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新たなテロ拠点になるインターネット【IT_Media記事】
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0407/09/news027.html
2004/07/09 11:48 更新
テロリストのWebサイトは過去7年間で571%増加した。これらのサイトでは爆弾の作り方や子供を引き込むためのゲームを提供、テロリストの訓練や勧誘に利用されている。(IDG)
インターネットはテロリストが訓練、新人の勧誘、資金調達をするための「新たなアフガニスタン」になっていると研究者は指摘している。
テログループはインターネットのアクセスのしやすさ、利用者の多さ、匿名性を利用して、資金の調達や新たなメンバーの勧誘を行っている。イスラエルのハイファ大学の研究者はこう話している。
同大学の通信学部長ガブリエル・ウェイマン氏によると、テロリストのWebサイトの数は、過去7年間で571%増加したという。
「アルカイダはもうテロ組織のようには活動していない」とウェイマン氏は7月7日、ワシントンD.C.のNew American Foundationでの講演で語った。「彼らは一緒に住んでいないし、一緒に訓練もしていない。会ってさえいないこともある」。コミュニケーションに関しては、彼らには人的交流の必要はないのだと同氏は語った。
オンライン訓練所
アルカイダが発行している「Al Batter(The Sword)」は、同団体の世界中のネットワークに向けたオンライン訓練所だとウェイマン氏。第9版は誘拐をテーマにし、その方法、標的候補、交渉戦術、さらには人質斬首の映像を撮影し、Webに掲載する方法まで示している。この版は、イラクで最近、一連の誘拐・斬首事件が起きる前に公表された。
最新の第13版は、7日にアルカイダのWebサイトに掲載された。ウェイマン氏は、この版はまだ完全には翻訳されていないが、兵器が中心的なテーマになっていると語った。
同氏は最近の人質斬首事件に触れ、こうした行為は非常にローテクだが、それをビデオに撮ってインターネットに掲載するのはかなりハイテクだと述べた。テロリストは原始的な手法と高度な手口を組み合わせて攻撃に利用しているのだ。
将来起こり得る動きについて、「サイバーテロは地平線上に見える暗雲だ」と同氏は語った。
Webを利用して大義を宣伝するテロリストは、ハイテクに通じたマーケティング業者と同じように動いていると同氏は指摘する。彼らはさまざまな層の人々が何に最も魅力を感じるかを考え、それに基づいて聴衆に呼びかけている。
同氏は例として、テロ組織ヒズボラに関するWebサイトを挙げた。英語版とアラブ語版のサイトは、初めはまったく同じに見える。しかしよく見ると、テキストの置かれた場所が違っている。
これは政府への挑戦だとウェイマン氏。「彼らは単にアラブ語の基礎コースを通った人ではなく、テキストを深く読み込んで、メタファーを読解できる人々を必要としている」
子供をターゲットに
ウェイマン氏が「南米で最も凶暴な組織の1つ」と呼ぶコロンビアのテロ組織コロンビア革命軍(FARC)は、一見したところ農業関連のサイトに見えるトップページを設置している。
多くのテロリストのサイトは子供向けに作られていると同氏は言い添えた。ヒズボラのサイトには、ダウンロードできるゲームへのリンクが掲載されている。
「これらのゲームは子供にテロリストの役割を演じ、自爆テロを行ったり、実際に政治的リーダーを殺害する訓練をさせるものだ」(同氏)
ハマスのサイトにも、若年層の取り込みを目的としたマンガ風の記事などを置いた子供向けセクションがある。
もう1つの強力なリクルートツールは、大義のために死んだ人間の美化だ。ハマスのサイトでは、任務に殉じたテロリストのページや写真を、氏名と自爆作戦の遂行日とともに掲載している。
「これが勲章になるわけだ。これで自爆作戦を遂行したメンバーを美化し、新たなメンバーを勧誘する」(同氏)
ほかのテロリストのサイトでは、トニー・ブレア英首相やジョージ・W・ブッシュ米大統領が撃たれたり、棺桶に横たわっている改ざん写真を掲載している。このようなサイトにはたいてい、携帯電話から爆破装置を作る方法、爆弾の作成法、郵便で毒物を送る方法などが詳しく記されている。
閉鎖させない理由
米国政府がこのような危険な情報をサイバースペースにまき散らすサイトを閉鎖させないのはなぜだろうか?
ウェイマン氏によると、多くの観測筋は、米政府はこうしたサイトを監視しており、情報を「探り出す」ためにこれらのサイトを閉鎖させないでいるのだと考えている。さらに一部には、テロリストのサイトを閉鎖させることすら検閲になると懸念する声もある。
ウェイマン氏は第3の理由を挙げている。「誰であれ完全にこうしたサイトを遮断することはできない。彼らはいつでも復活できる」。同氏は、われわれはまだ真のサイバーテロ攻撃を経験したことがないと警鐘を鳴らした。
同氏はまた、テロリストがインターネットに精通しているのは皮肉なものだと考え、次のように話している。「まさに現代性を批判する人たちと米国がインターネットを活用している」
[IDG Japan]