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http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040514305.html
2004年5月6日 10:45am PT 2000枚以上のCDコレクションを携えて引っ越しをしたダン・コスターさんは、新居で音楽を聴いていて奇妙なことに気づいた。CDはいつも大切に取り扱っていたのに、きちんと再生できないものがあるのだ。
ノースカロライナ州のクイーンズ大学シャーロット校でウェブとグラフィックのデザイナーをしているコスターさんは、ひどく音が飛ぶ1枚を手にとって、照明に近づけてみた。
「ちょっとショックだった。まるで星座のように多数の小さな穴が空いていて、アルミニウム層を通して光が差し込んできた」
コスターさんのCDコレクションには、データ保持層が徐々に劣化する「CD劣化」が起きていたのだ。この現象がどの程度の割合で起きるのかはわかっていない。だがCD劣化のほかにも、DVDを含む光ディスクの耐用年数が当初考えられていたよりもずっと短いのではないかと思われる理由はいくつかある。
「1980年代にCDが登場したとき、非常に壊れにくいというふれこみだった。メーカー側も、CDが高価な理由として、その耐久性を挙げていた」とコスターさん。
しかしコスターさんが自分のCDコレクションをすべて調べてみると、15%から20%になんらかの劣化が見つかった。その大半は1980年代に製造されていた。
CDなどのディスクの試験を行なっている米メディア・サイエンシズ社(本社マサチューセッツ州マールボロ)のジェリー・ハートキー社長は、劣化の原因がメーカー側にある場合もあると話している。
再生装置からのレーザー光線を反射するアルミニウム層には、薄く樹脂が塗布され、その上にCDラベルが貼られている。この樹脂層の塗り方が適切でないと、そこから空気が侵入してアルミニウム層を酸化させ、鉄が錆びるのと同じようにアルミニウムが腐食してしまう。
だがハートキー社長は、持ち主による取り扱いの悪さが原因でディスクが読み取れなくなることの方が多いと見ている。
「こういったディスクを乱暴に扱ったり、積み重ねたり、互いに擦れるような状態に置いたりしておくと、ディスクを保護している薄い樹脂層に傷がつき、アルミニウム層が空気に触れてしまう」とハートキー社長。
問題の一因として、CDの裏面を傷つけてはいけないことは知っていても、ラベルの張ってある表面も大事だと知らない人が多いことが挙げられる。裏面の傷はかなり深くないと音飛びの原因にはならないが、表面の傷は簡単にアルミニウム層まで届く。表面にペンで何か書いたりすれば、アルミニウム層が傷つき、CDが読みとれなくなってしまうのだ。
コスターさんは、コンピューターでCDを複製して、録音された楽曲の「延命」を図ることにした。しかし残念ながら、複製したCD-Rがいつまで再生できるのかはわからない。
米国立標準技術研究所で情報技術を担当するフレッド・バイヤー氏は、米国議会図書館など政府機関の要請に応じて、書き込み可能なCDの耐用年数を調べている。
バイヤー氏によると、メーカーはこういったディスクの寿命を長いもので100年と謳っているが、試験基準が定まっていないため、メーカーの主張が本当かどうかを調べるのは非常に難しいという。状況をとりわけ困難にしているのは、ユーザーの知らないところでメーカーが頻繁に素材や製造法を変えていることだ。
「DVD-RやCD-Rを購入しても、それが実際にどんな製品なのか、わからない。半年前に買ったのと同じブランドの同じディスクを買ったとしても、その2つがまったく違う製品である可能性もある」とバイヤー氏。
これはつまり、できるだけ長持ちさせたいなら有名ブランドの製品を買うべし、という定番のアドバイスも、あまり当てにならないことを意味するとバイヤー氏は話す。
DVDは、データ層(一部のディスクは2層になっている)をプラスチック層で挟む構造になっているため、そのぶんCDよりも丈夫だ。しかし初期のDVDでは、この製造法が原因で問題が生じている。接着剤がはがれて、読み取れない部分が出てきてしまうのだ。
この問題は、DVDを固い留め具から無理にはずそうとしたときに起きやすい。ディスクが曲げられたときに、接着剤がはがれてしまうからだ。
書き換え可能なCDやDVDは、一度しか書き込めないディスクとは違って、長期保存には使えない。金属ではなく熱に敏感な素材を使っているために劣化がはるかに速いからだ。
寿命を最大限に延ばすには、ディスクは垂直に立てて保存し、手に取るときは縁だけを持つべきだ。ラベルは貼ってはいけない。CD-Rに字を書くときは、水性やアルコールインクの柔らかいペンだけを使う。
また、ワインと同じように、涼しくて乾燥した場所に保存することも大事だ。コスターさんの友人で、オレゴン州コーバリスに住むマーク・アイアンさんは、薪ストーブの熱が直接当たる棚にCDを置いていた。棚周辺の温度が数時間のうちに摂氏5度前後から20度以上にまで変動するのはいつものことだ。そのため、アイアンさんのCDコレクションには、データ層が虫に食われたように劣化しているものがある。
それでもアイアンさんは、CD技術に十分満足している。LPレコードやテープよりもずっと長持ちするからだ。室温の安定した部屋にCDを移してからは、劣化はそれほど進まなくなったとアイアンさんは感じている。
「新しい記録媒体が普及して、もう一度すべてを買い直せるようになるまで、何とか持ちこたえてほしい」とアイアンさんは話している。
[日本語版:鎌田真由子/高森郁哉]
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