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ロボット:本格的な家庭進出元年 各社が技術を標準化
ロボットの活躍ぶりが目立ってきた。二足歩行の人型ロボットはイベントに引っ張りだこ。今年は100万円を切る人型ロボットが発売され、家庭への本格的な進出元年になりそうだ。
工場で使われる産業用ロボットに対して、介護支援、警備など人間の代役をするロボットはパートナーロボットと称される。パートナーロボットの関連市場は25年に7・2兆円になるとの試算が出されたが、「夢のある技術」が現実的なビジネスに飛躍するためには課題も多い。
人型ロボットについては、ホンダが96年、自立二足歩行する「P2」の開発に世界で初めて成功した。現在は、認識機能を持つ同社の「アシモ」や、走ることができるソニーの「キュリオ」などが、イベントに貸し出されている。
人型ロボットは、人間に出会うと「いらっしゃい」と声をかけたり、内臓コンピューターにプログラムされた通りにオーケストラを指揮をして見せる。トヨタ自動車が愛知万博で本格デビューさせるロボットは、人工唇を備え、トランペットを吹くことができる。愛らしく「人間のまね」をするロボットは技術の進歩の象徴。企業は技術力をアピールするためにもロボットを活用してきた。
家庭向けに販売されてきたロボットは、99年にソニーが発売した犬型ロボット「アイボ」のようにペット用で登場した。今年は、ロボット開発専門のベンチャー企業「ZMP」(本社・東京都港区)が50万円程度で二足歩行ロボットを発売する。富士通「マロン1」はセキュリティー監視機能を持ち、分譲マンション用の住宅関連商品として販売されている。来年は三菱重工業も、お手伝いさんの機能を果たす生活支援ロボットを発売するなど、家庭の中でロボットを使うのがSFの世界の話ではなくなりつつある。
経済産業省内の私的勉強会「次世代ロボットビジョン懇談会」が4月にまとめた報告書が描く25年のロボット社会とはこんな形だ。仕事中の母親の携帯端末に突然、自宅の玄関が映し出される。来訪者を確認するため、玄関のドアが開くと、ロボットの目が認知した映像を自動的に通信機能を使って送る仕組みが作動したのだ。手元の携帯端末で遠隔操作ができるため、ロボットを通じて帰宅してきた子供に話しかけたり、けがの手当てもできる。
多くのメーカーが、ロボットに通信機能を持たせることで市場が広がると見ており、ソニー、三菱重工業、富士通の3社が5月、通信技術などを統一しロボットが同じ「指令」を理解できるようにしようと事業連合を設立し、実証実験を始める。サービスを提供する事業者やロボット用のソフト開発会社などからも参加を募っている。複数メーカーのロボットで共通のサービス提供を可能にして参入促進を狙う。利用サービスを見込んだロボット開発ができることにも期待が寄せられている。普及へ向けての標準化を試みる背景には、「ロボット開発の歴史は古いが、なかなかビジネスにつながっていない危機感がある」とあるメーカー幹部は明かす。
実用に適した家庭用ロボットにするためには、まだかなりのコストがかかりそうだ。三菱重工が来年に発売する生活支援ロボットは、100万円台を予定している。
また、通信機能を持たせることで、起こる問題も出てくる。コンピューターをインターネットに接続するのと同じように不正使用や情報漏えい、ウイルス感染を想定して対策を考える必要があるからだ。家庭用ロボットの大型化にあわせて事故の懸念もあり、業界団体で安全基準の策定が必要な時期に来ている。
毎日新聞 2004年4月10日 2時16分