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http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040813i501.htm
大人向けの「勉強本」が売れている。それも、知識を増やすものではなく、内容は単純な計算や漢字の書き取り、といったドリル問題だ。買っていくのは中高年以上の幅広い世代。出版社が「けた違いの売れ方」と驚く、ミリオンセラーまで生まれている。
“大人の勉強本”ブームの火付け役となったのは、昨年末に、くもん出版が発売した「脳を鍛える大人のドリル」。計算編と音読編の2種類があり、これまでに合わせて148万部も売った。これに「脳力を鍛える音読練習帳」(宝島社)や「脳を鍛えるわくわくドリル」(ゴマブックス)などが続き、出版業界が不調の中にあって、後発組でも多いものは10万部以上売れている。
内容はというと、「大人のドリル計算編」は小学校低学年レベルの簡単な計算。「音読編」は夏目漱石の「坊っちゃん」など日本文学の冒頭部分十数行の朗読と漢字の書き取りが、それぞれ60日分出題されているだけのシンプルなもの。
「大人のドリル」の著者、川島隆太東北大教授(脳科学)は「簡単なドリルを繰り返し解くことが、脳の中でも高度な働きをする前頭前野を活性化することが確かめられている」と話す。川島教授らが福岡県の介護老人施設で行った研究で、ごく簡単なドリル問題を続けたお年寄りは、会話などコミュニケーション能力が回復し、トイレに行くなどの身辺自立機能も改善が確認されたという。
こういった効果が口コミや雑誌などの記事で広まり、“脳のエクササイズブーム”とも言える爆発的な売れ行きとなった。大人のドリル帳は高齢者を意識して大きな活字にするなどしているが、大手書店によれば、買っていくのは必ずしも高齢者だけでなく、30―40代など、“老いの兆し”を感じ始める世代にも幅広く売れている。
今回のブームについて教育評論家で法政大教授の尾木直樹さん(57)は「痴呆(ちほう)になることに危機感を感じる高齢者だけでなく、体とともに脳も若く保ちたいという中高年の心をとらえた。子どもの学力低下が心配される一方で、中高年以上の世代は今も学習意欲が強い」と分析する。出版社には「自分でも驚くほどのめり込む。楽しい」(60代男性)などの意見が寄せられている。
ドリルを使って、高齢者の健康維持に取り組む自治体も現れた。東京・品川区が、先月開講した「いきいき脳の健康教室」と題する勉強会には、抽選で選ばれた70代を中心に男女30人が参加。週1回、会場に通う一方、自宅では3か月間毎日、ドリルに取り組み、脳の働きに変化が現れるか確かめるという。
(2004/8/13/03:07 読売新聞 無断転載禁止)