現在地 HOME > 掲示板 > 不安と不健康8 > 365.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
全国の病院のうち、四つに一つが医療法で定められた医師数の基準を下回り、医師不足に陥っている。中でも、北海道や東北では約半数の病院で基準を満たしていない。医師の数は増えているが、過疎地などでの勤務を望まない傾向が依然としてある。医師の偏在は深刻な状況だ。
医師不足は、今月から始まった新人医師に対する臨床研修の必修化の余波を受け、厳しさを増している。これまでは大学病院が研修医を安い賃金で使ってきたが、病床数により研修医の受け入れ数が制限されるため、大学病院などでは検査などの診療を下支えする研修医が減ってしまった。このため大学の関連病院から医師を引き揚げる、いわゆる「医師はがし」が起きている。
厚生労働省の「医師の受給に関する検討会」が98年にまとめた報告書は、医師数が2017年には過剰になると予測している。国内全体でみると医師数は増えているが、病院や病床数が多すぎることや、都市部に集中する傾向が医師不足の要因になっている。
医師の名義貸しが大学病院の3分の2で行われていたことが文部科学省の調査で分かったが、この背景には医師偏在の問題が横たわっている。大学病院の医局に自治体が研究費などを支援し、見返りに医師を派遣してもらっているのも現実だ。
厚労、総務、文科省は昨年冬、地域医療連絡会議を設置し都道府県単位で医師会や中核病院、医大などによる協議会を作り、医師確保策を話し合うことなど、具体的な取り組みを決めた。対応策を早急に作り、実行に移すべきだ。
国公立大学の医学部に地元枠を設け、地元への定着を図ろうとする案は十分検討に値する。すでに福島県立医大で導入され、今春7人が入学した。「受験機会の均等が失われる」「就職の自由を奪う」などの指摘もあるが、国立大学でも前向きに検討すべきだ。大学卒業後に地元で勤務する医師には奨学金の返済を免除する制度なども考えられる。
へき地勤務を嫌がる理由はさまざまだ。専門医志向が強く、研修機会が乏しい過疎地より大学病院や都市での勤務を希望する若い医師が多いこと、地域の小さな医療機関だと医師の精神的、肉体的な負担が大きく、子供の教育上の不安などもある。
過疎地に勤務する医師の報酬を上げれば医師不足が解消するというほど単純ではない。
医師育成のあり方も根本から見直す必要がある。都会で開業を希望する医師ばかりでは、偏在の問題は解消しない。専門医が地域病院の医師より上、という考え方についても意識改革を求めたい。
何よりも重要なことは、医師の側からのアプローチだ。いくら制度を整えても医師にそっぽを向かれては意味がない。
日本医師会の選挙で植松治雄新会長が選出されたが、強いリーダーシップを発揮し医師不足の問題に真正面から向き合い取り組んでもらいたい。
毎日新聞 2004年4月5日 0時23分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kenko/news/20040405k0000m070095000c.html