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今午前11時、診療中である。まだ4人しか患者がこない。3割負担になってから本当に患者が減った。世間では患者が平均1割は減ったという。患者からみればデフレの世の中、値段が1.5倍になったので無理もない。それ以上に、中小自営業経営者・勤労者が多忙で受診できない。また、リストラの世の中、診療時間内に受診の時間がとれないのかもしれない。それでも、黄疸を来した40代男性の肝硬変が週何回か点滴に来ていた。仕事のせいで入院できないとの事。彼はいつしか来なくなった。リストラされたと後日聞いた。
当院も夜間や休日外来も検討したが、光熱費・努力・宣伝費などに見合う増患の見込みもなく、職員の労働基準法上の届け出の整合性、煩雑さ、医師会との付き合いなども考えて様子をみている。夜間・休日あけてても患者が来ない時のみじめさは経験してみないとわからないだろう。
先ほど糖尿病のおばあちゃんが受診した。6月1日の採血の結果、やや悪化していた。決して安定しているわけではないが、金銭的な理由で月1回のみ受診になった。ほぼ一ヶ月分体のあちこちの愁訴をまとめて訴える。孤独で話をしたいのかもしれない。それでいて、処方を追加しようとすると、しないでくれという。財布が心配なのだろう。糖尿病の悪化が心配なので採血しようと思った。が、月2度目の採血は「持ち出し」になるので、やめた。(注:「持ち出し」とは、、、、。我々は診療報酬を患者から3割・社会保険庁(以後S)や国保連合会(以後K)から7割いただく。SやKが認めなければ7割が支払われない。ほとんど逆ザヤになり、「診療行為を行うほど損をする」)。
医療は聖職と言われる。だが、経営を持ちこたえさせなければならない。知らず知らずの間、近所の開業医が銀行の管理化におかれているという噂も聞く。そうなれば、もはや銀行の集金システムまで身をやつさねばならない。
やむを得ず採血しない事にした。またも、SやKに負けた事がくやしい、空しい。だが、異議を唱えると目を付けられ、逆にSやKは診療報酬請求をますます削ってくる。こんな事を反復していると、いつしか感情が麻痺して、当たり前で当然だと思う日がくるのかもしれない(徐々にそうなってる気がする)。こうして、結局医師はSやKのあやつり人形にされて行くのだ。
そのおばあちゃんの採血は一ヶ月後になる。
「具合悪ければ、くすり残ってても来なさいね。」
と、言って送り出した。でも、多分、また、がまんして受診は一ヶ月後だろう。