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2004.4.16
子供時代に虐待を受けた被害者は飲酒や薬物摂取、肥満など不健康な生活習慣に陥る率が高い。約700人の中高年女性を対象とした米国での後ろ向きコホート調査から、少女時代に虐待を受けた被害者は、喫煙者になるリスクが1.4倍と有意に高まることが明らかになった。特に性的虐待を受けた被害者では、虐待なしの場合に比べて2.2倍、物理的暴力と性的虐待の両方を体験した被害者では実に3.5倍も喫煙者が多く、暗い体験がその後の健康的な生活に大きなダメージを与えるようだ。米Brigham and Women病院疫学センターのH Nichols氏らの研究で、研究結果は、英Journal of Epidemiology and Community Health誌2004年5月号に掲載された。
本論文の研究は、36〜45歳の女性6228人を対象とした大うつ病と卵巣機能についての大規模コホート研究「The Harvard study of mood and cycles」のサブスタディのひとつとして実施された。1999年にこのコホートの907人に参加を呼びかけ、同意が得られ、排除規定に該当しない684人を分析対象とした。
虐待は身体的虐待と性的虐待について、11歳以下で受けた場合を分析対象とした。684人中、179人(26%)が虐待を受けた経験があり、119人(17%)が身体的虐待だけ、40人(6%)が性的虐待だけ、20人(3%)が身体的虐待と性的虐待の両方を受けていた。また、15人(2%)は虐待の怖れを感じたことがあった。
分析の結果、虐待を受けたことがない女性に対して虐待を経験した女性では宗教、社会的階級、貧困について調整しても、喫煙者になるリスクが1.4倍と有意に高かった。身体的虐待の経験者では有意差がみられなかったが、性的虐待を受けていた場合は、2.2倍、身体的虐待と性的虐待の両方を受けた女性では3.5倍も喫煙者が多く、どちらも有意差があった。
本研究は自己申告による後ろ向き調査であるため、虐待の事実、特に性的虐待について過少に見積もっている可能性があるという。著者は、虐待被害者における禁煙支援と、禁煙キャンペーンにおいて虐待の影響を認知する必要性を協調している。
本論文の原題は、「Childhood abuse and risk of smoking onset」。全文をこちらで読める(pdfファイル)。(中沢真也)