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(回答先: Re:夏目漱石と家庭教師 投稿者 リーマン 日時 2004 年 1 月 31 日 01:39:50)
リーマンさんこんにちは。
夏目漱石が明治朝成立事情を知っていたか否かというのは、問題提起としてはセンセーショナルな気が致しますが、よく考えればこの人は江戸っ子なので、明治朝全般に対してどこか、ふっ覚めたとでもいうのか、白々しい感じを持っていたりもしたのではないでしょうか。といってそういえば封建主義懐古みたいに捉えられる、が、だからといって今がいいとも思えない…。世間に逆らうとはとかく難儀だというのは、日本的なあり方全般に対しての彼の捉え方だ、と、つまり普遍化されているように見受けられますが、意外と、確信的な問題は常に極めて現実的だったのではないかなどとも捉えられるよう愚考致します。
さてピュロンですが、哲学史的にいった時の懐疑主義の創始者ということだと思います。ある行動よりも他の行動を取るいかなる合理的な根拠もないとかなんとか、そんなことです。どうでもいいことですが、紀元前3〜4世紀のギリシャでのお話です。
だから、芥川は、僕は懐疑主義を託つ、それでいいのだ、と書いてもいいだろうに、そこにピュロンを持って来たのは、わかる人にだけわかればいいということだったとも言えそうですし、「懐疑主義」と書くのがイヤだったからかもしれません。
いろいろと思い起こせば、漱石が芥川を買っていたのは、単に文学的な素養云々という問題だけでなく、実際にはこのへんの鉱脈を嗅ぎ得る能力に驚嘆したからなのではないでしょうか。芥川は留学派だったわけではないのにもかかわらず、です。