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岡山大大学院医歯学総合研究科の松尾俊彦助教授(眼科学)は、弱い光でも網膜を刺激する「光電変換色素」を使った人工網膜の試作品を完成した。実用化されれば、遺伝などで起こる「網膜色素変性症」の治療につながる。今後、動物実験を行い、早ければ2年後の臨床試験を目指す。
光電変換色素の分子を林原生物化学研究所(岡山市下石井1丁目)が提供、同大工学部の島村薫教授との共同研究で人工網膜のフィルムを作製した。
さまざまな疾患で光を感じる視細胞が死滅しても、人工網膜を使って、網膜に残るほかの神経細胞を刺激すれば、ある程度の視力が得られる可能性が高く、現在アメリカやドイツなどでは人工網膜の開発が進んでいる。
しかし、臨床試験が行われている光ダイオードなどを使用した人工網膜は、太陽光程度の強い光がなければ、網膜を刺激できないという問題を抱えている。
松尾助教授らが開発中の人工網膜は、ビニール袋などに使われているポリエチレンを加工し、光電変換色素と呼ばれる分子を付けたもので、室内などの弱い光にも反応し、網膜を刺激するのが特徴。
これまでに行われた実験では、視細胞がまだできていない鶏の胚(授精12日目)の網膜に人工網膜を張り、光を当てたところ、網膜神経細胞内のカルシウムイオンが上昇し、刺激を受けたことが確認できた。
来月にも、視細胞のないラットで実験し、ポリエチレンが体内で分解されないかなど、安全性や機能性を確かめる。
人工網膜を必要とするのは、全国に約10万人いるとされる網膜色素変性症の患者など。この病気は次第に視界が狭くなり、70歳代くらいになると全く見えなくなる場合もあるという。
現状では視細胞が死滅すると、再生、移植のほかに治療法がなく、日本網膜色素変性症協会の奥村俊通岡山県支部長は「岡山でこのような開発が進んでいるのは画期的。視力を失った人にとっては朗報で、実現すればありがたい」と話している。
実用化に向けて、治験や製造、厚労省への申請などを行う企業探しが今後の課題の一つとなっており、松尾助教授は「実用化への踏むべき手順を踏んで少しでも患者の目が見えるようにしていきたい」と話している。
写真=松尾助教授らが開発中の人工網膜。ポリエチレンでできたフィルムに光電変換色素をつけている
http://www.okanichi.co.jp/okayama/2004tokupic/momaku06.jpg
- 岡山日日新聞掲載 04/06/18 -