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(回答先: 日本人の品性の一端が透けて見えるよう、、。単なるスポーツネタですが、興味深くウォッチングしてます。(本文なし) 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 3 月 16 日 06:28:20)
「もう、やんなっちゃったよ。朝日新聞、やめたくなっちゃった。」電話の向こうで、ため息をついているのが聞こえます。
仕事を手伝っていただいているSさんからの訴えです。『朝日新聞』はどうなっちゃんたんだ。もっと他に、報ずべき重要なニュースがたくさんあるだろうに、と……。
そう言われて、改めて1面を見直しました。トップには大きな写真が出ていて、「高橋、アテネ届かず」という見出しです。
1面下の「天声人語」を見たら、「マラソン発祥の地を駆けるQちゃんの姿を思い浮かべるのは楽しいことだった」とあります。二面の「社説」を見たら、「Qちゃんは無念だろうが」という見出しです。
3面にもあります。「実績より選考会成績 日本陸連 高橋外す」という記事です。おまけに、「枠増えないの」という小泉首相の感想まで出ています。
社会面には、「悔しさしまい『納得』 高橋アテネ届かず」と、これも大きな写真入りです。対抗社会面には「あこがれの舞台 メダル争いたい」と、こちらは選ばれた3人の記事が出ています。
これらの紙面は、普通であればスポーツ記事が出ないような場所です。当然、スポーツ欄にも出ています、「メダル狙える布陣 アテネ五輪マラソン代表」と……。
何ですか、これは……。改めてめくってみて、「これはひどい」と思いました。これでは、私も『朝日新聞』をとるのがいやになってしまいます。
でも、「Qちゃん、五輪代表へ」と大誤報をやらかした昨日の『読売新聞』夕刊よりは、まだましかもしれません。それにしても、朝日も読売も、どうしちゃったんでしょうか。
そういえば、昨日の夕方、NHKテレビも番組の途中で高橋選手の記者会見に切りかえてしまいましたっけ。7時からのニュースも、時間の半分はこれに割かれていました。新聞もテレビも、日本のマスコミはどうしちゃったんでしょうか。
高橋選手がアテネ・オリンピックの女子マラソン代表に選ばれなかったからといって、どうしてこんなに騒ぐのでしょう。私には、全く理解できません。それどころか大きな違和感を感じます。
だってそうでしょう。日本陸連の代表選考結果が間違いだとでも言いたいのでしょうか。成績を無視して、高橋さんの実績を買うべきだったというのでしょうか。
『朝日新聞』の論調はそうではありません。「社説」でもそんなことは書いていませんし、スポーツ面では「メダル狙える布陣」と評価しています。
それなら、何が問題なのでしょう。こんなに大騒ぎする理由は、一体どこにあるのでしょうか。
色んな面で書きすぎたものですから、同じ見出しが出てしまったというチョンボまであります。1面の見出し「高橋、アテネ届かず」と社会面の見出し「高橋アテネ届かず」です。
新聞の紙面は限られています。どのような記事をどれくらいのスペースで、どれほど掲載するかは、その新聞の「哲学」を示すものです。今日の『朝日新聞』には、そのような「哲学」も見識も、新聞人としての矜持も、全く感じられません。ただただ、高橋選手の人気とその去就を気にする大衆の気分へのおもねりがあるだけです。
これを、「売らんかな」という商業主義に屈服した醜い姿であるというのは、言い過ぎでしょうか。少なくとも新聞には、いや、クオリティ・ペーパーとして知られてきた『朝日新聞』には、このような姿をさらして欲しくはありませんでした。
これは、大衆の気分への迎合です。朝日新聞社もまた、日本人の「判官びいき」からは自由でなかったということでしょうか。
もし、高橋選手が代表に選ばれていたら、これほど大騒ぎをしたでしょうか。1面、2面、3面、19面、38面、39面と、これだけの紙面を割き、しかも、「天声人語」と「社説」で取り上げたでしょうか。
そうなったのは、高橋さんがオリンピックの代表に選ばれたからではなく、選ばれなかったからでしょう。そちらの方がニュース価値があると判断されたのでしょうが、同時に、やはりそこには日本人に共通して流れている「判官びいき」の心情はなかったでしょうか。少なくとも、それは計算されていたように思われます。
今日の『朝日新聞』は、ぜひ、保存しておくべきでしょう。日本を代表するクオリティ・ペーパーが、突然、スポーツ新聞に変身してしまった記念として……。
そして、商業主義に膝を屈して人気目当ての紙面構成に堕し、新聞人としての誇りや矜持を投げ捨ててしまった証拠として……。
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm