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Swaroopa Iyengar
インド、ムンバイ発――今年の『世界社会フォーラム』では13の言語が話されている。それなのに、おおかたの場合は相手の言っていることが理解できるというから驚きだ。
開催地をインドに移したことで、今回の世界社会フォーラムには従来にもましてアジアから多くの団体が参加し、ブラジルで開催された過去3回とは違った様相を呈している。しかも、インドには14の公用語がある。これはつまり、世界社会フォーラムの運営担当者が何十万ドルという費用を投じて高価な通訳システムを用意しなければ、海外からの参加者はもちろんのこと、インド国内の参加者どうしでさえ、お互いの意思疎通ができないということを意味する。
これまでのフォーラムでは、英語、フランス語、スペイン語の通訳サービスが参加者向けに提供されていた。今年はこの3言語に加え、韓国語、日本語、インドネシア語、タイ語のほか、インドの公用語であるヒンドゥー語、マラーティー語、タミル語、テルグ語、ベンガル語、マラヤーラム語の通訳も用意されている。しかしこれだけの多言語環境でも、通訳を提供するのにかかるコストは最小限に抑えられているという。
実際の通訳作業は、ボランティア通訳者の国際的ネットワーク『バベルズ』が、リナックスをベースに新たに作られたオープンソースのソフトウェアを使って行なっている。このソフトウェアは中程度の性能のコンピューター上でも動くので、通訳専用の高速コンピューターやコンソール、ミキシング装置にかかる高いコストの削減が可能になった。
通訳者は、コンピューター画面上のインターフェースを使って、話されている言語を選択する。デジタル化され送られてきた発言者の声を通訳者が聞き、訳した言葉をインターフェースを通じて聴衆に送ると、ヘッドフォンから翻訳が聞こえてくるという仕組みだ。
この通訳ソフトウェアを作った『ノマド』プロジェクトの一員であるソフィー・ゴセリン氏は次のように語る。「われわれにとって、このように革新的でフリーな共有形態をここまで大規模に実施したのは、今回が初めてのケースだ。しかも、会議での講演も通訳された内容も、すべてわれわれのコンピューターを通って処理されているので、全部をアーカイブ化することも可能になるだろう。これを世界社会フォーラムのサイトにアップして、今回参加できなかった人とも共有できるし、何十万という人にフォーラムでの討論を聞いてもらえるようになる」
さらに、今回のフォーラムでは、FM電波を使ってインド国内の様々な言葉での通訳を流すことによって、会場の各座席に受信機を取り付ける費用を浮かすことにも成功した。FMラジオは会場で100ルピー[約230円]で販売されている。
「できる限りコストを低く抑えつつ、参加者に英語を押しつけないことが、われわれの主な目標だ」とゴセリン氏は語る。「このイベントは自分たちのものだという感覚を、参加者全員に持ってもらいたいと思っている。たとえば、韓国からの参加者に事前に連絡を取り、通訳サービスが必要かと尋ねたところ、非常に驚かれた。韓国の人たちは、こういう場面では自分たちの言語がマイナー扱いされることに慣れきっていたからだ。だが今回は、自分たちも大切な会議の一員だと感じられたために、韓国からの参加者がいつもより多くなっている」
しかし、すべてが全く順調に進んでいるわけではない。フォーラムでは、通訳者たちが技術的なトラブルやインフラ上の問題に悩まされることもたびたびで、そのため、多くの代表団が、自分たちが話す言葉で行なわれているパネル・ディスカッションにしか参加できないという事態に至った。
フランスから来た通訳のアンドレ・グロッソさんは、「うまく機能すれば素晴らしいと思う」と感想を述べている。「この技術はとても民主的だ。さまざまな政治的思惑にも関係がなく、オープンソースな点で、このフォーラムの哲学にも沿っている。それに、とても経済的だ」
[2004年1月20日 2:00am PT ](日本語版:藤原聡美/長谷 睦)
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20040123205.html