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クローズアップ2004:住基カード、普及進まず 国民そっぽ、自治体苦戦【毎日新聞】
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/kisei/news/20040704ddm003010097000c.html
◇「無駄なシステム」 巨額投資も前提崩れ−−発行枚数、目標の1割
「電子政府」を実現する切り札として鳴り物入りで登場した住民基本台帳カード(住基カード)の不振が続く。初年度の発行枚数は総務省の当初見込みの1割未満。各自治体はあの手この手で普及を目指すが、苦戦を強いられている。利用できるサービスが少なく、交付手数料もかかることから、国民にそっぽを向かれた形だ。巨額の費用がかかる住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)はカード普及が前提で、識者からは「無駄なシステムになりかねない」との指摘も出ている。【臺宏士、西田進一郎】
◇無料交付でも低迷
「03年度に3000枚を準備したが、見込み違いだった。大半は運転免許証を持たない人が身分証として利用しているだけのようだ。今後も爆発的に増加する要因はないし、それほど普及するとは思えない」
東京都小金井市の担当者はあきらめ顔だ。住基カードを希望する住民への交付では、大半の自治体が1枚500円の手数料を取っているが、小金井市では市議会が手数料を徴収する条例を否決したため、無料交付を余儀なくされている。それでも希望者は少なく、人口約11万人のうちわずか776枚(6月24日現在)。市は03年度に用意したカードが余っているため、04年度は新たなカード購入予算を組まなかった。
◇発行ゼロ枚の村も
長野県では、売木、根羽、清内路など5村で住基カードの発行は1枚もなかった。1枚だけという自治体も少なくなく、その場合も大半は「業務上の必要に迫られて担当の職員が取得した」(泰阜村)ケースだ。上村では、昨年8月のカード交付開始に合わせて用意したのはわずか6枚だったが、発行したのは職員1人と住民1人の計2枚だけ。各村の担当者は「電子自治体への住民の関心は低いようだ。住基ネットへの質問も来ない。今の行政サービスの水準で十分だと感じているのかもしれない」と口をそろえた。
発行枚数が全国で3番目に少ない鳥取県では、発行枚数ゼロの市町村はなかったが、2町村が1枚だけの発行で、全39市町村のうち30町村が1ケタの発行にとどまった。
◇1市で全国の1割
宮崎市の発行枚数は2万5004枚(3月末現在)。市民約30万人の約8%が所有している計算で、宮崎県全体(2万5983枚)の大半を占め、全国の発行枚数の1割にもなる突出ぶりだ。理由は、市が印鑑証明用カード所持者に対し、住基カードと無料で交換するという案内状を送ったことにある。カードに印鑑証明機能を付加するのは市独自のサービスで、狙いは当たった。市は「金も手間もかかるが、電子自治体を進めるための先行投資だ」と話した。
岩手県全体の7割以上を占める水沢市は、住基カードで印鑑証明書の交付、市立病院や公共施設の予約など8種類のサービスを受けられるようにしている。人口約6万人のうち3万人への交付が目標で、達成できれば職員の人件費削減につながるという。5月末で約5200枚にまでこぎつけ、普及率は8・7%と全国トップクラスだ。
◇電子政府、絵に描いた餅に?
住基カードについて、総務省は昨年12月、03年度の発行枚数見込みを約84万枚と修正し、自治体に対して1枚当たり1000円、総額8億4000万円を特別交付税として交付した。実際の発行枚数約25万枚との差額に当たる約5億9000万円を払い過ぎた形だ。交付税を担当する総務省財政課は「自治体には過払い分を返還する義務はないが、04年度分の特別交付税の算定の中で考慮することになるだろう」と話し、交付額の算定方法の見直しを示唆した。
住基カードは、構築費約400億円、年間運用費約200億円がかかる住基ネットの中心的機能を果たす。発行枚数が総務省の見通しを大幅に下回ったことは、今年1月に始まった「公的個人認証サービス」の普及にも影響を与えるとみられる。このサービスは電子政府・電子自治体の基盤で、住民がインターネットを利用して中央官庁や自治体に申請や届け出などを行う際、他人が本人になりすますのを防ぐためのシステム。住基カードに組み込まれた「電子証明書」をインターネットを通じて行政機関に提出し、本人かどうかが確認される。
電子証明書を組み込んでもらうには別の申請が必要で、発行手数料は1件500円(有効期限は3年間)。この額は、毎日新聞が入手した内部文書によると電子証明書の発行を04〜06年度の3年間に計1000万枚と見込み、このサービスにかかる年間運用費15億〜16億円を賄えるように設定していたものだ。しかし、目算は大きく外れそうだ。
政府のIT戦略本部は、人件費の圧縮など行政コストの削減を狙い、ネット上での申請や届け出などの各種行政手続きを拡大したいと考えているが、住基カードの普及が進まない中では、そうした政府の計画も絵に描いた餅になりかねない。
◆国民から拒否された証拠/民間なら社長は責任問われる
◇批判続々…
住基カードの普及が進んでいないことについて園田寿・甲南大法科大学院教授(情報法)は「国民から住基ネットが拒否された証拠だと思う。1枚のカードで何でもできる便利さよりもむしろ国民は悪用や漏えいへの不安を感じている。サービスが広がれば普及すると考えるのは誤りだ。政府は行財政改革といいながら無駄な事業を行っている。今からでも撤退すべきだ」と批判した。
住基ネットの選択制導入を目指している東京都杉並区の山田宏区長は「企業でこれほど見通しを誤ったら、社長は責任を問われる。住基ネットが国主導でつくられ、国民や自治体の要望に基づいていないことを如実に示している。まず総務省は、計画と現実がかけ離れていることを調査して公表すべきだ」と話した。
◇募る危機感
一方、総務省の住基ネット調査委員会委員として普及に努めてきた大山永昭・東京工業大教授(情報処理)は「5年間で5000万枚を普及させたいと思っていたが、すごく少なくて困った。住基カードが普及しないと、電子政府・電子自治体の仕組みが無駄になってしまう。政府は健康保険や年金などの証明書にも使えるようにする決断が必要だ」と危機感を募らせた。
毎日新聞 2004年7月4日 東京朝刊
住基カード:国民にそっぽ向かれ 各自治体は普及に苦戦【毎日新聞】
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/kisei/news/20040704k0000m040112000c.html
住基ネットの本格稼働に伴い、住基カードの交付を受ける住民=岩手県水沢市役所で、佐々木順一写す
「電子政府」を実現する切り札として鳴り物入りで登場した住民基本台帳カード(住基カード)の不振が続く。初年度の発行枚数は総務省の当初見込みの1割未満。各自治体はあの手この手で普及を目指すが、苦戦を強いられている。利用できるサービスが少なく、交付手数料もかかることから、国民にそっぽを向かれた形だ。巨額の費用がかかる住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)はカード普及が前提で、識者からは「無駄なシステムになりかねない」との指摘も出ている。【臺宏士、西田進一郎】
★無料でも低迷
「03年度に3000枚を準備したが、見込み違いだった。大半は運転免許証を持たない人が身分証として利用しているだけのようだ。今後も爆発的に増加する要因はないし、それほど普及するとは思えない」
東京都小金井市の担当者はあきらめ顔だ。住基カードを希望する住民への交付では、大半の自治体が1枚500円の手数料を取っているが、小金井市では市議会が手数料を徴収する条例を否決したため、無料での交付を余儀なくされている。それでも希望者は少なく、人口約11万人のうちわずか776枚(6月24日現在)。市は03年度に用意したカードが余っているため、04年度は新たなカード購入予算を組まなかった。
同じく無料交付の東京都国分寺市も、人口約11万人のうち発行枚数は185枚(5月末現在)。市は「手数料を徴収する条例は、カードの普及に水を差すだけだと考え、6月議会への提案は見送った」と話した。
★ゼロ枚の村も
長野県では、売木、根羽、清内路など5村で住基カードの発行は1枚もなかった。1枚だけという自治体も少なくなく、その場合も大半は「業務上の必要に迫られて担当の職員が取得した」(泰阜村)ケースだ。上村では、昨年8月のカード交付開始に合わせて用意したのはわずか6枚だったが、発行したのは職員1人と住民1人の計2枚だけ。各村の担当者は「電子自治体への住民の関心は低いようだ。住基ネットへの質問も来ない。今の行政サービスの水準で十分だと感じているのかもしれない」と口をそろえた。
発行枚数が全国で3番目に少なかった鳥取県では、発行枚数ゼロの市町村はなかったが、2町村が1枚だけの発行で、全39市町村のうち30町村が1ケタの発行枚数にとどまった。
★全国の1割占める
宮崎市の発行枚数は2万5004枚(3月末現在)。市民約30万人の約8%が所有している計算で、宮崎県全体(2万5983枚)の大半を占め、全国の発行枚数の1割にもなる突出ぶりだ。理由は、市が印鑑証明用カード所持者に対し、住基カードと無料で交換するという案内状を送ったことにある。カードに印鑑証明機能を付加するのは市独自のサービスで、市の狙いは当たった。市は「案内状の発送など金も手間もかかるが、電子自治体を進めるための先行投資だ」と話した。
岩手県水沢市は、住基カードで印鑑証明書の交付、市立病院や公共施設の予約など8種類のサービスを受けられるようにしている。人口約6万人のうち3万人への交付が目標で、これが達成できれば職員の人件費削減につながるという。5月末で約5200枚にまでこぎつけ、普及率は8.7%と全国トップクラスだ。
毎日新聞 2004年7月4日 3時00分
住基カード:「国民は拒否」と反対派 賛成派にも危機感【毎日新聞】
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/kisei/news/20040704k0000m040115000c.html
住基カードの普及が進んでいないことについて園田寿・甲南大法科大学院教授(情報法)は「国民から住基ネットが拒否された証拠だと思う。1枚のカードで何でもできることに国民は悪用や漏えいへの不安を感じている。サービスが広がれば普及すると考えるのは誤りだ。政府は行財政改革といいながら無駄な事業を行っている。今からでも撤退すべきだ」と批判した。
住基ネットの選択制導入を目指している東京都杉並区の山田宏区長は「企業でこれほど見通しを誤ったら社長は責任を問われる。住基ネットが国主導でつくられ、国民や自治体の要望に基づいていないことを如実に示している。まず総務省は計画と現実がかけ離れていることを調査して公表すべきだ」と話した。
一方、総務省の住基ネット調査委員会委員として普及に努めてきた大山永昭・東京工業大教授(情報処理)は「5年間で5000万枚を普及させたいと思っていたが、すごく少なくて困った。住基カードが普及しないと、電子政府・電子自治体の仕組みが無駄になってしまう。政府は健康保険や年金などの証明書にも使えるようにする決断が必要だ」と危機感を募らせた。
毎日新聞 2004年7月4日 3時00分
住基カード:発行枚数わずか25万枚 普及は計画倒れ【毎日新聞】
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/kisei/news/20040608ddlk32010661000c.html
昨年8月の住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の本格稼働に伴って交付が始まった住民基本台帳カード(住基カード)の初年度の発行枚数は全国で約25万枚で、普及率は0.2%にとどまったことが毎日新聞の調査で分かった。総務省が初年度分として当初見込んだ約300万枚の1割にも達していない。総務省は発行枚数を把握していないとしており、数字が明らかになったのは初めて。カード普及の低調ぶりに、総務省は計画の抜本的見直しを迫られそうだ。
調査は、各都道府県に今年3月末時点の市区町村によるカード発行枚数などを尋ねた。栃木と鳥取の両県は未集計、東京都は概数のみの回答だったため、各市区町村に直接聞いた。残る44道府県のうち8県では、集計時期が1月末〜5月末とばらつきがあったが、合算した。東京都の一部と石川県は、実際の発行枚数ではなく住民が発行を求めた申請枚数の集計だった。
47都道府県の枚数合計は25万819枚で、住民基本台帳登録者数(3月末時点)に対する普及率は0.198%。最も多かったのは東京都の4万80枚(普及率0.33%)で、宮崎県の2万5983枚(同2.21%)、神奈川県の1万9152枚(同0.22%)と続く。1万枚を超えたのは計7都道府県。宮崎県では宮崎市が無料でカードを発行し、数を伸ばした。最も少なかったのは高知県の418枚(同0.05%)。次いで山梨県の669枚(同0.08%)、鳥取県の737枚(同0.12%)。計6県が1000枚に満たなかった。
普及が進まない原因について、担当者は「利用可能なサービスが限られ、住民は大きなメリットを感じにくい」(群馬県)▽「住民に対するPR不足があった」(宮城県)などと回答した。
総務省は、本格稼働前の昨年7月に初年度の03年度で300万枚の発行予測を発表していたが、昨年末には84万枚に下方修正した。しかし、実際の発行数は、さらにその3分の1以下だった。
総務省は、住基ネットを電子政府・電子自治体の基盤と位置付け、そのサービスを受けるために欠かせない住基カードを、04〜06年度には500万枚ずつ計1500万枚の発行を予測していた。【西田進一郎】
総務省市町村課の話 発行枚数を予測するのは難しく、ある程度の開きはやむを得ない。カードの活用方法が広がっており、順次普及していくと考えている。初年度発行枚数については把握していないが、必要に応じて計画的に把握していく。
【住民基本台帳カード】IC(集積回路)チップを搭載したカードで、市区町村が希望する住民に交付し、大半は手数料500円。チップには住民票コード(番号)とパスワードが記録されている。引っ越し先の自治体にカードを提出すれば、前の自治体への転出届が不要となり、居住地以外の市区町村でも住民票の写しを取得できるなどのサービスが受けられる。市区町村は条例を定めれば、公共施設の利用予約や病院の診療予約、商店街のポイントサービス機能などを追加して独自の住民サービスを提供できる。
◆住基カードの発行枚数◆
発行枚数 普及率(%)
北海道 1万0075 0.18
青森県 2973 0.20
岩手県 6859 0.49
宮城県 3147 0.13
秋田県 1278 0.11
山形県 0889 0.07
福島県 2598 0.12
茨城県 4097 0.14
栃木県 1939 0.10
群馬県 2319 0.11
埼玉県 1万3795 0.20
千葉県 1万3928 0.23
東京都 4万0080 0.33
神奈川県1万9152 0.22
新潟県 1940 0.08
富山県 852 0.08
石川県 1688 0.14
福井県 1288 0.16
山梨県 669 0.08
長野県 3348 0.15
岐阜県 4162 0.20
静岡県 4023 0.11
愛知県 8939 0.13
三重県 2150 0.12
滋賀県 2147 0.16
京都府 4057 0.16
大阪府 1万6784 0.19
兵庫県 8873 0.16
奈良県 2073 0.14
和歌山県 1203 0.11
鳥取県 737 0.12
島根県 3987 0.53
岡山県 2073 0.11
広島県 4508 0.16
山口県 2346 0.15
徳島県 760 0.09
香川県 1734 0.17
愛媛県 1783 0.12
高知県 418 0.05
福岡県 7339 0.15
佐賀県 1230 0.14
長崎県 2460 0.16
熊本県 1992 0.11
大分県 2555 0.21
宮崎県 2万5983 2.21
鹿児島県 2170 0.12
沖縄県 1419 0.10
合計 25万0819 0.20
※発行枚数は▽富山、山梨1月31日▽新潟2月23日▽愛知同24日▽高知同29日▽大分5月1日▽愛媛同21日▽佐賀同31日現在で、他の39都道府県は3月31日現在。東京の一部と石川は申請枚数
毎日新聞 2004年7月4日 3時00分