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すでに存在した「物書き専用機」【IT_Pro記事】ちょっと前の記事です。モバイル関連。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/yajima/20040303/140824/
[2004/03/03]
2月27日に「物書き用専用機」が欲しいと書いた。「テキストエディタとインターネット・ブラウザ、メーラーだけが使え、モバイルカードがあらかじめ内蔵されている超軽量のノート機」である。すると読者からメールをいただいた。そこには,「そうしたコンセプトの製品はすでに存在している」という指摘が書かれていた。
以下,読者のメールを紹介する。谷島の感想を読者メールの中に書き込んだ。
●B5サイズ(多少厚くても可、モノクロ液晶でも可)
●軽量(1キロ未満)
●通信用カードを内蔵
●電源(できれば単三電池で稼働。無理か)
●ソフト(テキストエディタ、Webブラウザ、メーラーのみ。フル機能のワープロソフトはもちろん、表計算、プレゼンテーション用ソフトなどすべて不要、よってWindowsもひょっとして不要)
以上の仕様のマシンがご所望とのことですが、新たに何が欲しいか、よりも、今の何が不満か、を明確にする方が、ニーズのポイントがハッキリすると思います。
私の想像では、
・1kgオーバーでは、持ち歩いて電車の中や出先で使うのには重い。もっとぐっと軽く。
・電池切れの心配をしたくない。どうしても切れかけたらその辺のキオスクやコンビニで用を済ませたい。
・いまどき通信には不自由したくない。出来れば無線LAN、AirH"、DoPaが使い分けられればベスト。
・拡張性はそんなにいらない。CFなどのメモリカードが使えれば良い。
・重たいソフトで起動が遅くなったり、フリーズするのは困る。ウィルス対策に追われるものも御免。
・いわゆるPDAは文章書きには向かない。少なくともキーボードくらいはまともでないと困る。
・サイズについては、上記を満たせれば、あとはできるだけ小さく。
といったところではありませんか?
(谷島・まったくその通りである)
こうしたニーズに応えようという動きは以前からかなりありました。例えばNECが作っていた「モバイルギア」がその一つです。私はモバイルギアの開発にかかわっていました。
(谷島・そう言えば知り合いの記者は今でも記者会見の場でモバイルギアを出し,「これが一番」といってメモをとっている)
モバイルギアは,まだメールそのものが一般的でない時代、携帯電話でのメールも普及していない頃に「使える電子メール端末」を目指したものです。開発メンバーたちは本当に苦労して作りましたが、いくら頑張ってもなかなか売れず、別の製品に継承されるかたちで自然消滅してしまいました。
小さいからといって使う部材がノートパソコンとそう変わるわけではなく、小さい分、特殊なパーツがハードについてもソフトについても必要になり、その一方でサイズ、重さ、電池寿命の引き換えに機能が制限されたものにせざるを得ず、急激に価格の下がったノートパソコンとiモードで武装した携帯電話に挟殺される形でマーケットを失ったのです。(谷島・確かに携帯電話の影響は大きいのだろう。谷島は携帯もPDAも持っていないが、仕様を見る限り、PDAも携帯に吸収されてしまうのではないか)
残念ながらこの構図は今でも変わっておらず、一部のディレッタント、ハッキリ言えば取材記者や書き込みオタクなどが購入する以外は殆どニーズがありませんので、今後もご所望のものが作られることは無いと思います。そうでなくてもモバイルノートというのは苦難の連続で、最新のセントリーノも含めてコンスーマ向けに成功したものは一つも無いといってよい有様です。
(谷島・確かに記者以外に大量の文字入力をモバイル環境でする仕事はほかにないのかもしれない)
ちなみに、ご要望の仕様に最も近いと思われる、MC-MK32のスペックは、以下のページに紹介されています。
モバイルギアの関連情報1
モバイルギアの関連情報2
このほか、モバイルギアシリーズ全般については以下のページに載っています。
モバイルギアシリーズ
現在の技術をもってすれば、「物書き用専用機」を作ることはそれほど難しくはありません。パソコン向けの技術はこのニーズにあまり適さないのですが、携帯電話向けの技術を使えば消費電力を抑えた状態でかなりのことが出来るようになっています。Linuxベースのマシンにすれば、たぶんご要望の内容は全てクリアできるようなものが実現可能です。
しかしながら、そうしたものを作って商品にするには、あまりにも想定できるマーケットが小さくて、大手のキャリア辺りがその気になってプロデュースでもしない限りは、陽の目を見ることはないと思います。
(谷島・通常のメールであれば携帯電話で十分なのであろう。となるとキャリアは物書き専用機に力を入れないということになる)
パソコンの場合、ご存知のように開発に関する水平分業が物凄く進んでいますから、装置屋は、買ってきて組み立てて見かけを売れそうにすることに専念していればよいのですが、「物書き用専用機」のようなものの場合、ハードの開発もソフトの開発も全て自前でやらなければならず、そのコストは膨大なものになります。にもかかわらず、携帯電話のように売れるのであればともかく、マーケットは限られていますから、よほど道楽が許されるところでなければ、現実的に手が出せないというのが現状だと思います。
というわけで、ご所望のものを直ちに入手することは難しいと思います。部分的にでも実現するとすれば、できるだけ希望に近いサイズのモバイルノートパソコンにLinuxを載せ、適当なアプリケーションを入れて使う、というのはいかがでしょうか。
(谷島・しかし谷島がLinuxを扱えるとは思えない。中古のモバイルギアを探すほうがいいのかもしれない)
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