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http://www.asahi.com/health/medical/TKY200406060195.html
厚生労働省が指定する全国87の「地域がん診療拠点病院」で、常勤の放射線治療医や、採取した組織のがん化を判断する病理の専門医がいない病院が1割前後もあることが、朝日新聞社のアンケートで分かった。医師の技量に影響する医師1人あたりの手術件数は、回答した73病院で最大32倍の開きがあった。厚労省は「日本に多いがんの患者ならば、近くの病院で治療が受けられる」ことを目標に掲げているが、実態は病院間に極めて大きな格差がある。
アンケートは5月、全国87のがん拠点病院すべてに郵送し、73病院(84%)から回答があった。
がん拠点病院の基準に関する厚労省の指針は、放射線治療医や病理医の配置を求めているが、放射線治療医は10病院(14%)で、病理医は6病院(8%)で、常勤専門医がおらず、大学病院などからの出張に頼っていた。「配置が望ましい」とされている、がん専門看護師がいない病院は41(56%)に上った。
格差は設備面でも大きい。指針では、終末期患者の痛みを和らげる緩和医療を提供することを求めているが、緩和ケア病棟を設けていない病院が6割近い43。「設置が望ましい」とされている集中治療室は11病院になく、放射線治療施設がない病院も4あった。がんの早期発見に有用とされる陽電子放射断層撮影(PET)装置を備えた病院は6しかなかった。
日本に多い5大がん(肺、胃、肝、大腸、乳がん)について、専門医1人当たりの昨年の手術件数を尋ねたところ、最も多い病院では平均96件に達したが、少ない病院はわずか3件で32倍も開きがあった。がんの種類別で、1人当たり手術件数が昨年10例に満たなかった病院は、肺で17、胃で10、肝で40、大腸で10、乳がんで8あった。
患者にとっては各病院がどんな治療成績を上げているかが最大の関心事だが、その目安となる5年生存率(手術から5年後に存命している割合)をインターネット上で五つのがんすべてで公表している病院は10、一部のがんについて公表している病院は16にとどまり、3分の2近くが全く公表していなかった。
未公表の理由では「準備不足」が多かったが、5年生存率などを算出する前提となる「院内がん登録システム」が未整備の病院も8あった。
こうした拠点病院間の格差について、厚労省生活習慣病対策室は「ばらつきはあるが、どの病院も指定の要件は満たしている」としている。
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●インターネットで肺、胃、肝、大腸、乳がんの5年生存率をすべて公表している病院
埼玉県立がんセンター、武蔵野赤十字病院、日本医科大付属多摩永山病院、静岡県立総合病院、愛知県がんセンター、大阪府立成人病センター、鳥取県立厚生病院、高知中央病院、国立病院機構九州がんセンター、麻生飯塚病院
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〈地域がん診療拠点病院〉 日本に多い5大がんの患者ならば、大学病院などに行かなくても手術や治療を受けられることを目指し、01年から始まった制度。緩和医療の提供や、大学病院や地域の医療機関との連携・協力関係などを条件に、知事の推薦をもとに厚労相が指定する。補助金は上限200万円。
今年度からの「第3次対がん10カ年総合戦略」では、日常的な行動圏である2次医療圏(369カ所)に1カ所程度を目安に整備を進めるとし、06年までに目標達成を目指しているが、04年5月末現在、87病院にとどまっている。 (2004/06/07)