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2004.5.14
マーガリンやショートニング、油で揚げたスナック菓子などに含まれている「トランス脂肪酸」は、とり過ぎると心臓病を増やす恐れがあるとして、2004年1月から米国で食品への表示が義務付けられている。ところがさらにもう一つ、気掛かりな研究結果が最近発表された。「トランス脂肪酸をたくさんとるお年寄りは、ぼけやすい」というものだ。
これは、米国シカゴ近郊に住む65歳以上の住民8500人を、長期間追跡した「CHAP」(Chicago Health and Aging Projects)研究の結果。米国神経学会が発行する学術誌、Neurology誌5月11日号で発表された。
トランス脂肪酸は天然にもわずかに存在するが、私たちが口にするトランス脂肪酸のほとんどは、マーガリンなどのように人工的に作ったものだ。
植物油は室温では液状だが、これに水素を添加してトランス脂肪酸に変えると、バターやラードなどの動物油のように固形になる。
揚げ物に使う植物油も、精製する過程で高い熱を加えるため、一部はトランス脂肪酸に変化する。
油脂には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があり、飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やすが、不飽和脂肪酸にはそのような作用がない。
一般には、飽和脂肪酸は悪玉で、不飽和脂肪酸は善玉とされている。
トランス脂肪酸は善玉とされている不飽和脂肪酸の一種だ。ところが最近になって、トランス脂肪酸はまるで飽和脂肪酸のように、悪玉コレステロールを増やすことがわかり、健康への悪影響が心配されている。
米国Rush健康加齢研究所のM. C. Morris氏らは、動物実験や、数百人を追跡した疫学調査で、トランス脂肪酸が認知機能を下げる恐れがあると報告されていることに着目。
より多くの人を追跡した「CHAP」研究のデータを使い、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取量と認知機能との関係を調べた。
分析の対象は、1.認知機能検査を初年度、3年目、6年目の3回受けている、2.この間に、心臓病などの重大な病気にかかっていない、3.食生活データが揃っている−−の三つの条件を満たした2560人のお年寄り(平均74歳)。
年齢や性別、人種、喫煙の有無や飲酒量、1日の摂取カロリー、食事やサプリメントからの抗酸化ビタミンの摂取量など、認知機能に影響を与えるかもしれない要素で補正した上で、評価を行った。
すると、トランス脂肪酸をたくさんとっている人ほど、認知機能が早く低下することが判明した。
飽和脂肪酸でも同様に、たくさんとっている人ほど認知機能が早く落ちた。
一方、「とっている油脂が植物性か動物性か」や、「油脂に含まれるコレステロール量」は、認知機能の低下スピードと特に関係はなかった。
トランス脂肪酸や飽和脂肪酸をたくさんとる人では、「血中に悪玉コレステロールが増えるため、心臓だけでなく脳の動脈硬化も進み、認知機能が早く落ちやすくなるのでは」と研究グループはみている。
体も頭も元気で、長生きするためには、悪玉の脂肪である飽和脂肪酸だけでなく、トランス脂肪酸にも注意した方がいいのかもしれない。
この論文のタイトルは、「Dietary fat intake and 6-year cognitive change in an older biracial community population」。アブストラクトは、こちらまで。米国で行われた、食品へのトランス脂肪酸含量表示義務付けについては、米国食品医薬品局(FDA)のサイト「Trans Fat Now Listed With Saturated Fat and Cholesterol on the Nutrition Facts Label」に詳しい情報が載っている。(内山郁子)