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2004.3.18
ダイエット系のサプリメント成分「エフェドラ(エフェドリンアルカロイド)」に続き、筋肉増強系のサプリメント成分「アンドロ(アンドロステンジオン)」も、米国の店頭から消えることになった。
米食品医薬品局(FDA)が3月11日、アンドロ配合サプリメントの製造・販売元23社に対して、販売を自主的に中止するよう通知したため。
販売中止という結果をみれば、両成分のたどった運命は同じ。
だが、裁定の“根拠”(エビデンス)という観点では、エフェドラとアンドロの違いは大きい。
エフェドラでは死亡例など明確な健康被害が報告されているが、アンドロ配合サプリの場合、明らかな健康被害は出ていない。
ではFDAは、何を根拠に今回の決定を行ったのだろうか。
FDAは同日発表したプレス・リリースで、販売中止通知の根拠を、「長期間使用した場合に、取り返しのつかない健康被害が生じる恐れがあるため」としている。
長期間服用すると、
・男性では精巣の縮退や勃起障害(ED)、女性化乳房など
・女性ではクリトリスの肥大化や月経不順、不正出血など
・子供では思春期の早来や骨成長の早期停止など
が「起こる恐れがある」という。
確かに、アンドロを摂取すると、体内で代謝されて男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロン)に変わる。
男性、女性ともに数十人を対象とした数週間規模の複数の介入試験では、血中の性ホルモン濃度が変動することが確かめられている。
しかし、「エビデンス」があるのはここまで。長期服用でどのような影響があるかについては、症例対照研究や疫学データは存在しない。
FDAが列挙する「恐ろしげな病名」を直接示すエビデンスは、何もない。
この点に関し、FDAは非常に興味深い説明を行っている。
米国ではアンドロを配合したサプリは、「栄養補助食品」(Dietary Supplement)になる。栄養補助食品は医薬品とは異なり、FDAの販売許可がいらない−−。それが安全である限りは。
「栄養補助食品は何より、安全でなければならない」。
FDAのプレス・リリースはこう強調する。
アンドロステンジオンは食肉のほか、松の花粉などに含まれている食品成分だが、「現時点では、安全とみなすための合理的な情報がない」。
つまりFDAは、実際に健康被害が生じていなくても「潜在的なリスク」があれば、「安全とは言えない」ことを理由に、そもそも許認可の対象ではない栄養補助食品でも、販売停止を行うことができるという判断を下したわけだ。
安全を旨とする栄養補助食品は、「潜在的なリスク」だけで販売中止にできる−−。この判断が意味するものは大きい。恣意的な運用も可能だからだ。
FDAは今回の裁定について解説した消費者向けQ&Aの中で、アンドロと同様の性ホルモン様作用を持ち、主に筋肉増強用途で使われている別のサプリ成分に「大いに関心を持っている」(particularly concerned)としている。
アンドロの次に販売停止処分が下される成分は何か、当分はFDAの動きから目が離せない。
なお、日本では、微量のアンドロステンジオンを含有する処方薬(「メサルモン-F錠」、日本臓器製薬)が販売されていることもあり、アンドロステンジオンを含有する商品は医薬品として扱われる(平成14年11月、医薬発第1115004号「医薬品の範囲に関する基準の一部改正について」で明示)。
含有商品を医薬品としての承認を受けずに国内で販売すると違法だが、個人輸入は可能で、FDAの販売中止裁定から1週間を経た今日も、少なくとも10数カ所の個人輸入サイトを通して入手が可能なようだ。
FDAの販売自主停止通知に関するプレス・リリースはこちら、消費者向けQ&Aはこちらまで。(内山郁子)