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http://www.asahi.com/science/update/0730/001.html
容量がけた違いに大きいハードディスク(HD)へつながる画期的な素子の開発に、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)や東京大、東北大などが成功した。「強相関」と呼ばれる状態の電子の磁気的性質をコントロールし、HDの読み出しヘッドに使う。実用化できれば、HDの容量が一気に10〜100倍になる可能性もあるという。30日発行の米科学誌サイエンスに発表する。
HD上のデータは、小さな磁石として書き込まれており、ヘッド部分で磁石の向きを読み取り、データを解読している。HDの容量を大きくするには、HD上の磁石をさらに小さくして密度を高めればいいが、発生する磁力も弱くなり、読み出しヘッドの感度を高くする必要がある。
産総研強相関電子技術研究センターの川崎雅司・研究チーム長らは、電子が持っている磁石の向きが完全にそろい、近くにある磁石の向きを極めて鋭敏に感じる強相関状態の電子を使う素子に着目。電子が持つ磁石の向きの乱れをなくす改良を加え、ヘッドの感度を示す「トンネル磁気抵抗率」を約3倍向上させる基礎実験に成功した。
実験はマイナス263度程度という低温で行われているが、常温でも感度を高く保つ工夫はできるといい、将来はHDの容量を10〜100倍にできる可能性がある。
強相関電子の研究は、同センターの十倉好紀センター長が96年、磁場をわずかに変えるだけで電気的・磁気的特性が変わるマンガン酸化物を見つけてから活発化した。通常の素材では電子はバラバラに動いているが、電子の数を増やしていくと、電子同士が互いに反発し、ほとんど立ち止まる寸前の状態になる。こうした強相関の状態では電子の磁気的性質が変わる。十倉氏は01年度朝日賞を受賞している。
強相関電子物質研究は世界的に競争の激しい分野だが、日本はトップを走っている。
(07/30 05:59)