」と供述したとされるが、塾生の親から起こされた民事訴訟では「医学部関係者と称する人から電話があり、3000万円を出す人はいないかという趣旨の話があった」と陳述している。
一方、本紙の調べでは、福間被告が問題を入手していたのと同時期に、漏えいのブローカーらしき人物と接触していた別の医学部受験塾の関係者がいた。
2000年夏ごろ、電話で私大の入試問題購入を持ちかけられ、喫茶店で若い男性2人と会った。2人は「予備校が買うなら500万、父母なら200万円」と話したという。
しかし、漏えいに関係したと見られる人物が死亡していることもあって、特捜部の調べも暗礁に乗り上げたとされ、ルートは判然としていない。
◆陳述
漏えいについて、福間被告の弁護士は「何もお話しすることはない」としている。だが、福間被告は、塾生の親が起こした先の訴訟で、入試問題を事前入手し、親から金を受け取ったことを認めた上、「現金は全額、あっせん者に渡した」との陳述書を提出している。この訴訟で、東京地裁は、親から福間被告への現金提供は「不法原因給付」にあたると判断し、預け金の返還請求を棄却している。
(2004/2/15/03:05 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040215i101.htm