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<ヤミ金融事件>外国銀行使い2ルートで資金洗浄
指定暴力団山口組五菱会(二代目美尾組と改称)の組織的ヤミ金融事件で、同会系貸金業総括経営者、梶山進被告(54)らは、不法収益で購入したとみられる割引金融債十数億円分をいったん香港のスイス系銀行に持ち込み、銀行間取引の形で換金と送金を依頼していたことが、警視庁など合同捜査本部の調べで分かった。梶山被告らの名前が出ない形でマネーロンダリング(資金洗浄)を図ったとみられる。
東京都内の英国系銀行から香港のスイス系銀行に送金した五十数億円も、銀行間取引を利用した匿名取引だったことが判明。不法収益はこれを含めた2ルートを使ってスイスの銀行支店にある梶山被告名義の2口座に振り分けられた疑いが強い。
調べでは、梶山被告らは数回にわたり香港に渡航し、スイス系銀行香港支店に割引金融債十数億円の換金と入金を依頼。同銀行が取引先の都内の英国系銀行に債券を送り、証券代行会社で換金させて再び香港の口座に入金させたという。
梶山被告らはこのほか、ヤミ金融の収益で購入した無記名の割引金融債五十数億円分を都内の証券代行会社で英国系銀行名義で換金。銀行名義の口座から銀行名義の口座に送る形で、香港のスイス系銀行に送金していたとみられる。
いずれも銀行間取引の形となり、梶山被告らの名が出ないまま海外送金が可能となった。
英国系銀行は警視庁の調べに「ヤミ金融業者と取引はしていない。スイス系銀行の香港支店から依頼された」と説明したという。
その後、この2ルートで香港に送られた資金は、スイス系銀行のシンガポール支店を経由して同銀行のチューリヒ支店に送られたとみられている。スイス司法当局は同支店で残高が計約6100万スイスフラン(約52億円)あった梶山被告名義の2口座を凍結した。警視庁などは捜査員らをスイスに派遣しており、現地司法当局との情報交換で全容解明を進める。【田中義宏】
◇ことば 割引金融債
利息相当額をあらかじめ額面から差し引いた価格で発行する利息先取り型の金融債券。1年後の償還期に額面額が支払われる。当初は原則無記名式で、購入者や所有者が特定されなかった。しかし、一昨年4月の改正預金保険法施行で無記名式の金融債は預金保険の保護対象外となり、金融機関は無記名式の発行を減らしてきた。昨年1月の本人確認法施行で、無記名式で購入しても満期で換金する際、200万円を超える場合は本人確認が義務付けられた。(毎日新聞)
[2月12日3時2分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040212-00000080-mai-soci