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事故などで脊髄(せきずい)を損傷した日本人患者9人が、治療のため中国の病院で中絶胎児から採取した細胞の移植を実際に受け、6人が治療を予約していることが、現地の関係者や患者団体「日本せきずい基金」の調査で21日わかった。
国内では治療の手立てがなく、患者は一縷(いちる)の望みをかけて渡航しているが、有効性や安全性が確立したとの評価はなく、日本人の相次ぐ渡航に懸念の声も出ている。
治療を行っているのは、北京の首都医科大学病院の医師。中絶胎児の鼻の粘膜細胞を採取し、培養後に患者の損傷部付近に注射で移植する。細胞移植によって、切断された脊髄の神経細胞の再生が促されるらしく、これまで動かなかった腕や足に感覚が戻り、自力で動かすことができるようになる、という。
関係者によれば、2001年秋から三百数十人の中国人に移植を実施。風評を聞きつけた米国人や日本人ら計数十人も治療したとされる。今年2月に日本人として初めて細胞移植を受けた愛知県の男性は、約1か月の滞在で2万ドル(約216万円)かかったが、明らかな効果は出ていない。
治療成果について、医師は論文の形ではほとんど報告していない。同基金の照会に対し治療チームは、これまで患者3人が死亡、移植後の数週間―数か月、ほとんどの患者が異常な痛みを感じると回答したが、原因はわかっていない。
神経再生に詳しい日本人研究者は「有効性も安全性も確立されたとはいえない」と指摘する。同基金の大浜真・理事長は「治療の手立てのない脊髄損傷の実情は知ってほしいが、患者団体としては現段階では推奨できない」としている。
◆生命倫理と治療、論議不足◆
中絶胎児の細胞移植を受けるため、日本人患者が次々に中国へ渡航している実態が明らかになってきた。
国内では、日本産科婦人科学会が研究目的の使用だけは容認しているが、治療での基準はなく、厚生労働省の専門委員会で指針作りが進んでいる。
胎児の細胞は未分化で神経細胞などに育つ能力を持つ。脊髄損傷やパーキンソン病など手立てのない難病の再生医療に応用できる。一方、細胞の入手には中絶という微妙な問題があるうえ、医療資源として使うことに「胎児の尊厳が損なわれる」との批判も根強い。
人体の一部が、難病治療の期待と倫理的問題とで板挟みとなる例は、中絶胎児細胞だけではない。受精卵を壊して作る胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や、卵子を材料に作り、拒絶反応のない移植医療の期待があるクローン胚など、最近、同時進行的に問題が噴出している。
クローン胚の作製は、総合科学技術会議・生命倫理専門調査会で「容認」と決まったが、慎重派から議論不足との批判も相次いだ。厚労省専門委では中絶胎児の細胞利用も認める方針が出たが、中国渡航の実態調査すらしておらず明らかに論議不足だ。
個別に問題を検討するのではなく、先端医療と生命倫理の関係を日本でどうとらえるか、広い視野で検討することが求められる。(科学部 木村 達矢)
[7月22日3時3分更新]
<参照投稿>シジミさん:@ 中絶胎児、「一般ごみ」で廃棄 横浜の医院、手足は切断(朝日新聞)―胎児の手足を元職員が「いずれ世に問うときが来る」と保存
シジミさん:A 中絶胎児、全国で実態調査へ 厚労相が方針 (朝日新聞)